Japan to face tough fight against Malaysia in group stage of Sudirman

Sudirman Cup goes Downunder for the first time @archives

アジア、ヨーロッパ以外で初めて開催される、男女混合国・地域別対抗戦スディルマン杯ゴールドコースト大会の開幕が21日に迫った。各国・地域の出場選手リストも出揃い、7連覇のかかる中国をはじめ、多くのチームは現在、最終のトレーニングを行っている。第1~4シードのチームの登録選手をすべて紹介するとともに、日本の一次リーグを展望する

1989年創設のスディルマン杯はこれまで、アジアで6回(インドネシア1※初回、中国4、マレーシア1)、ヨーロッパで8回(デンマーク2、スコットランド2、イングランド1、スイス1、オランダ1、スペイン1)と、28年で計14回開催されてきた。15回目の今回、初めて南半球に移動し、オーストラリア・クイーンズランド州ゴールドコーストが会場となる

参戦するのは、27の国と地域の代表チーム。このうち、チームランキング順に、【1位】中国【2位】デンマーク【3位】韓国【4位】日本【5位】マレーシア【6位】インドネシア【7位】タイ【8位】台湾【9位】インド【11位】香港【12位】ロシア【13位】ドイツ(※【10位】イングランドの出場辞退で繰り上がり)――の計12チームがグループ1に属し、3チームずつ4つの組に分かれ、21~24日、総当たりの一次リーグを戦う

優勝に絡んでくるとみられる第1~4シードの登録選手は、以下の通り(*は混合ダブルス出場の可能性もある選手)

◆第1シード:中国(19)

【男子】

〈シングルス〉 シー・ユーチ(世界5位)、リン・ダン(世界7位)、チェン・ロン(世界8位)

〈ダブルス〉 リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(世界3位)、フー・ハイファン/ツァン・ナン*(世界26位)、ルー・カイ*、ツェン・シウェイ*

【女子】

〈シングルス〉 スン・ユ(世界6位)、ホー・ビンジャオ(世界7位)、チェン・ユーフェイ(世界11位)

〈ダブルス〉 チェン・チンチェン*/ジア・イーファン(世界5位)、ホワン・ドンピン/リ・インフェイ*(世界7位)、タン・ジンフア/ホワン・ヤチオン*(世界18位)、バオ・イーシン

◆第2シード:デンマーク(19)

【男子】

〈シングルス〉 ビクター・アクセルセン(世界3位)、ヤン・ヨルゲンセン(世界4位)、アナース・アントンセン(世界17位)、ハンス・クリスチャン・ビッティングス(世界18位)

〈ダブルス〉 マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(世界2位)、マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(世界7位)、アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(世界9位)、ヨアキム・フィッシャー・ニールセン*、マシアス・クリスチャンセン*

【女子】

〈シングルス〉 リネ・ケアースフェルト(世界26位)、ナタリア・コッホ・ロデ(世界41位)、ミア・ブリクフェルト(世界45位)

〈ダブルス〉 カミラ・リタ・ユール/クリスティナ・ペダーセン*(世界2位)、サラ・チューセン*/マイケン・フォーゴール(世界19位)

◆第3シード:韓国(16)

【男子】

〈シングルス〉 ソン・ワンホ(世界2位)、チョン・ヒョクチン(世界41位)、イ・ドンクン(世界42位)、ソ・スンジェ(世界244位)

〈ダブルス〉 チェ・ソルギュ*、キム・ドクヨン、パク・キョンフン*、キム・ウォンホ*

【女子】

〈シングルス〉 ソン・ジヒョン(世界5位)、イ・チャンミ(世界40位)、キム・ガウン(世界124位)

〈ダブルス〉 チャン・イエナ/イ・ソヒ(世界3位)、チョン・ギョンウン、キム・ハナ*、チェ・ユジョン*

◆第4シード:日本(16)

【男子】

〈シングルス〉 西本拳太(世界63位)、五十嵐優(世界103位)

