
世界ジュニア選手権で2017年銅メダル、18年銀メダルとひとつずつ階段を上がってきた奈良岡功大が、18歳になったジュニア最後の年、ロシア・カザン大会に出場できなくなったことが、国際的に注目を集めている
東京五輪を目指すA代表以外への関心の小さい日本国内では特に取り上げられることはないが、最新の世界ジュニアランキング(10日付)で3位につける奈良岡に注意を払うライバルの属するタイ、カナダ、インドネシアのメディア、それに世界バドミントン連盟(BWF)の関係者が「何が起きた?」と反応した
タイには世界1位で今年3連覇に挑むクンラウット・ウィティサン(18)、カナダには4位で同国初のメダル獲得が期待されるブライアン・ヤン(17)がいる。またインドネシアは今大会チームランク1位で、団体戦優勝を狙っている

奈良岡は、まだ中学生だった2016年から世界ジュニア選手権に派遣されてきた。経験を積む目的で初めて出場したスペイン・ビルバオ大会は、団体戦の出場機会は一次リーグの1試合のみ。個人戦はシード選手に敗れ、ベスト16どまりだった。一方で、松山奈未・保原彩夏の女子ダブルス日本勢初優勝を目の当たりにした

高校1年で臨んだ2年目のインドネシア・ジョグジャカルタ大会は、団体戦準決勝で敗れた中国から唯一の白星を挙げるなど若きエースとして奮闘。個人戦はアジアジュニア選手権覇者、マレーシアのリョン・ジュンハオに準決勝で敗れたが、銅メダル。初めて表彰台に上がった。この年は、久保田友之祐・金子真大が男子ダブルス初制覇を遂げた

3年目のカナダ・マーカム大会では、団体戦準決勝で中国相手にチームは2対3で敗退となったが、1勝をもたらしエースの役割を果たした。個人戦は、準決勝でユース五輪金メダルの中国リ・シーフォンを団体戦に続いて破り、決勝まで進む。しかし、勝ち上がりの疲労が大きく、13歳の時<https://badpal.net/2014/11/18/there-is-always-better-one-13-year-old-kodai-faces-to-the-world/>から国際舞台で競い合うライバル、クンラウット・ウィティサンに敗退。銀メダル(=この大会、日本唯一の個人戦メダル)に終わっていた
そして今回、高校3年で迎える4年目のロシア・カザン大会が最後の挑戦機会になるはずだった。しかし一義的な問題として、9月末~10月の開催で、茨城・国民体育大会と一部競技日程が重なった。奈良岡の国体出場を希望する青森県協会と日本協会の間で話し合いが行われ、結果的に国体(9月29日~10月2日)を優先することになり、先に実施される世界ジュニア団体戦(9月30日~10月5日)の出場が叶わなくなった。そのため国体後に間に合う世界ジュニア個人戦(10月7~13日)への出場を探ったが、認められず、3日付発表の派遣選手リストから名前が外れた
決定に際し、団体戦に出場する選手を優先する意向が示されたと伝えられるが、問い合わせた日本協会広報から回答はなかった
BWFの関係者は BadPaL に対し、世界ジュニア選手権において、エントリー締切日までに登録していれば、選手の個人戦のみの出場は認められることを確認。仮に(日程的に)団体戦に出られないから個人戦も出場できないというのは不可解とし、ジュニアランク3位、実績もある奈良岡が、最後の年に「欠席」となることを残念に思う気持ちを示唆した
奈良岡は、バドミントン専門誌が先ごろウェブ上に掲載した記事(後に内容削除)の中で、今年の世界ジュニアでのタイトル奪取に向けた強い意欲を語っていた。それを踏まえ今回の決定について、自身の想いは記事の通りで、金メダルへの最後の挑戦機会が失われ、どうすることもできないあきらめにも似た脱力感もあり残念だったという。ただ、今は気持ちを切り替え、「国体で地元青森に恩返しをする」と述べている
世界ジュニア・カザン大会へのエントリーは、BWF本部のあるマレーシア・クアラルンプールの時間で、17日午後11時59分に締め切られる