世界選手権4日目、各種目3回戦が行われベスト8が出揃い、日本勢の勝ち残りは16人。ほとんどがストレート勝ちの勝者と、わずかな差で涙を飲んだ敗者、明暗が分かれた

勝ってベスト8入りした日本選手は、【男子シングルス】桃田賢斗【女子シングルス】奥原希望【男子ダブルス】園田啓悟・嘉村健士、小林優吾・保木卓朗【女子ダブルス】永原和可那・松本麻佑、高橋礼華・松友美佐紀、福島由紀・廣田彩花、米元小春・田中志穂【混合ダブルス】渡辺勇大・東野有紗――
このうちフルゲームを戦ったのは、第1ゲーム、終盤20-17から逆転された園田・嘉村のみで、ほかはすべてストレート勝ち。福島・廣田も第1ゲーム、20-13から追いつかれるもたつきを見せたが、22-20できり抜け、事なきを得ている
日本女子シングルス陣で唯一の勝ち残りとなった奥原の相手は、7月の取材時、対戦間隔が空いているとして、今戦いたい上位選手として名前を挙げた韓国ソン・ジヒョン。2018年11月の中国・福州オープン以来で、どのような試合になるか注目されたが、始まってみると、序盤こそもみあったものの、徐々に奥原が自分のペースに持ち込み、その流れのまま勝ちを手にした
奥原は、初優勝を遂げた2017年から3大会連続のベスト8入り。ただ、昨年はここから先に進めなかっただけに、さらに上、が至上命題となる
男子ダブルスでは、小林・保木が、今シーズン躍進のきっかけの1つになった3月アジア男女混合団体戦で初めて勝てた中国2番手を抑え込んで勝利。先に中国3番手を破った園田・嘉村が待つ準々決勝へ進んだ。2017年、18年と続いた2回戦負け(ベスト32)の結果を既に上回り、3度目の挑戦でメダルに届くか
女子ダブルスは日本の4ペアが順当に勝ち上がり。第1~8シードがすべて残った準々決勝で、まずはベスト4入りを争う。永原・松本と米元・田中は同国対決、高橋・松友と福島・廣田はそれぞれ、中国リ・インフェイ/ドゥ・ユエ、韓国シン・スンチャン/イ・ソヒとの対戦になる
混合ダブルスの渡辺・東野は、7月インドネシアオープン(SUPER1000)で途中棄権により初黒星を喫したイングランドのクリス・アドコック/ガブリエル・アドコックに快勝。17年ベスト32、18年ベスト16を受けてのベスト8入りで、結果でも成長を証明している。準々決勝では、前月、ジャパンオープン(SUPER750)でストレート負けしたマレーシアのチャン・ペンスーン/ゴー・リュウインを相手に、メダル獲りに挑戦する

一方、この日敗れた日本勢のうち、西本拳太、常山幹太、金子祐樹・井上拓斗は、あと1、2点が遠く、勝機を逸した
西本は、世界ランクがほぼ同じ、直近の対戦で敗れているマレーシアのリー・ヅージアと1ゲームずつ取り合う。迎えたファイナルゲーム、17-20と後がなくなったところから連続得点を決め追いついて見せたが、そのまま押し切ることは叶わず、20-22で敗退。世界最高峰の舞台でメダルをかけた日本の1、2番手による直接対決、は実現できなかった
金子・井上は過去5戦全敗の第2シード、中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイに、オープニングゲームを11-21と圧倒されるが、盛り返して、ファイナルゲームまで持ち込む。一進一退の攻防を経て17-20とマッチポイントを握られるが、ここでも食い下がり1点差まで詰め寄る。ただ次の1点が取れずに、敗戦となった
常山は、開幕前日の記者会見で、「今大会、メダルなしでは満足しない」と言い切った優勝候補の一角、デンマークのアナース・アントンセンとの大一番に臨んだ。いきなり1-13と劣勢に立たされるが、気持ちを切らさずに追い上げ20-20で並ぶと、次の1点も奪ってゲームポイントを握る。しかし決め切れず、21-23で第1ゲームを落とす。第2ゲームも果敢に挑み、前半を11-8とリードして折り返す。後半追い上げられ17-18。ここも追いついて見せたが、最後は地力に勝る相手に3連続得点を許し、及ばなかった
日本選手以外では、男女シングルスで、6月のヨーロッパ競技大会チャンピオン、デンマークのアナース・アントンセンとミア・ブリクフェルトが、アジア勢によるベスト8独占に待ったをかけた
ブリクフェルトは、「子どもの頃、テレビで試合を見ていた」というインドのベテラン、サイナ・ネワルと初めて対戦。第1ゲームを落とした後、切り替えて臨んだ第2ゲームの出だしで流れをつかむと、2ゲームを連取し、逆転勝ちを収めた
試合後には、大会初日(19日)に22歳になったばかりで、獲得を夢見ていた世界選手権のメダルで誕生日を祝えればと述べ、中国のエース、チェン・ユーフェイと対峙する準々決勝で全力を出し切りたいと意気込んだ
一方、ネワルは、世界選手権には2006年から11回連続で出場しているが、20代最後の今年、09年以降一度も外してこなかったベスト8に届かず、大会を終えた。過去、表彰台に上がったのは、15年(銀メダル)と17年(銅メダル)の2回
また、第1シードの山口茜を破るなど、今大会台風の目となっているシンガポールの20歳ヨー・ジアミンが、ベトナムのヴ・ティチャンを破りベスト8入りを果たした。同じく、シード選手を倒してここまで勝ち上がったシンガポールの22歳ロー・キーンユーは、第2シードの台湾チョウ・ティエンチェンにファイナルゲーム16-18まで迫ったが、敗れ、初めての世界選手権、結果はベスト16となった
4日目(3回戦)の結果
【男子シングルス】
①桃田賢斗(第1シード)<21-19,21-12>(インド)プラノイ・ハシーナ・スニルクマール
②(第8シード)<15-21,21-11,20-22>リー・ヅージア(マレーシア、第14シード)西本拳太
③ジョナタン・クリスティ(インドネシア、第4シード)<21-12,21-16>(デンマーク)ヤン・ヨルゲンセン
