
アジアジュニア選手権個人戦2日目、各種目の2回戦と3回戦を終え、ベスト8が出揃った。日本勢は、男子シングルス1人、女子シングルス1人、男子ダブルス2組、女子ダブルス1組、混合ダブルス2組と、全種目に選手が勝ち残った
このうち男子シングルスの常山幹太選手は、2回戦で第1シード、インドのジョシ・アディトヤ選手と対戦。第1ゲームを先取され、第2ゲームもリードを許すが、終盤に劣勢を挽回。相手のマッチポイントも凌いでこのゲームを取り返すと、ファイナルゲームは試合の流れが一転、常山選手が一方的に押し切り勝利。続く3回戦では、桐田和樹選手との同国対決を制して、準々決勝に駒を進めた
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常山選手は3回戦終了後、BadPaL の取材に応じ、「桐田選手との試合は日本人同士で負けられなかった。2回戦で第1シードの選手を倒してからモチベーションが上がってきている。ベスト4(メダル)を目指す」とコメントした

一方、常山選手に敗れたものの、ベスト16に入った桐田選手は、「国際大会への出場は初めて。外国の選手は日本での試合なら決まるような球も取ってくる。強い相手と試合をすることで、自分も強くなれると感じる」と、アジアジュニア初参戦の感想を述べた。今後の目標を尋ねると、直近の狙いとして、「今年のインターハイ優勝」を挙げた。桐田選手は今回、山口県の高校から唯一人、ナショナルジュニアのメンバーに入り、今大会に派遣された
この日は、混合ダブルスで日本勢が素晴らしい試合を見せた。男子または女子ダブルスと掛け持ちで出場する選手が多いため、スケジュールの関係上、2回戦を勝った日本ペア3組は、ほぼ同時に3回戦のコートに立った


幸先良く、3ペア揃って第1ゲームを奪取するが、いずれも強豪が相手で第2ゲームを落としてしまい、ファイナルゲームへと突入する。このうち、下農走・永原和可那組は5-5から抜け出して中国ペアに快勝。また三橋健也・荒木茜羽組は、第3シードのタイペアに終盤16-18とリードを許すも、そこから連続得点を決めての逆転勝利で、それぞれ準々決勝への切符を手にした。
下農・永原組は試合後、BadPaL の取材に応じ、「中国ペアに勝てたのは良かった。この日、(男子ダブルス2試合、混合ダブルス2試合の)4試合目で疲れはあったが、それを見せたらだめ。相手に悟られないよう秘めていた」(下農)。「混合ダブルスで初めてのベスト8。あすの準々決勝は思い切りやるだけ」(永原)とコメントした
三橋・荒木組は、「ファイナルゲームに入ってぎくしゃくしていた部分があったが、技術的なことではなく、気持ちの部分を強く持っていこうと話し合い、互いに声を出すようにしていた」(三橋)と語った。メダルのかかる準々決勝への抱負を聞くと、「挑戦」(荒木)と語気を強めた

もう1つのペア、渡辺勇大・東野有紗組は、団体戦準決勝で惜敗した今大会第1シードの中国ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン組に先行を許しながら、気持ちのこもったプレーを続けてしっかりついていく。1ゲームずつ取り合い迎えたファイナルゲーム、コート後方に陣取った日本のチームメイトに加えて、地元観客らの声援も受けながら終盤18点と19点で追いつく。しかしあと一歩及ばず19-21で敗れ、準々決勝への道を断たれた

混合ダブルスで惜しくも敗れた渡辺選手だが、先に行われた三橋選手と組む男子ダブルスでは、第3シードの韓国チェ・チョンウ/ソ・スンジェ組を倒して、見事にベスト8入りを果たした。第1ゲームを19-21で落とすが、第2ゲームは逆に21-19で奪い返す。ファイナルゲームは終盤17-17までもつれるが、終始攻めの姿勢を貫いた日本ペアがここから4連続得点を決め、難敵の韓国ペアを攻略した
三橋選手に試合後の率直な感想を尋ねると、「やっと勝てたという感じ。途中何度か気持ちが切れそうになったが、チームメイトの声援にも後押しされ、最後まで攻めていけたのが良かった」と笑顔で語った。渡辺選手はメダルのかかるあすの準々決勝について、「疲れもあるが、ひとつずつ金メダルに向け2人で進んでいきたい」と、決勝まで見据えたコtメントを発した
男子ダブルスでは日本からもう一組、下農走・常山幹太組が、第6シードのマレーシアペアにストレート勝ちして、ベスト8に名乗りを上げた

