1月3日付の更新で、2021年最後の世界選手権・ウエルバ大会のポイントが消滅し、これをもって世界ランキングの正常化プロセスが完了。2023年のシーズン初戦、10日開幕のマレーシアオープン(SUPER1000)からコロナ禍以前の、過去1年間(52週)の大会を対象にする通常のランキングシステムに戻り、新たなスタートを切る
2019年末以降世界ランク上位を占めていた桃田賢斗をはじめとする日本選手がランクを大きく落とすことになるのは、世界バドミントン連盟が22年4月8日、具体的な正常化プロセスを8月2日から始めることを明示する以前より分かっていた。BadPaL も同年初めから中ごろにかけて、複数の選手やその所属チームから、具体的にどの辺りまで下がるのか、さらにその後の大会で結果を残せない又は出場できない場合等最悪の状況まで想定したシミュレーションの問い合わせを実際に受けた
日本バドミントン協会の強化本部が22年前半、複数の「SUPER500」以上の大会への派遣を個々の選手に選択肢を与えず強制的に取りやめたこともあり、複数の選手/ペアがシード権をなくすのは確実で、世界ランクは1ケタから20位台まで後退する可能性がその時点で見えていた。そのため、それぞれの選手と所属チームにとっては、下げ幅をいかに小さく抑えられるかが昨年中盤以降のある意味課題だったが、結果的に、日本勢全体としては小さな下げで踏みとどまることができた
そんな中、世界ランク1位として今シーズンを迎えるのが女子シングルスの山口茜。出場できる大会数が限定された昨シーズンにあっても、◆3月全英オープン(SUPER1000)◆8月世界選手権◆9月ジャパンオープン(SUPER750)◆12月ワールドツアーファイナル――を制し4勝。さらに「SUPER1000」同等の4月アジア選手権で準優勝と、上位大会中心に好結果を連発し、それぞれ10,000ポイント超を獲得していたことで、最後に昨年の世界選手権の優勝ポイントを失っても、その立ち位置は揺るがなかった
全種目を通じて日本選手の中で唯一、躍進を遂げたのが、男子シングルスの奈良岡功大。世界ランキングは、桃田が1位を堅持していた2020年初めが43位。出られていたはずの大会への出場機会が奪われるなどしたこともあり22年初めには49位まで下げるが、同年4月のコリアマスターズ(SUPER300)で決勝に進めたことがターニングポイントに。その後は、世界ランキング正常化の過程に伴い順位を下げていく上位選手とは対照的に、出場する大会ごとに結果を残して順位を上げ、12月20日には桃田を抜いて日本勢最上位に躍り出た
ただこの順位逆転は、桃田が9月のジャパンオープン後、年内のワールドツアー残り大会への出場取りやめを自ら決めた時点で確定していたこと
奈良岡は、初出場を果たしたワールドツアーファイナル参戦前の昨年12月初め、BadPaL の取材に応え、「(コロナ期間)試合に出られない中で悔しい気持ちがあったが、その期間にちゃんとトレーニングと練習ができたし、今はプラスにとらえている」と回答。また、早くに確定していた2023年のシーズンを日本勢トップとして迎えることについては、「自分はまだまだ(ワールドツアーに)出始め。来年(23年)も変にプレッシャーを感じることなく、自分らしく全力で大会に臨みたいと思う」と答えている
正常化後のランキング全体を見ると、100,000ポイント超を維持しているのは、男子シングルス1位のビクター・アクセルセンと、混合ダブルス1位のツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン
また特筆すべきは、国独自の厳格なコロナ感染防止対策の影響で、国際大会への復帰が大きく出遅れたとみられていた中国勢が、22年に入りタイに拠点を置いて戦略的に進めた遠征計画の結果、1位と2位を占める混合ダブルス以外の4種目すべてで3人/ペア以上をトップ20に配置。2023年シーズンのスタートに合わせてきている
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1月3日付「正常化」後の世界ランキングにおける、日本トップ選手の立ち位置(※世界バドミントン連盟規定ではワールドツアー上位大会に無条件で出場可能な世界ランク32位まで。★はシード権保持者)
【男子シングルス】https://badpal.net/olympic-race-1-mens-singles/(トップ20+日本勢上位一覧)
★7) 奈良岡功大 (Japan-1) 64640
16) 桃田賢斗 (Japan-2) 47454
17) 西本拳太 (Japan-3) 47229
26) 常山幹太 (Japan-4) 42228
【女子シングルス】https://badpal.net/olympic-race-2-womens-singles/(トップ20+日本勢上位一覧)
★1) 山口茜 (Japan-1) 95653
13) 奥原希望 (Japan-2) 55190
22) 川上紗恵奈 (Japan-3) 40944
25) 高橋沙也加 (Japan-4) 38793
【男子ダブルス】https://badpal.net/olympic-race-3-mens-doubles/(トップ20+日本勢上位一覧)
★4) 小林優吾・保木卓朗 (Japan-1) 74740
26) 齋藤太一・古賀輝 (Japan-2) 39677
31) 竹内義憲・松居圭一郎 (Japan-3) 34761
【女子ダブルス】https://badpal.net/olympic-race-4-womens-doubles/(トップ20+日本勢上位一覧)
★2) 志田千陽・松山奈未 (Japan-1) 81913
★8) 永原和可那・松本麻佑 (Japan-2) 63028
12) 福島由紀・廣田彩花 (Japan-3) 58331
22) 中西貴映・岩永鈴 (Japan-4) 37560
25) 加藤佑奈・廣上瑠依 (Japan-5) 34970
【混合ダブルス】https://badpal.net/olympic-race-5-mixed-doubles/(トップ20+日本勢上位一覧)
★4) 渡辺勇大・東野有紗 (Japan-1) 72790
15) 金子祐樹・松友美佐紀 (Japan-2) 44690
16) 山下恭平・篠谷菜留 (Japan-3) 42380
25) 緑川大輝・齋藤夏 (Japan-4) 34860