④(インドネシア、第6シード)<19-21,13-21>B.サイ・プラニース(インド、第16シード)アンソニー・シニスカ・ギンティン
⑤アナース・アントンセン(デンマーク、第5シード)<23-21,21-18>(第13シード)常山幹太
⑥チェン・ロン(中国、第3シード)<21-13,17-21,21-16>(香港、第9シード)ウン・カロン
⑦(インド、第7シード)<14-21,13-21>カンタポン・ワンチャロン(タイ、第12シード)キダンビ・スリカンス
⑧チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)<21-13,18-21,21-17>(シンガポール)ロー・キーンユー
【女子シングルス】
①ヨー・ジアミン(シンガポール)<21-15,14-21,21-16>(ベトナム)ヴ・ティチャン
②ラッチャノク・インタノン(タイ、第7シード)<18-21,23-21,21-10>(インドネシア、第14シード)グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン
③奥原希望(第3シード)<21-18,21-13>(韓国、第10シード)ソン・ジヒョン
④ホー・ビンジャオ(中国、第6シード)<21-18,21-14>(中国、第13シード)ハン・ユエ
⑤(インド、第8シード)<21-15,25-27,12-21>ミア・ブリクフェルト(デンマーク、第12シード)サイナ・ネワル
⑥チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)<21-18,17-21,21-17>(カナダ、第11シード)ミッシェル・リ
⑦プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード)<21-14,21-6>(USA,第9シード)ツァン・ベイウェン
⑧タイ・ツーイン(台湾、第2シード)<24-22,24-22>(韓国)キム・ガウン
【男子ダブルス】
①(台湾、第11シード)<21-19,21-23,16-21>チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)リー・ヤン/ワン・チリン
②ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第7シード)<21-23,21-11,21-11>ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第14シード)
③ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第4シード)<21-19,21-16>(スコットランド)アダム・ホール/アレキサンダー・ダン
④(デンマーク、第8シード)<19-21,21-12,17-21>リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン(台湾、第13シード)アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン
⑤(中国、第6シード)<18-21,16-21>小林優吾・保木卓朗(第12シード)ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ
⑥園田啓悟・嘉村健士(第3シード)<21-23,21-14,21-12>(中国、第10シード)タン・チアン/ホー・ジティン
⑦ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第16シード)<21-18,21-17>(ドイツ)マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル
⑧リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)<21-11,19-21,21-19>金子祐樹・井上拓斗
【女子ダブルス】
①永原和可那・松本麻佑(第1シード)<21-19,21-19>(デンマーク、第16シード)サラ・チューセン/マイケン・フォーゴール
②米元小春・田中志穂(第8シード)<21-18,21-18>(タイ、第11シード)ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン
③チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第4シード)<19-21,21-17,21-16>(韓国、第9シード)キム・ソヨン/コン・ヒヨン
④グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第5シード)<21-19,21-16>(ブルガリア、第10シード)ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ
⑤リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)<21-15,11-21,21-8>(マレーシア、第15シード)ビビアン・フー/ヤップ・チェンウェン
⑥高橋礼華・松友美佐紀(第3シード)<21-12,21-13>(マレーシア、第13シード)リー・メンイーン/チョウ・メイクアン
⑦シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)<21-17,21-18>(インドネシア、第14シード)リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス
⑧福島由紀・廣田彩花(第2シード)<22-20,21-16>(中国、第12シード)ツェン・ユー/リ・ウェンメイ
