フレンチオープン(SUPER750)準々決勝、混合ダブルスの渡辺勇大・東野有紗が再び、「ナッチル越え」を果たし、桃田賢斗、山口茜、永原和可那・松本麻佑とともにベスト4入りした

東野が今シーズン初め、BadPaL の取材に対し、混合ダブルスの教えを乞いたい選手として挙げたインドネシアのスペシャリスト、リリアナ・ナッチルを2回続けて破った
2度目の挑戦で初勝利を挙げた中国オープン2回戦<https://badpal.net/2018/09/21/giant-killer-yuta-arisa-overcomes-xd-specialist-liliyana-natsil/>から1カ月余り、パリで実現した3度目の試合も、前2回と同じくファイナルゲームまでもつれた。しかし、13-14から4連続得点で抜け出し、なおも点差を詰めてくるディフェンディングチャンピオンを21-18で振り切った
スポンサー契約が切れる今シーズン末での引退の可能性が伝えられる33歳のナッチルは、次の福州中国オープン(SUPER750)はエントリーしているが、「SUPER500」以上の格付けでは今シーズン最終戦となる香港オープン(sUPER500)にはエントリーしていない(パートナーのタントウィ・アーマドは若手と組んで出場予定)
上位8ペアによるシーズン最後の「HSBCワールドツアーファイナル」への出場も微妙な情勢。福州中国オープンでは、渡辺・東野とは決勝まで当たらない組み合わせになっており、今回が公式戦最後の対戦となる可能性もある
ナッチルは、現在組むタントウィ・アーマドとのペアで、◆世界選手権優勝2回(2013、17年)◆リオデジャネイロ五輪金メダル――、前のパートナーであるノバ・ウィディアントとは、◆世界選手権優勝2回(05、07年)◆北京五輪銀メダル――など、これまでに数々の栄冠を手にしている
男子シングルス桃田の相手は、前週のデンマークオープンを含め、今シーズンだけで既に4度対戦し全勝しているインドのスリカンス・キダンビ。第1ゲームを21-16で先取し、第2ゲームも17-10と大きくリードするが、ここから17-19と一度逆転を許す。しかし直後に連続得点を決め、何事もなかったかのように再度抜き返してストレート勝ち。連覇を狙うディフェンディングチャンピンを相手に強さを見せた
女子シングルス山口は、現世界ジュニアチャンピオンでもあるインドネシアの19歳グレゴリア・マリスカ・トゥンジュンと対戦した。初顔合わせとなった9月のアジア大会団体戦では不覚を取った(16-21,21-9,18-21)が、2度目のこの日は第1ゲームを取り、第2ゲーム前半を11-6で折り返したところで、相手棄権(※)により勝利となった(※デンマークオープンから続く腰の痛みの悪化)
女子ダブルスの準々決勝には、日本から3ペアが登場したが、勝ち残りは、前日、第1シードの福島由紀・廣田彩花を降した韓国チャン・イエナ/チョン・ギョンウンに、フルゲームの末、勝利した世界チャンピオン永原・松本のみ
ノーシードから勝ち上がった福万尚子・與猶くるみは、第7シードの韓国シン・スンチャン/イ・ソヒから1ゲームを奪うも敗退
フレンチオープン初優勝の期待もあった第2シードの高橋礼華・松友美佐紀は、ブルガリアのステファニ・ストエバ/ガブリエラ・ストエバの粘り強いプレーの前につぶされ、昨年と同じベスト8で今年の大会を終えた

ストエバ姉妹は9月、BadPaL の単独取材に応じ、デンマークのカミラ・リタ・ユール/クリスティナ・ペダーセンが戦線離脱したことで、ヨーロッパ1番手のペアとして国際大会に臨む心境について、「特に身構えたり意識したりすることはない」と淡々と答えた
ただ、以前よりシェープアップされた体の変化を指摘すると、「男子シングルスの元選手をコーチに迎えてフィジカルトレーニングが増え、1時間を越える試合を続けてできるようになった」と少し自信をのぞかせていた。今回、過去4戦いずれもストレート負けばかりだったリオデジェネイロ五輪金メダリストと59分の試合を戦い、初勝利を挙げて、その成果を示した
外国勢は、中国がシングルス陣に復調の兆しか、男女とも2人ずつ準決勝に進んだ。また、男女ダブルスを通じて唯一勝ち残っていたツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイはこの日も勝ち、準決勝に進んだ。混合ダブルスは、第1シードのツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオンは順当勝ちしたが、第2シードのワン・イーリュ/ホワン・ドンピンは、デンマークオープンに続いてタイのデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイに連敗し、ベスト4に残れなかった
対照的にインド勢は、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ、サイナ・ネワル、キダンビ・スリカンスと期待のシングルス陣3人が相次ぎ敗退。残ったのは、同国対決に勝った男子ダブルスのシラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ。ただ、デンマーク、フランスと2週連続で奥原希望を破るなどしたサイナ・ネワルは、今回のヨーロッパ遠征を通じ次につながる自信と手応えをつかんでいる
準々決勝の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)<21-16,21-19>(インド、第5シード)キダンビ・スリカンス
チェン・ロン(中国、第6シード)<21-18,12-21,21-16>(インドネシア)ジョナタン・クリスティ
(タイ)<21-12,11-21,17-21>ラスムス・ゲムケ(デンマーク)ワンチャロン・カンタポン
シー・ユーチ(中国、第2シード)<21-11,21-13>(韓国、第7シード)ソン・ワンホ
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<22-20,21-11>(インド)サイナ・ネワル
チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)<16-21,21-16,21-13>(タイ、第6シード)ラッチャノク・インタノン
(インド、第3シード)<13-21,16-21>ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ
山口茜(第2シード)<21-15,11-6棄権>(インドネシア)グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)<21-17,21-11>(台湾、第7シード)チェン・フンリン/ワン・チリン
シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド)<21-17,21-11>(インド)B.スミース・レディ/マヌ・アトリ
リー・ジェフエイ/リー・ヤン(台湾)<21-19,17-21,22-20>(ロシア)ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ
(台湾)<17-21,18-21>ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国)リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン
【女子ダブルス】
永原和可那・松本麻佑(第5シード)<21-13,14-21,21-17>(韓国)チャン・イエナ/チョン・ギョンウン
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第3シード)<18-21,21-16,21-12>(デンマーク)サラ・チューセン/マイケン・フォーゴール
シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第7シード)<21-13,20-22,21-14>福万尚子・與猶くるみ
(第2シード)<8-21,16-21>ステファニ・ストエバ/ガブリエラ・ストエバ (ブルガリア)高橋礼華・松友美佐紀
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-16,21-19>(イングランド)マーカス・エリス/ローレン・スミス
(インドネシア、第3シード)<16-21,21-16,18-21>渡辺勇大・東野有紗タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル
ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国)<21-14,21-11>保木卓朗・永原和可那
(中国、第2シード)<21-16,18-21,15-21>デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)対チェン・ロン(中国、第6シード)
シー・ユーチ(中国、第2シード)対ラスムス・ゲムケ(デンマーク)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)
山口茜(第2シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)対シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド)
リー・ジェフエイ/リー・ヤン(台湾)対ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国)
【女子ダブルス】
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第3シード)対永原和可那・松本麻佑(第5シード)
シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第7シード)対ステファニ・ストエバ/ガブリエラ・ストエバ (ブルガリア)
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対渡辺勇大・東野有紗
デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)対ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国)