3月以来のワールドツアー上位大会、デンマークオープン(SUPER1000)で、日本選手は4種目で決勝に進んだ。中でも男子ダブルスの小林優吾・保木卓朗には、東京五輪後に揃って代表を引退したベテラン勢に代わりトップペアとしての立ち位置を固めるため、内容だけでなく結果にも期待がかかる
ともに26歳の小林と保木は、初戦で中国2番手を破った後、2回戦では台湾のリー・ヤン/ワン・チリンと対戦し、続けてストレート勝ち。今年1月のタイオープン(SUPER1000)から個人戦4大会連続優勝と好調を維持してきた東京金メダリストを止めてみせた
この試合の後、保木は、相手が強みを持つドライブ戦では、「小林は戦えるが。自分は勝てない」と認め、「自分たちが先に攻撃する」という目的遂行のため、「先に先に落とすことを意識して入った」と語った。現時点で自分たちより強い相手に勝つためには何をすればいいか考え、これを徹底し結果を出した。世界ランク3位の相手も、この日の世界15位日本ペアの強さを認めた
また小林は、スディルマン杯、トマス杯から続く長期の遠征ながら、「目標をもって高い意識でできているので、競技に集中できる期間で充実してる。相手にプレシャーをかけられるドライブや前に出るスピードをもっと高めていきたい」とコメント。自分たちの置かれた立ち位置をしっかり認識して試合に臨んでいる姿勢をのぞかせた
2人は、続く22日の準々決勝では齋藤太一・古賀輝にもストレート勝ち。23日の準決勝ではドイツのマーク・ラムスフス/マルビン・シーデルに逆転勝ちし、2019年世界選手権・バーゼル大会以来となる決勝進出を決めた
保木は準決勝後、「決勝は緊張するとは思うが、自分たちの全力を出せばいい結果はついてくる、それだけ考えてやる」と意気込みを語っている
男子シングルスは、第1シードの桃田賢斗が順当に最終日まで残り、2020年1月マレーシアマスターズと同じく、デンマークのビクター・アクセルセンと優勝をかけて戦う。ただし今回は、挑戦者として
連戦の疲れを認めながらも、「試合できる方が自分は楽しい」と語る世界ランク1位にとって、「ポスト東京」のこのタイミングで、現時点の実質的な世界トップの力を決勝の場で体感できるのは、勝敗以上に得るものが大きい。桃田は準決勝に勝利した後、ビクターとの久しぶりの対戦を「楽しみ」としながら、「いままでの対戦成績は関係ない。100%、120%を出さないと簡単に負けてしまう」と述べている
女子シングルス準決勝では、山口茜が中国ホー・ビンジャオに、第1ゲームは20-17から、第2ゲームは14-7から逆転され、ゲームポイントを奪われる嫌な流れになる。しかしいずれも断ち切り、ストレート勝ちを収めて、2016、17年に次ぐ3度目の決勝の舞台に立つ
山口が試合後明かしたところでは、この日は前日までと違い、「あまり自分からスピードを上げるより、ショットのコントロールもできていたのでチャンスを見極めて攻めていく」プレーだったという。「その気持ちが強すぎて、相手にプレッシャーを与えられず連続失点してしまう場面もあったが、修正できた」と語った
山口は、長い遠征中にあっても、高いレベルのパフォーマンスを出せている理由を問われ、「団体戦は国を背負って戦う試合で、簡単に負けられないという気持ちがモチベーション。その団体戦で調子がよくなって今大会に臨めている。結果を気にせずこの調子を維持できるように思っているのがいいプレーにつながっているのでは」と答えた
決勝の相手、韓国アン・セヨンについては。「ウーバー杯で負けているのでしっかり挑戦する気持ちで」とコメント。加えて、「デンマークオープンは海外のトーナメントでも特に地元の人に応援してもらえる雰囲気が強い。楽しみ」とした
混合ダブルスは、渡辺勇大・東野有紗が準決勝で、東京で決勝進出を阻まれたワン・イーリュ/ホワン・ドンピンをファイナルゲーム16-16から振り切り、決勝に進んだ
渡辺は試合後、「悪くはなかった」が落とした第1ゲームに相手にやられた、サービス周りで上から球を処理することを「逆に自分たちができれば勝てるのでは、と話し合ったのがよかった」と振り返った。東野は、「今回、2種目で勝ち上がっているドンピンに疲れも見えたが、ファイナルゲームを勝ち切れたのは大きい」と評価した上で、「デンマークオープンはあまり勝ってるイメージはなく初めて決勝に進むので、(意味あるこの勝利も活かして)勝てるように2人で準備していきたい」と最終日に向けた意気込みを示した
決勝では、準決勝とは対照的に、渡辺・東野に東京五輪準々決勝で敗れた雪辱を期すタイのデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイの挑戦を受ける
準々決勝の結果
【男子シングルス】
①桃田賢斗<21-13,15-0棄権>ジョナタン・クリスティ(インドネシア)
②サミール・ヴェルマ(インド)<17-21棄権>トミー・スギアルト(インドネシア)
③チョウ・ティエンチェン(台湾)<16-21,21-19,19-21>リー・チュクイウ(香港)
④ビクター・アクセルセン(デンマーク)<21-19,21-19>リー・ヅージア(マレーシア)
【女子シングルス】
①カースティ・ギルモア(スコットランド)<21-15,18-21,21-11>クララ・アズルメンディ(スペイン※リザーブ繰り上がり)
②プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド)<11-21,12-21>アン・セヨン(韓国)
③ホー・ビンジャオ(中国)<21-16,21-14>ワン・ジュ―イ(中国)
④山口茜<17-21,21-13,21-11>ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ)
