Thomas Cup goes back to Indonesia

男子の国・地域対抗戦トマス杯は17日、決勝を迎え、過去最多優勝をほこるインドネシアが、連覇を狙う中国に3-0で完勝。2002年以来9大会ぶりにカップを自国、ひいては東南アジアへ取り戻した

準決勝の桃田賢斗との一戦で第2ゲーム、敗戦まであと1点(5-20)のところで突然、棄権した中国のエース、シー・ユーチの名が消えたことで、インドネシアの優位は高まった。ただ、インドネシアバドミントン協会(PBSI)の関係者は試合開始前、 BadPaL に対し、「それでも勝つのは容易ではない」と述べ、気を緩めることはなかった

背景には、トマス杯最多優勝回数「13」を誇る強豪国ながら、◆ヘンドラワン(49)◆マーレフ・マイナキー(49)◆トリ・クシャルヤント(47)◆チャンドラ・ウィジャヤ(46)◆シギット・ブディアルト(46)◆ハリム・ハリヤント(46)◆タウフィック・ヒダヤット(40)――を擁して勝った2002年以降、長く優勝から遠ざかっている現実がある

直近では前々回16年に決勝まで進んだが、2ー3の僅差でデンマークに敗れ優勝を逃している

ただ今回は、東京五輪銅メダルのアンソニー・シニスカ・ギンティンが、シー・ユーチに代わって第1シングルスについたルー・グアンズを相手に、「プレッシャーもあり、少し緊張していた』と認めるオープニングゲームを失うも、「気持ちを落ち着かせて楽しむよう努力した結果、プレッシャーに打ち勝つことに成功した」と話す続く2ゲームを奪い返して先勝。チームに勢いをつける

ギンティンは試合後、前日の夜、対戦相手として、シー・ユーチとルー・グアンズの両方を想定して準備していたことを明かした

2種目目の第1ダブルスに起用されたインドネシア3番手の正規ペア、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアンは、準決勝のデンマーク戦に続いてストレート勝ちを収め。バトンを第2シングルスのジョナタン・クリスティにつなぐ

リアンとファジャルは、トマス杯の決勝で第1ダブルスを任せられたことについて、「団体戦では、誰もが準備しておく必要がある」とし、「トマス杯の決勝に出場することは夢で、チームにポイントをもたらすことができてすごくうれしい」と述べた

決勝トーナメントに入り、準々決勝と準決勝、1時間越えの試合を勝ち抜いてきたクリスティは、疲れによるパフォーマンスの低下も予想された。しかし、ここ一番の大舞台に奮起。世界ランク上位のクンラウット・ウィティサンと常山幹太への勝利を含め、今大会負けなしできた若いリ・シーフォンに第2ゲームを奪われるも、ファイナルゲーム、後半一気に突き放して21-14で勝利し、歓喜に沸くチームメイトと喜びを分かち合った

“The biggest achivement for me” Jonatan says ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

クリスティは表彰式後、「アンソニー、リアンとファジャルが2-0で回してくれたおかげで自信が増した。第1ゲームは相手が少し緊張しているように見えたので、その機会を利用した。第2ゲームは自分のミスもあり押し込まれたが、ファイナルゲームに入ると、『また(昨日と同じ)100分間の試合をしよう』と自分に語りかけ、自らを奮い立たせた」と笑顔で試合を振り返った。その上で、チームをトマス杯優勝に導いたこの結果を、「自身にとって最大の功績」と表した

ただ、インドネシアはこの快挙にも、表彰式での国旗掲揚が認められない。世界反ドーピング機関(WADA)が今月7日、同国の反ドーピング機関が効果的な検査プログラムを実施していないとの裁定を下したことに起因している。そのため今回は、インドネシアバドミントン協会(PBSI)の旗(イメージ)で代用された

決勝の結果

インドネシア3ー0中国

【第1シングルス】アンソニー・シニスカ・ギンティン<18-21,21-14,21-16>ルー・グアンズ

【第1ダブルス】ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン<21-12,21-19>ホー・ジティン/ツォウ・ハオドン

【第2シングルス】ジョナタン・クリスティ<21-14,18-21,21-14>リ・シーフォン

【第2ダブルス】ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ/ダニエル・マーシン<打ち切り>リュウ・チェン/ワン・イーリュ

【第3シングルス】シェサル・ヒレン・ルスタビト<打ち切り>ウェン・ホンヤン

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◆優勝:インドネシア(※2002年以来9大会ぶり14度目、前回3位)

