
マレーシアオープンSS決勝、男子シングルスの田児賢一選手が、地元のスター、世界ランク1位のリー・チョンウェイ選手に挑んだが完敗。3度目のSSタイトルへの挑戦は、またも準優勝に終わった
過去10戦全敗の対戦成績の中で、田児選手がリー選手から奪ったゲーム数は、2010年のインドネシアオープンSS(12-21,21-8,12-21)と昨年のジャパンオープンSS(23-21,17-21,18-21)の合わせて2ゲームのみ。現時点における力の差は、田児選手自身が常々認めている

会場を埋めた地元観衆の大歓声の中、スタートした第1ゲーム、既に田児選手には文字通りの「逆風」が吹いていた。舛田圭太コーチが試合後明らかにしたところでは、会場内の風が想定していたのとは逆向きに吹いていたという。田児選手が時折、苦笑せざるを得ないほど、打つシャトル打つシャトルがアウトになる失点が続き、ほとんど何もできないまま6-21と大敗した。続く第2ゲームは、エンドが変わって田児選手に流れが傾くかと思われたが、地元の期待を一身に背負って戦うリー選手が崩れることはなく、田児選手は13-21で敗れ、通算11敗目を喫した
田児選手は試合後、記者会見に応じ、地元メディアの「何がうまくいかなかったのか」との質問に、「前日、準決勝を戦えなかったことで、変化したコートの状況(特に風)に対応ができなかった」と答えた。大歓声の影響については、「前日のリー・チョンウェイ対チェン・ロンの試合を見ていたので予測できた。むしろ自分への応援としてとらえていて影響はなかった」と述べた

リー選手に11連敗となったことに関しては、「普通の状態ではリー選手の方が実力は上なので、今回のようなイレギュラーな状況はむしろ自分に優位に利用できたはず。ただ、向こうの方が対応できていた」と完敗を認めた。その上で、今後やるべきことは、とにかくリー・チョンウェイやリン・ダンといった世界のトップ選手に追いつくべく努力することとした
田児選手は記者会見後 、BadPaL の取材に応じ、今大会全体を振り返って、「準決勝での相手棄権による勝ち上がりは、オリンピックだったらラッキーということになるが、今は結果(優勝)を出さなければいけない時期ではない。棄権によって勝ち上がるより、強い相手と試合をすることの方が自分にとっては重要」と強調した
一方、リー選手は試合後、田児選手について、大声援を前に緊張したのではないかと指摘。マレーシアオープン8度目のタイトル獲得となったが、「今回の決勝が最もやりやすかった」とコメントしている
世界1位と2位が出場しなかった男子ダブルスと女子ダブルスは混戦となり、男子ダブルスは、準決勝で平田典靖・橋本博且組を下した台湾のファン・チエミン/リー・シェンム組(世界13位)がSS3勝目。女子ダブルスは、準々決勝で今大会第1シードの藤井瑞希・垣岩令佳組を下して勝ち上がったデンマークのクリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組(世界10位)がSS初優勝を遂げた


一方、世界1位と2位(いずれも中国選手)の頂上対決となった女子シングルスと混合ダブルスは、それぞれ世界1位のワン・イーハン選手とツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ組が順当勝ち。ともに今年の初優勝を飾った


決勝の結果
【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈21-6,21-13〉田児賢一(世界12位)
【女子シングルス】 ワン・イーハン(中国、世界1位)〈21-19,21-11〉ワン・シン(中国、世界2位)
【男子ダブルス】 ファン・チエミン/リー・シェンム(台湾、世界13位)〈16-21,21-16,21-16〉チョ・グンウー/クォン・イグー(韓国、世界15位)
【女子ダブルス】 キム・ミンジョン/ハ・ジョンウン(韓国、世界3位)〈19-21,18-21〉クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界10位)
【混合ダブルス】 ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、世界1位)〈21-12,21-9〉シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界2位)