【男子ダブルス】
①アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク)<19-21,21-11,21-17>バガス・マウラナ/ムハマド・ショヒブル・フィクリ(インドネシア)
②ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア)<18-21,17-21>ヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイ(マレーシア)
③小林優吾・保木卓朗<21-18,21-17>齋藤太一・古賀輝
④テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア)<18-21,19-21>マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル(ドイツ)
【女子ダブルス】
①リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国)<19-21,13-21>ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ)
②グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア)<21-14,10-21,13-21>ホワン・ドンピン/ツェン・ユー(中国)
③キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国)<21-11,21-17>シア・ユーティン/リュウ・シュエンシュエン(中国)
④シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国)<21-18,23-21>サプシリー・テラッタナチャイ/プティッタ・スパジラクン(タイ)
【混合ダブルス】
①ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国)<21-14,21-17>タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港)
②渡辺勇大・東野有紗<19-21,21-12,21-14>タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア)
③プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ(インドネシア)<21-16,18-21,21-17>フェン・イェンヂゥー/ドゥ・ユエ(中国)
④デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)<21-9,11-3棄権>リー・ジェフエイ/シュー・ヤチン(台湾)
準決勝の結果
【男子シングルス】
①桃田賢斗<21-7,21-12>トミー・スギアルト(インドネシア)
②ビクター・アクセルセン(デンマーク)<21-9,21-11>リー・チュクイウ(香港)
【女子シングルス】
①アン・セヨン(韓国)<21-13,12-21,21-16>カースティ・ギルモア(スコットランド)
②山口茜<23-21,22-20>ホー・ビンジャオ(中国)
【男子ダブルス】
①アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク)<23-21,22-20>ヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイ(マレーシア)
②小林優吾・保木卓朗<20-22,21-18,21-16>マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル(ドイツ)
【女子ダブルス】
①ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ)<10-21,15-21>ホワン・ドンピン/ツェン・ユー(中国)
②シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国)<16-21,21-18,21-16>キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国)
【混合ダブルス】
①ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国)<21-16,17-21,17-21>渡辺勇大・東野有紗
②デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)<16-21,21-17,22-20>プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ(インドネシア)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】桃田賢斗対ビクター・アクセルセン(デンマーク)
【女子シングルス】山口茜対アン・セヨン(韓国)
【男子ダブルス】アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク)対小林優吾・保木卓朗
【女子ダブルス】シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国)対ホワン・ドンピン/ツェン・ユー(中国)
【男子ダブルス】デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)対渡辺勇大・東野有紗