女子シングルスにはこの日から、日本期待のシード勢、大堀彩選手と山口茜選手が登場した。ところが2人の初戦となった2回戦で、まず昨年の世界ジュニアを制した山口選手が思わぬ苦戦を強いられる。第1ゲームを先取後、第2ゲームに入るとインドネシアの16歳(1997年12月生まれ)、ハルタワン・ルセリ選手のレシーブに手を焼き、このゲームを落としてしまう。ファイナルゲームも、序盤7-2とリードした場面からミスも出て、連続失点で逆転されるなど、表情からも何かがかみ合っていない様子がうかがえた。それでも最後は、12-14からの連続得点で振り切り、ことなきを得た
山口選手は試合後、BadPaL に対し、「シャトルが飛ばず、スマッシュを打っても相手にコートの奥までしっかり返されてしまい苦しんだ」と明かした。ただ、数時間後に行われた3回戦でタイの選手をストレートで降した後は、「徐々に調子は上がってきている」と述べ、前向きな姿勢を示した

一方、ディフェンディングチャンピオンの大堀選手は、インド選手との2回戦を21-9,21-6と難なく突破したが、続く3回戦に落とし穴が待っていた。中国の15歳(1998年3月生まれ)、チェン・ユーフェン選手に、第1ゲームを10-21の大差で取られてしまう。第2ゲームは21-13で奪い返すも、ファイナルゲームは最後までシャトルコントロールに苦しみ、中盤以降に引き離されて15-21で敗退。昨年、日本選手としで史上初めて獲得したアジアジュニア女子シングルスのタイトルを守ることは叶わず、ベスト16で姿を消した。試合直後の大堀選手は敗戦のショックが大きく、BadPaL に対し、「相手ではなく、自分の問題」とだけ言葉を振り絞った
同じく3回戦では、大堀選手と昨年タイトル争いを演じて敗れ、準優勝に終わったタイのブサナン・ウンバンルンパン選手もインドネシアの14歳(1999年8月生まれ)、グレゴリア・マリスカ選手に手こずり、ファイナルゲーム20-20までもつれる試合を何とかものにして準々決勝に進んだ
また、この大会で大堀選手と対戦することを希望していた日本の15歳(1998年7月生まれ)、仁平菜月選手は、かつて勝ったことのある韓国キム・ガウン選手にストレート負け。2回戦で姿を消した

