スイスオープン(SUPER300)準々決勝、国家代表でないプロ3ペアによる五輪出場権争いが続くマレーシアの混合ダブルス。大会前に難しい選択を余儀なくされた3番手がこの種目、アジア勢唯一の生き残りとなった

「国内2番手、8位内」が出場権取得の条件となる五輪レースのランキングで、タン・キアンメン/ライ・ペイジンは現在、「3番手、13位」と厳しい立ち位置にいる。加えて、2回戦負け、初戦敗退と振るわなかった1月のタイ2連戦の結果を踏まえ、2月、マレーシアバドミントン協会(BAM)から、28歳のペイジンに対し「代表落ち」が通達された
26歳のキアンメンは代表に残ることを許されたが、2人でレースを戦い抜くことを決め、自ら代表を辞退。時間のない中、スポンサー獲得が難航するなど紆余曲折を経た後、渡航・滞在費用負担の大きい今回のヨーロッパ遠征を決行した
1、2回戦はともにストレートで順調に勝ち上がったが、準々決勝の相手は、初戦でいきなり第2シードを破って勢いに乗るサトウィクサイラジ・ランキレディ/アシュウィニ・ポンナッパ。これまで勝ったことはなかったが、1時間を越えるフルゲームの末に勝利を収め、準決勝進出を決めた。ただ、五輪出場圏内に入るためには負けられない戦いが続く

一方、リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得後、代表を離れプロとして競技を続けているチャン・ペンスーン/ゴー・リュウインは、「1番手、7位」で東京五輪出場圏内。上位陣不在で第1シードに入った今大会、明確に優勝を目標に掲げていた
ところが、ノーシードのマシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエ相手に第1ゲームを先取。第2ゲームも19-18と勝利まであと2点まで詰めながら、試合をひっくり返され逆転負け。ベスト8どまりで、残り少なくなった五輪レースで、自らの立ち位置を強固なものにするには至らなかった

ライ・ペイジン同様、2月に代表から外された「2番手、11位」のゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライのベスト4進出を阻んだのは、昨シーズン辺りからアジア勢の牙城切り崩しに成功し、存在感を放ち始めているフランスペア、トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー。準決勝では、この種目唯一のアジア勢でもあるタン・キアンメン/ライ・ペイジンと決勝進出をかけ対戦する

シングルスでは、男女ともシード選手が順当に勝ち上がり、とりわけ女子は第1~4シードがそろって準決勝4枠に名を連ねた
中でもプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥは、2019年8月世界選手権以来のベスト4入り。世界チャンピオンの称号を手にしたこの地で再び優勝し復調をアピールできるか、注目される
準々決勝の結果
【男子シングルス】
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)<21-17,21-12>(インドネシア、第7シード)シェサル・ヒレン・ルスタビト
キダンビ・スリカンス(インド、第4シード)<21-19,21-15>(タイ、第6シード)カンタポン・ワンチャロン
クンラウット・ウィティサン(タイ、第8シード)<21-9,21-6>(インド)アジャイ・ジャヤラム
リー・ヅージア(マレーシア、第2シード)<21-14,21-17>(インド、第5シード)バーミディパティ・サイ・プラニース
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、第1シード)<21-13,21-13>(USA,第7シード)ツァン・ベイウェン
ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第3シード)<21-11,21-15>(デンマーク)リネ・クリストファーセン
ミア・ブリクフェルト(デンマーク、第4シード)<21-10,21-7>(タイ)ピッタヤポーン・チャイワン
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第2シード)<21-16,23-21>(タイ、第5シード)ブサナン・ウンバンルンパン
【男子ダブルス】
アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第1シード)<21-18,9-21,21-16>(インドネシア)ダニエル・マーシン/レオ・ロリー・カルナンド
マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル(ドイツ)<21-14,18-21,21-9>(タイ)ニピトポン・プアンプアぺト/タヌパト・ウィリヤンクラ
アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク、第6シード)<21-17,16-21,21-13>(マレーシア)ウン・エンチョン/ロウ・ハンイー
シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド、第2シード)<12-21,21-19,21-12>(マレーシア、第5シード)テオ・イーイ/オン・ユーシン
【女子ダブルス】
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第1シード)<21-19,21-13>(オランダ、第8シード)セリーナ・ピーク/シェリル・セイネン
ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、第3シード)<21-18,21-14>(デンマーク、第5シード)サラ・チューセン/マイケン・フォーゴール
ティナー・ムラリタラン/パーリー・タン(マレーシア)<21-19,21-10>(デンマーク)フレイヤ・ラブン/アマリー・マージルンド
リー・メンイーン/チョウ・メイクアン(マレーシア、第2シード)<22-20,21-16>(カナダ、第7シード)クリステン・ツァイ/レイチェル・ホンデリッチ
【混合ダブルス】
(マレーシア、第1シード)<21-14,19-21,15-21>マシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエ(デンマーク)チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン
マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第3シード)<14-21,21-14,21-10>(ドイツ、第7シード)マーク・ラムスフス/イザベル・ハートリッヒ
(マレーシア、第4シード)<21-14,14-21,19-21>トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー(フランス、第6シード)ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ
タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、第5シード)<21-17,16-21,21-18>(インド)サトウィクサイラジ・ランキレディ/アシュウィニ・ポンナッパ
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)対キダンビ・スリカンス(インド、第4シード)
リー・ヅージア(マレーシア、第2シード)対クンラウット・ウィティサン(タイ、第8シード)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、第1シード)対ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第3シード)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第2シード)対ミア・ブリクフェルト(デンマーク、第4シード)
【男子ダブルス】
アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第1シード)対マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル(ドイツ)
シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド、第2シード)対アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク、第6シード)
【女子ダブルス】
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第1シード)対ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、第3シード)
リー・メンイーン/チョウ・メイクアン(マレーシア、第2シード)対ティナー・ムラリタラン/パーリー・タン(マレーシア)
【混合ダブルス】
マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第3シード)対マシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエ(デンマーク)
タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、第5シード)対トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー(フランス、第6シード)