【混合ダブルス】
①ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-17,21-12>(インドネシア、第10シード)ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ
②ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第7シード)<21-17,21-6>(タイ、第15シード)ニピトポン・プアンプアぺト/サビトリー・アミトラパイ
③渡辺勇大・東野有紗(第3シード)<21-13,21-11>(イングランド、第11シード)クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック
④チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第5シード)<17-21,21-13,21-14>保木卓朗・永原和可那
⑤(インドネシア、第6シード)<13-21,23-21,8-21>ロビン・タベリング/セリーナ・ピーク(オランダ)プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ
⑥デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)<21-17,21-7>(マレーシア、第14シード)タン・キアンメン/ライ・ペイジン
⑦(イングランド、第8シード)<14-21,14-21>タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第9シード)マーカス・エリス/ローレン・スミス
⑧ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)<21-9,21-19>>(中国、第16シード)ルー・カイ/チェン・ルーリ
------------------------------------
5日目(準々決勝)の対戦カード
【男子シングルス】
①桃田賢斗(第1シード)対リー・ヅージア(マレーシア、第14シード)
②ジョナタン・クリスティ(インドネシア、第4シード)対B.サイ・プラニース(インド、第16シード)
③チェン・ロン(中国、第3シード)対アナース・アントンセン(デンマーク、第5シード)
④チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)対カンタポン・ワンチャロン(タイ、第12シード)
【女子シングルス】
①ラッチャノク・インタノン(タイ、第7シード)対ヨー・ジアミン(シンガポール)
②奥原希望(第3シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第6シード)
③チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)対ミア・ブリクフェルト(デンマーク、第12シード)
④タイ・ツーイン(台湾、第2シード)対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード)
【男子ダブルス】
①ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第7シード)対チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)
②ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第4シード)対リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン(台湾、第13シード)
③園田啓悟・嘉村健士(第3シード)対小林優吾・保木卓朗(第12シード)
④リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)対ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第16シード)
【女子ダブルス】
①永原和可那・松本麻佑(第1シード)対米元小春・田中志穂(第8シード)
②チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第4シード)対グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第5シード)
③高橋礼華・松友美佐紀(第3シード)対リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)
④福島由紀・廣田彩花(第2シード)対シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)
【混合ダブルス】
①ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第7シード)
②渡辺勇大・東野有紗(第3シード)対チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第5シード)
③デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)対ロビン・タベリング/セリーナ・ピーク(オランダ)
④ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)対タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第9シード)