Team Indonesia ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

◆準優勝:中国(※前回優勝)

Team China ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

◆3位:日本(※前回準優勝)

Team Japan ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

◆3位:デンマーク(※前回3位)

Team Denmark ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

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16日に行われた準決勝で、日本は前回決勝で敗れた中国と早くも対戦。中国には、初優勝を遂げた2014年ニューデリー大会・準決勝で3-0と完勝したが、その後は、16年昆山大会・一次リーグで0-5,18年バンコク大会・決勝で1ー3と、2連敗中だ

先陣を切った桃田賢斗は、今月3日にスディルマン杯決勝で敗れたばかりのシー・ユーチと再び顔を合わせる。未だ本調子とはいえず、難しい戦いに思えた。しかし、「スディルマン杯決勝で負けていたので、次は絶対勝つ、と強い気持ちで挑めた」と試合後話した桃田は、「いいリズムで入れた」という序盤、8-3とリードする。そこから逆転されると、点の取り合いに。先にゲームポイントをつかんだのはシー・ユーチの方。ただ、それでも気持ちを切らさなかった桃田が凌いで、このゲームを22-20で取る

この場面について桃田は、「終盤競ったところからは技術ではなく、足を動かして一球でも相手の球を返そうという執念が勝った」との考えを示した。第2ゲームに入ると、「体調が良くなく、体のあちこちが痛かった」と試合後語ったシー・ユーチに追撃する気力は残っておらず、最後は、桃田が20-5とマッチポイントを握ったところで、唐突に主審へ棄権の意思を伝えた。‘’このタイミングでの棄権‘’は、フェアプレーだったか否かを含め、物議を醸し、メディアをはじめ周囲はざわついた。ただ桃田自身は、何で棄権したか分からないが、とした後、「できれば21点まで取りたかったが、チームに大事な1ポイントをもたらすことができたので、特にそこに執着はない」と冷静に応じた

Kento beat the Chinese thrice at Thomas Cup, in 2014,18 and 20 ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

日本が1ポイント先行して迎えた2種目目は、日本から保木卓朗が、小林優吾ではなく渡辺勇大と組むペア、中国から、一次リーグ第2試合以降第1ダブルスに固定されたホー・ジティン/ツォウ・ハオドンが登場した。1ゲームずつ取り合い迎えたファイナルゲーム、保木・渡辺は6-11とリードされた状態で前半を折り返すが、後半開始早々5連続得点を決め追いつく。ただ、追い抜くまでは至らず、再びじりじりと点差を広げられ、主導権を奪い返すことができないまま16-21でジエンド。試合は1-1のタイに戻った

保木は試合後、「ファイナル11-11で追いつき、そこで2、3点自分たちがリードできていれば展開が大きく変わったのでは」と悔やまれる点を挙げた。そして、やることはやったが、相手の方が決める力が少し上だった、と中国ペアとの差に触れた。渡辺は、前日と違うペアリングを指摘され、「誰と組ませてもらっても、こだわるのは勝ち。そこを目指したが、紙一重だった」と述べた。また、1-0で回ってきて、自分たちもやらなければといったプレシャーはあったか問われ、「それは全くなく、相手の方が感じていたのでは」と答えた

3種目目は、25歳常山幹太と21歳リ・シーフォンの対戦。それぞれ南京(2014年)とブエノスアイレス(2018年)に分かれるが、ユース五輪のメダリストという共通点を持つ2人は初顔合わせだったが、第1、第2ゲームともに後半突き放された常山が敗れた

常山は、「1-1でまわってきて、大事な場面で勝ち切れないのがすごく悔しい。力みより緊張で自分のプレーができなかったのが一番。相手の好きなようにプレーさせてしまった」と述べた。その一方で、隣のコートで同時に行われていた地元デンマークチームへの大音量の応援が与えた影響については、「特に気にならない、(むしろ)久しぶりに観客が入っている会場で試合ができて楽しかった」とした

China’s 21 years old shines in the semifinal ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

一方、常山を破った21歳のリ・シーフォンは、この勝利を非常にうれしいと語り、粘り強くいけたことを勝因に挙げた。さらに前日の準々決勝で、1つ年下ながらジュニア次代から先をいくタイのクンラウット・ウィティサンに初めて勝てたことが自信になっている、と語った

2000年生まれのリ・シ―フォンは、18年10月ユース五輪で金メダルを獲得。翌11月の世界ジュニア選手権では01年生まれの奈良岡功大に敗れ銅メダルだった

Only 2nd appearance for Akira/Taichi ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