〈ダブルス〉 園田啓悟/嘉村健士(世界6位)、遠藤大由/渡辺勇大*(世界32位)、数野健太*、保木卓朗

【女子】

〈シングルス〉 山口茜(世界3位)、奥原希望(世界10位)

〈ダブルス〉 高橋礼華/松友美佐紀(世界1位)、米元小春/田中志穂(世界8位)、栗原文音*、東野有紗*

全種目通じてバランスよく上位選手を配しているのは、やはり第1シード、6連覇中の中国。女子シングルスで世界ランク上位を独占していたかつての威圧感こそないが、各種目に世界ランク1ケタを複数揃え、総合力で他より頭ひとつ抜きんでている。注目は、男子シングルスの顔ぶれのほか、手薄な男子ダブルスを強化するため、リオデジャネイロ五輪後、国際大会から遠ざかっていたベテラン、フー・ハイファン選手を再度招集したこと。ここ一番の大事な試合で、ツァン・ナン選手との金メダルペアが復活しそう

第2シードのデンマークは、スポンサー問題で前回出場できなかったダブルスのベテラン5人が揃い、リオ五輪で中国リン・ダン選手を破り銅メダルを獲得したビクアー・アクセルセン選手をはじめとする充実の男子シングルス陣と相まって、中国7連覇阻止の急先鋒に立つ。女子シングルスに穴があるのは否めないが、残り4種目は、どこを相手にしても勝ち星が狙える戦力を備えている

一方、第3シードの韓国は、男子ダブルスで五輪後も代表に残った経験豊富なユ・ヨンソン、キム・ギジョン両選手をメンバーに加えず、代わりに若手を起用した。男子ダブルスと混合ダブルスの両方で既に活躍している21歳チェ・ソルギュ選手以外は、ジュニア時代の実績はあっても、シニアの上位大会SSではほとんど名前を聞かない選手ばかり。中でも、2016年世界ジュニア選手権混合ダブルス銅メダルのパク・キョンフン選手は19歳、同年アジアジュニア選手権混合ダブルス銀メダルのキム・ウォンホ選手は17歳で、それぞれ代表団体戦デビューを果たす

第4シードの日本は、大会初日(21日)に行われる一次リーグ初戦で、ドイツと対戦する。男子シングルスに、長く世界上位の実力を維持し活躍を続けてきた2012年欧州チャンピオン、マーク・ツイブラー選手がいる、ただそれ以外は、リオ五輪後にミハエル・フックスら有力選手が一線を退いたこともあり、国際大会で際立った成績を収めている顔ぶれはなく、日本の勝利は固い。むしろ、4月にデンマークで開催された欧州選手権で初めて栄冠を手にしたラジフ・ウーセフ選手とクリス・アドコック/ガブリエル・アドコック組。さらに、リオ五輪銅メダルのクリス・ラングリッジ/マーカス・エリス組を擁しながら、政府の支援打ち切りにより出場辞退を余儀なくされたイングランドの方が、日本にとっては危険な相手だった

England has no choice but withdraw due to financial problem @archives

イングランドの出場辞退が伝えられた4月3日、マレーシアオープンスーパーシリーズ(SS)プレミア出場中のクリス・アドコック選手に、BadPaL が直接話を聞くと、「自分たちも一報を耳にしたばかりで、詳しくはコメントできない」としながらも、「スディルマン杯というメジャーな大会に出場できないのは非常に残念」と率直に答えていた

大会4日目(24日)、一次リーグ2戦目のマレーシア戦が日本にとって難関となる。チームランクは、マレーシアの5位に対し日本は4位で上だが、日本が強みを持つ女子2種目を除く3種目に、絶対的エースのリー・チョンウェイ選手をはじめ、リオ五輪銀メダリストを揃えるラインナップは脅威。ただ、負傷した肩の回復が思わしくなく混合ダブルスのゴー・リュウイン選手がメンバーから外れ、男子ダブルスのゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン組も今シーズン、本調子とは言えず、スディルマン杯でのペア組み替えの可能性も指摘されるほどで、つけ入る隙はある