男子シングルスと同様、日本人同士の対決となった女子ダブルス3回戦は、川島里羅・尾崎沙織組が、今大会第5シードに入った東野有紗・永原和可那組に21-19,7-21,22-20と競り勝ち、この種目、日本勢唯一の勝ち残りとなった
川島・尾崎組は試合後、BadPaL に対し、「(いきなり2-7と点差を広げられた第1ゲームの)最初と、(19-13と大きくリードしながら追いつかれたファイナルゲームの)最後を除けば、自分たちらしいプレーができたと思う」と笑顔でコメントした
日本選手2回戦の結果
【男子シングルス】 ジョシ・アディトヤ(インド、第1シード)〈21-17,21-23,12-21〉常山幹太、桐田和樹〈21-11,21-18〉マームード・アラム(シリア)、シー・ユーチ(中国、第5シード)〈21-12,22-20〉古賀穂、玉手勝輝〈18-21,19-21〉スン・フェイシアン(中国)
【女子シングルス】 大堀彩(第1シード)〈21-9,21-6〉カーシク・レシュマ(インド)、仁平菜月〈10-21,13-21〉キム・ガウン(韓国)、川島里羅〈21-10,21-9〉ヤン・サムイー(香港)、山口茜(第4シード)〈21-14,17-21,21-14〉ハルタワン・ルセリ(インドネシア)
【男子ダブルス】 玉手勝輝・中田政秀〈15-21,21-13,15-21〉ユン・シンチョイ/チュン・ヨニー(香港)、三橋健也・渡辺勇大〈21-4,21-5〉ロ・ジェイソン・キンチン/タイ・キンヘイ(マカオ)、下農走・常山幹太〈21-13,21-19〉セン・チラ/カプール・ロハン(インド)
【女子ダブルス】 荒木茜羽・志田千陽〈19-21,19-21〉ゴー・イーチン/ペク・エンウェイ(マレーシア)、川島里羅・尾崎沙織〈21-7,21-6〉レオナルド・アリッサ・イサベル/デベラ・ジョエラ・ゲバ(フィリピン)、東野有紗・永原和可那(第5シード)〈21-5,21-2〉フルシュジャン・アナイト/パキナ・マリヤ(ウズベキスタン)
【混合ダブルス】 渡辺勇大・東野有紗〈21-8,21-10〉セン・チラ/ガルグ・クフー(インド)、三橋健也・荒木茜羽〈21-8,21-19〉チャン・スアンウェン/ツァイ・シンユ(台湾)、中田政秀・尾崎沙織〈12-21,12-21〉ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国)、下農走・永原和可那(第6シード)〈21-11,21-12〉ギアム・ビン/ウォン・ジアイン・クリスタル(シンガポール)
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日本選手3回戦の結果
【男子シングルス】 常山幹太〈21-14,21-17〉桐田和樹
【女子シングルス】 大堀彩(第1シード)〈10-21,21-13,15-21〉チェン・ユーフェイ(中国)、ホー・ビンジャオ(中国、第3シード)〈21-13,21-13〉川島里羅、山口茜(第4シード)〈21-14,21-8〉プープラダブシン・タモルバン(タイ)
【男子ダブルス】 チェ・チョンウ/ソ・スンジェ(韓国、第3シード)〈21-19,19-21,17-21〉三橋健也・渡辺勇大、グ・ディフア/チュア・ケクウェイ(マレーシア、第6シード)〈16-21,15-21〉下農走・常山幹太
【女子ダブルス】 東野有紗・永原和可那(第5シード)〈19-21,21-7,20-22〉川島里羅・尾崎沙織
【混合ダブルス】 ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第1シード)〈18-21,21-14,21-19〉渡辺勇大・東野有紗、プアバラヌクロー・デチャポン/テアチャボラシンスクン・チャニサ(タイ、第3シード)〈16-21,22-20,18-21〉三橋健也・荒木茜羽、下農走・永原和可那(第6シード)〈21-16,15-21,21-14〉ツァオ・ジエン/ジアン・ビンビン(中国)
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準々決勝の対戦カード
【男子シングルス】
アンソニー・ギンティン(インドネシア、第8シード)対常山幹太
ツァオ・ジュンペン(中国、第3シード)対ファム・カオ・クオン(ベトナム、第6シード)
シー・ユーチ(中国、第5シード)対ソ・スンジェ(韓国)
クリスティ・ジョナタン(インドネシア、第2シード)対リー・チュクイウ(香港)
【女子シングルス】
チェン・ユーフェイ(中国)対キム・ガウン(韓国)
ホー・ビンジャオ(中国、第3シード)対リャン・シャオユ(シンガポール)
山口茜(第4シード)対チン・ジンジン(中国、第7シード)
ブサナン・ウンバンルンパン(タイ、第2シード)対セルバドレイ・キソナ(マレーシア)
【男子ダブルス】
ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ(中国、第1シード)対ポ・リエイ/ヤン・ミンツェ(台湾)
三橋健也・渡辺勇大対バアリク・アルソフ/ダーンリアノ・レイナルド(インドネシア)
下農走・常山幹太対クダマッサ・クリントン・ヘンドリク/アルディアント・ムハンマド・ライアン(インドネシア)
キム・チョンホ/キム・ジェファン(韓国、第2シード)対リー・チアハン/ウ・ユエンチェン(台湾)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対ラハユ・アプリアニ/スギアルト・ジャウザ・ファディラ(インドネシア)
チャン・チンフイ/チャン・シンティエン(台湾、第4シード)対ジアン・ビンビン/タン・ピンヤン(中国)
リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第3シード)対レスタリ・ニサク・プジ/ロシタワティ・リカ(インドネシア)
テアチャボラシンスクン・チャニサ/チョチュウォン・パチャラプン(タイ、第2シード)対川島里羅・尾崎沙織
【混合ダブルス】
ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第1シード)対リー・チアハン/リー・チアシン(台湾、第8シード)
三橋健也・荒木茜羽対キム・ジェファン/キム・へチョン(韓国)
ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国)対アルディアント・ムハンマド・ライアン/ウルファ・ザキア(インドネシア)
キム・チョンホ/コン・ヒヨン(韓国、第2シード)対下農走・永原和可那(第6シード)