タイ・バンコクで7日に始まる、シーズンを締めくくる一大大会「ワールドツアーファイナル」。開幕に先だち行われた一次リーグの組み分け抽選において、日本勢は出場する3種目でそれぞれツアーランキング1位の選手と同じ組に入った。年間表彰で「最優秀女子選手」、「最も有望な選手」を授与された2人、山口茜と奈良岡功大の意気込みに加え、対戦スケジュールも紹介する
各種目上位8人/ペアのみが出場できるワールドツアーファイナルだが、日本バドミントン協会は今年、1月のインド3連戦を皮切りに、インドネシアマスターズやシンガポールオープンなど、ポイントの対象になる複数の上位大会へのA代表派遣を個々の選手の意向にかかわらず一律に見送った。そのため選手はスタート時点から難しい状況に置かれ、確実に出場を狙うには、自動的に出られる「世界選手権優勝」という一発勝負にかけるしかないとさえみられていた
こうした状況下で強さを見せたのが、女子シングルスの山口茜。昨年12月の世界選手権・ウエルバ大会に続いて、今年8月同東京大会も勝って連覇を達成。この種目のツアーランキング10位ながら、日本選手の中で最初に自力で出場資格をつかんだ
山口は先ごろ行われた国内リーグ、長崎・大村大会の会場で BadPaL の取材に応じ、「(最後に出た10月末のフレンチオープンから)しばらく試合間隔が空いていた中、ファイナルの前にリーグで実戦ができてよかった」と話した。その上で2年連続出場となるファイナルに向けては、とりわけトップ選手が多く揃った感のある女子シングルスの厳しさを自ら認識した上で、結果は別にして、一試合一試合、気を抜かないように戦いたいと意気込みを語った
また、開幕直前になって会場が中国・広州からタイ・バンコクに変更になったことは、様々な負担の軽減となり選手としては良かったとの受け止めを示した。一方で、ファイナルに出ることで、自身の地元開催となる国内リーグ次戦、11日の福井・勝山大会に出場できなくなることについては、大会日程が1週間前倒しされたバンコクに変更されるより前、検査・隔離を伴う中国での開催が決まった時点で分かっていたことで、残念だが仕方がないとした
山口は一次リーグ、初日7日:アン・セヨン(韓国)、8日:チェン・ユーフェイ(中国)、9日:グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)――と続けて対戦する
今回、初出場となるのが男子シングルスの奈良岡功大。
日本のメディアからは、とかく話題をすぐパリ五輪に向けられがちだが、実はかねて BadPaL に対し、まず直近で自分が向かうべき足元の目標(課題)として、「すごく出たい。今年の目標の1つでもあるので、可能性があるなら目指して頑張っていきたい」と、ファイナルへの思いを語っていた。そして、協会派遣の大会だけでは到底達成不可能なことを早い段階でチームとして理解。計画的に自費参戦を申請し、個々の大会で必要な結果をしっかり残すことで有言実行、出場資格を手元にたぐりよせた
すべての試合が「SUPER750」以上の準決勝または決勝のような大会になるファイナルに向けた直前の抱負を、あらためて奈良岡に直接尋ねると、「初めての出場なので楽しんでいきたい」と率直な気持ちを明かした
奈良岡の対戦相手は、初日7日:H.S.プラノイ(インド)、8日:ビクター・アクセルセン(デンマーク)、9日:ルー・グアンズ(中国)――となる
日本のダブルス陣の中では、大会出場機会が制限され、ファイナル出場資格取得が非常に困難な状況にあると認識しながら、「それでも出たい」と国外の大会会場で度々意欲を口にしていた小林優吾・保木卓朗、志田千陽・松山奈未、渡辺勇大・東野有紗が出場資格を得た。ただ、松山のケガ、渡辺のコンディション不調が重なり、最終的に出るのは小林・保木のみ
前回バリ島開催のファイナルで初優勝を遂げた小林・保木は今年、初日7日:テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア)、8日:ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア)、9日:チェ・ソルギュ/キム・ウォンホ(韓国)――とそれぞれ対峙し、決勝トーナメント進出を決めた上で、連覇に挑む
2022年ワールドツアーファイナル一次リーグ組み分け抽選の結果(★は同年世界選手権優勝者)
【男子シングルス】
<A組>
★1) ビクター・アクセルセン (Denmark) 72500 pts
3) H.S.プラノイ (India) 66730 pts
5) 奈良岡功大 (Japan) 63020 pts
6) ルー・グアンズ (China) 62260 pts
<B組>
2) チョウ・ティエンチェン (Taiwan) 67190 pts
4) ジョナタン・クリスティ (Indonesia-1) 64960 pts
7) アンソニー・シニスカ・ギンティン (Indonesia-2) 62100 pts
