スイスオープン(SUPER300)決勝、男女シングルスではビクター・アクセルセンとカロリナ・マリンに圧倒されたアジア勢。唯一、女子ダブルスで若いマレーシアペアが、タイトル奪取に成功した
タイのクンラウット・ウィティサンは、自身初の「SUPER300」決勝で、過去2戦2敗のビクターから「3度目の正直」を狙った

第1ゲームは序盤から一進一退の展開に。試合が動いたのは後半、ビクターが14-13から3連続得点で引き離すと、クンラウットも2連続得点で食らいつく。ただ、追いつくまではいかず、18-16から再び3連続得点を決めたビクターが先制する
すると第2ゲームは流れのまま、いきなり8-0とワンサイドで進み、前半を11-2で折り返す。後半もヨーロッパの雄が点数を与えず、21-6であっさり決着した
ビクターはこれで、昨年2月のスペインマスターズから出場した6大会連続の決勝進出で、5回目の優勝。連覇のかかる再来週の全英オープン(SUPER1000)へ弾みをつけた

女子シングルスでは、1年半前に悲願の世界タイトルを手に入れた地で、インドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥの奮起が期待された
しかし、いざふたを開けてみると、2021年は新しい自分を見せる、と公言するほどモチベーションを高く維持して試合に臨んでいるカロリナとの差を詰めることはかなわず、所要時間35分のストレート負け。完敗に終わった
ただ、2019年世界選手権・バーゼル大会の後、一度もベスト4にすら届かなかったことを考えると、上位大会ではないものの、2021年シーズンの初戦で決勝まで進めたことは、復調のきっかけとなる
一方、勝ったカロリナは、コロナウイルス感染拡大によるワールドツアー中断(2020年3~9月)から明けて、◆優勝3回◆準優勝2回◆ベスト4が1回――と確実に結果を残し続けている

アジア勢が挑んだもう一種目、女子ダブルスは、マレーシアのティナー・ムラリタラン/パーリー・タンが下馬評を覆し、第3シードのストエバ姉妹にストレートで勝利。今大会、マレーシアのみならず、アジアで唯一のタイトルホルダーになった
23歳のティナー(写真前衛)は元々シングルスの選手で、2018年には下位大会インターナショナルチャレンジでの優勝実績もある。しかしその後はインターナショナルシリーズ準優勝が一度あったものの、結果を残せず、同年11月のマレーシアインターナショナルシリーズでシングルスと並行して出たダブルスで優勝。ダブルスプレーヤーとしての可能性を見出された
かたや、来週21歳になるタンは、ジュニア時代からダブルスを専門とし、2018年にはアジアジュニアと世界ジュニアでともに準優勝するなど、将来を期待されていた選手。当初はシニアの大会にもジュニア時代と同じペアで参戦していたが、2019年6月、ティナーと初めて組んで出たマレーシアインターナショナルシリーズでいきなり優勝。同年11月と12月にはインド、バングラデシュでインターナショナルチャレジを制し、ペアとして固定されていった
そして今年1月、マレーシア3番手で挑んだタイオープン(SUPER1000)2大会で連続してベスト8入り。自信をつけて臨んだ今回、ノーシードから第2、第3シードを連破して、ワールドツアー初優勝の栄冠をつかんだ

ヨーロッパ勢同士の対戦となった男子ダブルス決勝は、デンマークのアナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセンがドイツのマーク・ラムスフス/マルビン・シーデルにストレート勝ち。昨年2月のスペインマスターズ(SUPER300)以来の優勝を遂げた
32歳と29歳のデンマーク一番手ペアは今年から、タイのクラブチームをスポンサーにつけ、世界を転戦することになっている

デンマークは今回、男子2種目のほか、混合ダブルスの決勝にもマシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエを送り込み、3種目制覇の機会があった
しかし、1月のタイ3連戦でも存在感を示したフランスのトム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリューが、第1ゲーム終盤16-19、第2ゲームは前半4-11のビハインドをいずれもひっくり返して勝利。劣勢にも気持ちを切らさぬ集中力と自信を示し、2019年フランス・オルレアンマスターズ(SUPER100)優勝を上回る、「SUPER300」初優勝を飾った
なお、このカードは前月20日、フィンランドで行われた、スディルマン杯の大陸予選を兼ねるヨーロッパ混合団体決勝(デンマーク対フランス)でも実現する予定だった。しかし、総合力で勝るデンマークが最初の3種目、男子シングルス、女子シングルス、男子ダブルスで完勝したため、出番は回ってこなかった
決勝の結果
【男子シングルス】ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)<21-16,21-6>クンラウット・ウィティサン(タイ、第8シード)

【女子シングルス】カロリナ・マリン(スペイン、第1シード)<21-12,21-5>プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第2シード)

【男子ダブルス】アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク、第6シード)<21-16,21-11>マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル(ドイツ)

【女子ダブルス】ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、第3シード)<19-21,12-21>ティナー・ムラリタラン(写真右)/パーリー・タン(マレーシア)

【混合ダブルス】トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー(フランス、第6シード)<21-19,21-19>マシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエ(デンマーク)
