オランダジュニアインターナショナルに続いて、3月8~12日にベルリンで開催されたドイツジュニアインターナショナル。男子シングルスの沖本優大が2週連続優勝を達成した。女子ダブルスでは須藤海妃・山北奈緒が、前週優勝の清瀬璃子・平本梨々に代わって頂点に立った
オランダジュニア同様、コロナウイルス感染拡大により3年ぶりの開催となったジュニアの国際大会で「グランプリ」の上位位置付けを持つこの大会に、日本はとりわけ2015年以降、U19(19歳未満)代表を強化策の一環として本格的に派遣している
前週、1回戦から決勝まで合わせて7試合に勝って優勝した沖本だが、移動日含め中2日空けて、再び7試合を戦い抜き、ヨーロッパ遠征を最高の形で締めくくった。決勝の相手、ユージン・ユーとは昨年5月、下位大会マレーシアジュニアインターナショナルシリーズでファイナルゲーム14-17から逆転で僅差の勝利を収めるほど実力拮抗。今回もフルゲームでどちらに転んでもおかしくない対戦だったが、名将ミスブン・シデクのコーチングの下、雪辱を期すマレーシアの第4シードを見事返り討ちにしてみせた
男子シングルスのタイトルは2015年以降、日本が唯一獲得できていなかったもの。1984年から始まる大会史上で見ると、この種目での日本勢の優勝は、2003年の現再春館製薬所監督、池田雄一以来20年ぶり2人目
なお、このタイトルは、◆ピーター・ゲード(1995年)◆タウフィック・ヒダヤト(97年)◆リン・ダン(2001年)◆チェン・ジン(02年)◆ビクター・アクセルセン(10年)◆クンラウット・ヴィティサン(18年)――らもジュニア時代に手にしている。このうち、連結して開催されることの多いオランダジュニアとの同年「2冠」を達成したのは、リン・ダン、チェン・ジン、クンラウット・ヴィティサン。彼らとジュニアの記録で並んだ沖本には、アジアジュニア選手権、世界ジュニア選手権、さらにはシニアに上がってからの成長に期待が膨らむ
女子ダブルスでは、前週オランダジュニア優勝の清瀬璃子・平本梨々菜が3回戦(ベスト16)で敗退したが、同ベスト4の須藤・山北はすべてストレート勝ちで決勝まで勝ち上がった。決勝は、中国のツァン・ユーハン/リ・ホワツォウ相手に今大会初めてファイナルゲームまでもつれるが、最後は21-18で振り切り、前週の銅メダルを上回る金メダルを獲得。表彰台の最も高い所に立った
女子ダブルスは、コロナ感染拡大直前に開催された2020年の加藤佑奈・廣上瑠依に次ぎ、2大会連続で日本ペアが制覇。2015年以降では、16年の松山奈未・保原彩夏を含めた3ペア目の優勝となった
日本勢はほかに女子シングルス2人が準決勝に進んだ。しかし、中国シュー・ウェンジンの前に準決勝で須藤海妃、決勝で遠藤美羽が続けて敗れ、優勝には届かなかった

準決勝の結果
【男子シングルス】
ユージン・ユー(マレーシア、第4シード)<21-10,16-21,21-13>ワン・ヅージュン(中国、第11シード)
沖本優大<12-21,21-14,21-16>アユッシュ・シェッティ(インド)
【女子シングルス】
遠藤美羽<19-21,21-14,21-11>パク・スル(韓国)
シュー・ウェンジン(中国)<21-9,21-18>須藤海妃
【男子ダブルス】
ジュウ・イージュン/シュー・ホワユー(中国、第1シード)<21-14,19-21.,12-21>パク・ボムス/イ・ジョンミン(韓国)
リン・シャンイ/チェン・ジュ―ハン(中国)<21-9,21-17>ワン・シャオカイ/チェン・ヨンルイ(中国)
【女子ダブルス】
ツァン・ユーハン/リ・ホワツォウ(中国)<棄権>ホワン・クゥーシン/ホワン・シンヤオ(中国)
須藤海妃・山北奈緒<21-18,21-18>パク・スル/クァク・スンミン(韓国)
【混合ダブルス】
ガオ・ジアシュアン/ホワン・クゥーシン(中国、第9シード)<21-15,21-19>イ・ミンウク/ヨン・ソヨン(韓国)
ジュウ・イージュン/リャオ・リーシ(中国、第11シード)<16-21,21-11,21-11>リン・シャンイ/ツァン・ウェンシャオ(中国)
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決勝の結果
【男子シングルス】ユージン・ユー(マレーシア、第4シード)<16-21,21-14,18-21>沖本優大
【女子シングルス】遠藤美羽<21-18,7-21,15-21>シュー・ウェンジン(中国)
【男子ダブルス】パク・ボムス/イ・ジョンミン(韓国)<21-23,21-14,21-16>リン・シャンイ/チェン・ジュ―ハン(中国)
【女子ダブルス】ツァン・ユーハン/リ・ホワツォウ(中国)<11-21,21-19,18-21>須藤海妃・山北奈緒
【混合ダブルス】ガオ・ジアシュアン/ホワン・クゥーシン(中国、第9シード)<18-21,22-20,21-19>ジュウ・イージュン/リャオ・リーシ(中国、第11シード)
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U19日本代表のドイツジュニア上位成績(2015~23年)
◆2015年:混合ダブルス優勝(渡辺勇大・志田千陽)/女子シングルス3位タイ(仁平菜月)/男子ダブルス3位タイ(渡辺勇大・三橋健也)
◆16年:女子シングルス優勝(仁平菜月)・3位タイ(海老原詩織)/男子ダブルス優勝(山澤直貴・山下恭平)・準優勝(小野寺雅之・岡村洋輝)/女子ダブルス優勝(松山奈未・保原彩夏)/混合ダブルス優勝(山澤直貴・松山奈未)・準優勝(岡村洋輝・保原彩夏)
◆17年:女子シングルス優勝(水井ひらり)・3位タイ(高橋明日香)/男子ダブルス優勝(久保田友之祐・金子真大)・準優勝(大林拓真・嶺岸洸)/女子ダブルス準優勝(岩永鈴・齋藤夏)/混合ダブルス準優勝(久保田友之祐・岩永鈴)・3位タイ(金子真大・齋藤夏)/男子シングルス3位タイ(大林拓真)
◆18年:混合ダブルス優勝(緑川大輝・齋藤夏)/女子ダブルス3位タイ(齋藤夏・吉田瑠実)
◆19年:女子シングルス3位タイ(髙橋美優)
◆20年:女子シングルス優勝(水津愛美)/女子ダブルス優勝(加藤佑奈・廣上瑠依)
◆21年:中止
◆22年:中止
◆23年:男子シングルス優勝(沖本優大)/女子ダブルス優勝(須藤海妃・山北奈緒)/女子シングルス準優勝(遠藤美羽)・3位タイ(須藤海妃)