8) ロー・キーンユー (Singapore) 60340 pts
【女子シングルス】
<A組>
1) チェン・ユーフェイ (China-1) 87820 pts
4) アン・セヨン (Korea) 71490 pts
★10) 山口茜 (Japan) 58840 pts
13) グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン (Indonesia) 47600 pts
<B組>
2) タイ・ツーイン (Taiwan) 78520 pts
3) ホー・ビンジャオ (China-2) 75260 pts
7) ラッチャノク・インタノン (Thailand-1) 65970 pts
8) ブサナン・ウンバンルンパン (Thailand-2) 61600 pts
【男子ダブルス】
<A組>
1) ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン (Indonesia-1) 91870 pts
3) テオ・イーイ/オン・ユーシン (Malaysia-1) 66380 pts
7) 小林優吾・保木卓朗 (Japan) 57510 pts
8) チェ・ソルギュ/キム・ウォンホ (Korea) 54480 pts
<B組>
2) ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン (Indonesia-2) 69300 pts
4) リュウ・ユーチェン/オウ・シュエンイ (China) 62430 pts
6) アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ (Denmark) 58220 pts
★9) アーロン・チア/ソー・ウーイイク (Malaysai-2) 54040 pts
【女子ダブルス】
<A組>
1) キム・ヘジョン/チョン・ナウン (Korea) 76800 pts
3) ヌンタカーン・エイムサアード/ベニャパ・エイムサアード (Thailand-1) 71430 pts
6) ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン (Thailand-2) 65160 pts
7) ビビアン・フー/リム・チューシエン (Malaysia-1) 57110 pts
<B組>
2) ツェン・ユー/ツァン・シュウシエン (China-1) 76690 pts
★4) チェン・チンチェン/ジア・イーファン (China-2) 70840 pts
8) ティナー・ムラリタラン/パーリー・タン (Malaysia-2) 56290 pts
※9) アプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ (Indonesia) 54400 pts
※志田千陽・松山奈未の出場辞退(松山の故障)に伴う次点繰り上がり
【混合ダブルス】
<A組>
★1) ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン (China-1) 88700 pts
4) ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ (Malaysia-1) 63010 pts
6) リノブ・リバルディ/ピサ・ハニングトヤス・メンタリ (Indonesia) 56600 pts
7) トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー (France) 56070 pts
<B組>
2) デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ (Thailand-1) 68550 pts
3) ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン (China-2) 68050 pts
5) タン・キアンメン/ライ・ペイジン (Malaysia-2) 57430 pts
※9) スパク・ジョムコー/スピッサラ・ペウサムプラン (Thailand-2) 52830 pts
※渡辺勇大・東野有紗の出場辞退(渡辺のコンディション不調)に伴う次点繰り上がり
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組み分け抽選後に行われた世界バドミントン連盟による年間表彰の結果は大方、事前予想通り
日本からは以下の3選手が受賞した
◆最優秀女子選手:山口茜(日本選手では、2016年髙橋礼華・松友美佐紀に次ぐ2例目)
◆最も有望な選手:奈良岡功大(日本選手では、2012年桃田賢斗、13/14年山口茜に続く3人目)
◆<パラ部門>最優秀男子選手:梶原大暉(日本選手初)