日本が1-2と追い込まれた状況で出番が回ってきた4種目目、第2ダブルスの齋藤太一・古賀輝。「負けたらチームの負けにつながるが、そこは気にせず、自分たちが勝って次の西本につなげたい気持ちで試合に入った」という。ただ。正規ペアながら一次リーグ初戦以来、6日ぶりの出場となった2人は第1ゲーム、単調なプレーやミスが散見され。リュウ・チェン/ワン・イーリュに抑え込まれる。第2ゲームは修正を加え、「どちらが前に行ってもプレッシャーを与えるつもりで」と積極的な攻めの姿勢に転じる。競り合いに持ち込み先にゲームポイント(20-19)も握るが、決めきれずにストレート負け。チームの準決勝敗退が確定した



1984年以降では初めてアジア以外での開催となった今大会に強い思い入れをもつ選手の1人が、アナース・アントンセン。自分の生まれ育ったデンマーク・オーフスでトマス杯を戦えることを「生涯唯一の機会」と称し、2020年5月から同年10月、さらに21年10月へと2度の延期を経ても、準備して待ち望んでいたという

アントンセンはここまで、3戦に出場して負けなし。自身4戦目となる準決勝のインドネシア戦も、ビクター・アクセルセンに次ぐ第2シングルスに入った。ゆるぎない強さを見せるアクセルセンが先勝。続くアナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプが敗れて、1-1で出番が訪れる

相手は、ジョナタン・クリスティ。第1ゲームは18-20から逆転し、ゲームポイントを2度つかむも再逆転を許し、23-25で落としてしまう。それでも第2ゲームを後半15-14から抜け出し奪うと、その流れのまま、ファイナルゲームも序盤6-1とリードして優位に立つ。ところが直後に追い上げられ7-7。そこから追いつ追われつを繰り返しながら終盤へ向かい、最後は16-15と1点リードした場面から続けて6失点を喫し、1時間40分続いたマラソンマッチに幕。デンマークは続く第2ダブルスでも星を落とし、前回と同じ3位で自国開催の大会を終えた

Local boy shows his mixed emotion ~photo courtesy of BWF/BadmitonPhoto

敗戦の翌日、取材に応じたアントンセンは試合を振り返り、「複雑な心境。チームにポイントをもたらすことができず、すごく落胆している。ただ同時に、観客やチームメイトから受けたサポートを非常にありがたく思っている。忘れられない試合になった」と述べた

勝敗を分けたのは、の問いに、「クリスティとはほぼ同じレベルで、その日にどちらの方がいいプレーができたかで勝敗は決まる。とりわけ昨日は非常に接戦だったが、恐らく、最終盤でクリスティの方が強かったということかと思う」と回答。「ひとつ思うのはファイナルゲーム、6-1から突然ミスが出たり、集中を欠いたりして、ペースを上げていくなどできず、リードを守れなかったこと」と悔やまれる点を挙げた

デンマークのシングルス陣、アクセルセンとアントンセンは、インドネシアより優位、という試合前の周囲の声について、これまで7度対戦して3勝4敗という過去の対戦成績から見ても実力拮抗で、チャンスは50/50だったと指摘。「当日、持てる力をすべて出し、いいゲームをした」と強調した

準決勝の結果

中国3-1日本

【第1シングルス】シー・ユーチ<20-22,5-20棄権>桃田賢斗

【第1ダブルス】ホー・ジティン/ツォウ・ハオドン<21-17,7-21,21-16>保木卓朗・渡辺勇大

【第2シングルス】リ・シーフォン<21-17,21-15>常山幹太

【第2ダブルス】リュウ・チェン/ワン・イーリュ<21-11,22-20>斎藤太一・古賀輝

【第3シングルス】ウェン・ホンヤン<打ち切り>西本拳太



インドネシア3-1デンマーク

【第1シングルス】アンソニー・シニスカ・ギンティン<9-21,15-21>ビクター・アクセルセン

【第1ダブルス】マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ<21-13,10-21,21-15>アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ

【第2シングルス】ジョナタン・クリスティ<25-23,15-21,21-16>アナース・アントンセン

【第2ダブルス】ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン<21-14,21-14>マシアス・クリスチャンセン/フレデリク・スゴール

【第3シングルス】シェサル・ヒレン・ルスタビト<打ち切り>ハンス・クリスチャン・ビッティングス

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