
台湾オープンGPゴールド決勝、B代表の川上紗恵奈選手が今大会5試合すべてストレート勝ちで、約2年ぶり2度目のGPゴールド優勝を飾った。試合後には BadPaL に対し、東京五輪を目指し、上位大会スーパーシリーズ(SS)の優勝にからむ活躍を見せるA代表との厳しい戦いに挑んでいく覚悟を、あらためて示した
勝てて率直にうれしいが、相手が準決勝で見せた気合いを決勝でも見せていたのか分からない――。川上選手は優勝直後、BadPaL にこう語った。2015年以来となる、SSの次に位置する国際タイトル獲得にも、冷静だった
17歳でマレーシアの若きエースとして国・地域別対抗戦スディルマン杯に出場するなど、国際的に広く知られたゴー・ジンウェイ選手に対し、「知名度に負けたくない」と臨んだ試合。自分のプレーについては、「プレッシャーはあったが、会場内に吹く風に惑わされずできた。ギリギリ合格点」と評したが、ゴー選手のミスで点数を得た部分も多く、「ベストの相手を倒したかった」と、久々の優勝にも複雑な心境を吐露した

川上選手は17歳で出場した15年ニュージーランドオープンで、ジュニア時代に活躍した選手がシニアの大会でも通用するかを測る、いわば若手の登竜門、GPゴールドのタイトルを早々に手にした。しかしその後は、16年USオープン、17年チャイナマスターズと2度決勝に進みながら、それぞれ峰歩美選手、大堀彩選手に敗れ、優勝を逃している
今回、4度目の決勝で2つ目のタイトルを手にしたわけだが、「2年前に勝っていたことで、GPゴールド優勝の具体的なイメージをつかむことができた。その後の2度の決勝は、当時の出来では、どうして勝てないのかというより、現実を見せられた感じ。むしろそこからまた向かっていけた」という
現在、日本の女子シングルスをけん引する山口茜、奥原希望、佐藤冴香のA代表3選手は皆、GPゴールドより2つ上の格付けにある大会、SSプレミアでの優勝実績がある。この種目で東京五輪を目指すと言うからには、先をいく3人を上に見ていては話にならない。今回の優勝で日本8番手から7番手に上がる川上選手にこの点を聞いたところ、年末の全日本総合選手権で勝ってA代表入りを目指すのはもちろんのこと、「B代表の派遣や自費参戦の大会でも結果を残し、A代表でいけると認めてもらう。東京五輪も声高に狙っていく」と覚悟を示した
このほかの4種目は、開催地台湾と韓国が2つずつ、タイトルを分け合った

韓国は、国家代表を引退したコ・ソンヒョン選手(30)に代わる、新たなパートナーを探している元混合ダブルス世界ランク1位キム・ハナ選手(27)が、若いソ・スンジェ選手(19)とのペアで、台湾期待のワン・チリン/リー・チアシン組にストレート勝ち。国際大会初優勝を果たす
女子ダブルスでは、準決勝で永原和可那・松本麻佑組を破った韓国4番手キム・ソヨン/チェ・ユジョン組が、同3番手につけるユ・ヘウォン/キム・ヘリン組を一蹴して、昨年9月のインドネシアマスターズ以来、2つ目となるGPゴールドのタイトルを手にした
一方、台湾勢はまず、台湾トップ2ペアの対戦となった男子ダブルスで2番手のチェン・フンリン/ワン・チリン組が優勝し、決勝で金子祐樹・井上拓斗組を破った4月のチャイナマスターズに次ぐ、今シーズンGPゴールド2勝目を挙げた

そして、最終種目のコートに立った男子シングルスのエース、チョウ・ティエンチェン選手(27)。インドネシアオープンSSプレミアで中国リン・ダン選手を破るなど、力をつけた2番手ワン・ツーウェイ選手(22)に第1ゲームを奪われ、第2ゲームも14-17と追い込まれながら、逆転勝ちで2連覇達成。スケジュールの関係から、女子シングルス世界1位タイ・ツーイン選手をはじめスター不在となった今大会を、最後、台湾のバドミントンを支える大黒柱として大いに盛り上げ、締めくくった
決勝の結果
【男子シングルス】 チョウ・ティエンチェン(台湾、世界6位)〈18-21,21-19,21-15〉ワン・ツーウェイ(台湾、世界18位)
【女子シングルス】 ゴー・ジンウェイ(マレーシア、世界44位)〈17-21,17-21〉川上紗恵奈(世界59位)
【男子ダブルス】 リー・ジェフエイ/リー・ヤン(台湾、世界9位)〈16-21,20-22〉チェン・フンリン/ワン・チリン(台湾、世界15位)
【女子ダブルス】 ユ・ヘウォン/キム・ヘリン(韓国、世界21位)〈11-21,12-21〉キム・ソヨン/チェ・ユジョン(韓国、世界33位)
【混合ダブルス】 ワン・チリン/リー・チアシン(台湾、世界27位)〈20-22,10-21〉ソ・スンジェ/キム・ハナ(韓国、世界ランクなし)