ベトナムオープンGP最終日、決勝に進出した佐々木翔選手と今別府香里選手はともに敗れ、惜しくも優勝を逃した


男子シングルスは会場を埋めた観衆の大声援をバックに地元のスター、グエン・ティエンミン選手が試合開始直後から主導権を握る。佐々木選手も離されずについていき、9-9で並ぶと、逆に11-9とリードしてインターバルを迎える。しかし後半は押し込まれ第1ゲームを13-21で落とす。第2ゲームも第1ゲームと同じような展開となり、今度はグエン選手の最小リード(10-11)で折り返し。直後に佐々木選手が追い付き攻勢にでるかと思われた矢先、微妙なライン判定があり、流れは再びグエン選手に傾き連続得点で一気に13-19まで引き離される。しかしここから佐々木選手が反撃。17-19まで追いすがるが、反撃もここまで。最後は会場を揺るがす大声援の中、グエン選手が試合を締め、1年ぶり3度目の地元優勝を果たした
佐々木選手は試合後、BadPaL に対し、「最後のところでは相手の底が見えてきていたので、残念」とひとこと。ただ、完全アウェーとなった会場の雰囲気も含めて、いい経験ができたと、さばさばした表情で語った

舛田圭太コーチは、準々決勝、準決勝がともにファイナルゲームの厳しい試合となった佐々木選手と、比較的楽に決勝まで進んだグエン選手の、勝ち上がり方の差が明暗を分けた要因と指摘。また第2ゲームの中盤、佐々木選手が追い上げムードとなったところでのラインジャッジの影響にも言及した
一方、グエン選手は、今回の佐々木選手について、7割ぐらいの出来だったのではとコメント。それでも、第2ゲーム終盤に攻め込んできて、17点を取られた後の佐々木選手のサーブで何とか流れを取り戻せたと、終盤、脅威を感じていたことを明かした

女子シングルスの決勝に進んだ今別府選手は、同じくノーシードから勝ち上がってきたシンガポールのフー・ミンティエン選手と対戦。序盤からラリーの応戦となり、1点を争う攻防が18-18まで続く。ただ常に今別府選手が追いかける展開で、追いつくことはできても追い抜けず、第1ゲームは18-21で振り切られた。第2ゲームも競り合いとなり今度は今別府選手がリードするが、その差を2点超に広げることができない。終盤、ようやく18-15と3点差をつけると、その勢いのまま21-16でこのゲームを奪い試合をタイに戻した。迎えたファイナルゲーム、今別府選手に単調な攻めや、ロブなどのバックラインアウトが増え、前半4-11と大量リードを許す。後半に入っても流れを取り戻せず、最後はフー選手にスマッシュを決められ8-21で敗れた
今別府選手は BadPal に対し、「焦ってしまった」と述べ、またしても勝ち急ぐ自分の悪い癖が出たことを認めた。会場の雰囲気は事前に分かっていたことで、問題はあくまで自分自身と強調。その上で、準優勝という結果については、「良くできたと思う部分と悔しいのが半々」。もしここで優勝してしまっていれば上手くいきすぎで、むしろ負けて取り組むべき課題が見つかったことをよしとすると、試合直後の複雑な心境を吐露した

混合ダブルスのタイトルは、全種目を通じて唯一、アジア勢ではない、ロシアのビタリジ・ダーキン/ニナ・ビスロバ組が若い韓国ペアを攻守に圧倒して勝ち取った。女子ダブルス世界10位のビスロバ選手を擁するこのペアはこれまで、国際大会での優勝経験はなく、過去1年では2010年11月のオランダオープンGPでベスト8に入ったのが最高。この時は池田信太郎・潮田玲子組にストレートで敗れていた
男子ダブルスと女子ダブルスは、いずれもインドネシアのペアが接戦を制し優勝した
各種目決勝の結果は以下の通り
【男子シングルス】 グエン・ティエンミン(ベトナム、世界7位)〈21-13,21-17〉佐々木翔(世界9位)
【女子シングルス】 フー・ミンティエン(シンガポール、世界41位)〈21-18,16-21,21-8〉今別府香里(世界49位)
【男子ダブルス】 ライアン・アグ ン・サプトラ/アンガ・プラタマ組(インドネシア、世界27位)〈21-12,16-21,21-19〉チャユット・トリヤチャート/ダニー・バワ・クリスナンタ組(シンガポール)
【女子ダブルス】 シンタ・ムリア・サリ/ヤオ・レイ組(シンガポール、世界20位)〈21-23,24-26〉ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ/アネケ・フェイニャ・アグスティン組(インドネシア、世界44位)
【混合ダブルス】 ビタリジ・ダーキン/ニナ・ビスロバ組(ロシア、世界53位)〈21-16,21-10〉チュン・ユイソック/ユー・ヒュンヤン組(韓国)