Kenta NISHIOTO is expected to show his very best against World No.1 @archives

日本はこの対戦に限って言えば、客観的に見て、力の差が大きい男子シングルス以外の4種目で勝負することになる。日本チャンピオンの西本拳太選手には、背負っているものをいったん下ろして、アジア選手権に次いで2度目の顔合わせとなる可能性が高い世界1位リー・チョンウェイ選手に対し、あきらめず最後まで向かっていく姿勢を期待する

トップ選手の多くが、「格上の方により大きなプレッシャーがのしかかる」と指摘する団体戦だけに、単純に世界ランクの比較だけで勝敗を予想するのは困難。それでも、女子シングルの山口茜選手と女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀組が直近の大会、アジア選手権(4月25~30日)で、それぞれ対戦が見込まれるマレーシアのゴー・ジンウェイ選手、ウーン・ケーウェイ/フー・ビビアン・カームン組にしっかり勝利したことは、プラスの要素ととらえることができる

Ayaka and Misaki have been learning a lot from Sudirman Cup since 2013 @archives

3度目の出場となる高橋・松友組はこれまでのスディルマン杯で、負けなしの記録以上に、2人にとって有益な経験を積み重ねてきた。前々回2013年のクアラルンプール大会は、チームの勝敗を決する2対2の場面で出番が回ってくることを「想定していた」と言い切り、当時、負け越していたデンマークのクリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組に強い気持ちで挑んで勝ち、チームをベスト8に導いた

前回15年の東莞大会では、「自分たちまで回ってくるとは思っていなかった」と認めたように、勝利を確信していた男子ダブルスの敗北という予想外の事態に準備不十分のままコートに立ち、シングルスとダブルスの選手が組むデンマークの急造ペア相手に、世界1位らしからぬプレーで思わぬ苦戦を強いられる。それでも何とかもち直し、ファイナルゲーム21-19でギリギリ勝利。チームの期待に応えると同時に、試合前の準備の大切さと、内容的にダメな状態に陥っても、気持ちの部分で克服し、勝たなければいけない試合にいかに勝つか、を経験値として得た

それゆえ、今回もチームのため、あくまで自分たちの役割を確実に果たすことに注力すると話す。一方で、チームメイトが「日本のエース」として自分たちの1勝を織り込み済みと考えることには、団体戦での勝利をともに目指す上では「違う」とくぎを刺している

Akane(R) will fight for Team Japan together with Nozomi @archives

2大会連続の出場で、今回は女子シングルス1番手として臨む山口選手。BadPaL がエースとしての意識は芽生えてきているか問うと、「自分を安定感ある選手だとは思っていない。(エースとしてチームをけん引する、ではなく)自分の役目を果たし、陰ながらチームに貢献できるようにしたい」と謙虚な答えを返した。世界3位とはいえ、まだ19歳、精神面も含めいまだ発展途上であることは否定のしようがなく、こちらも復調の途上にある世界10位奥原希望選手と互いに補完し合いながらの「共闘」で、日本にこの種目の1勝をもたらしていくことになる

Kenta and Ayane are capable to produce upset at Sudirman cup again @archives

女子2種目とは対照的に、混合ダブルスの数野健太・栗原文音組はマレーシア2番手のタン・キアンメン/ライ・ペイジン組に、マレーシアオープンSSプレミアで逆転勝ちした後、アジア選手権ではあっさり敗れ、不安要素を残した。ただ2年前、十分な実績もないままヘッドコーチのパク・ジュボン氏に大抜擢されスディルマン杯に初出場。周囲の心配をよそに、終わってみれば、出番のなかった決勝を除き、出場4試合で3勝1敗の活躍。とりわけ準決勝の韓国戦では、2対2で最後に出番が回ってきて、相当なプレッシャーのかかる中、元世界1位コ・ソンヒョン/キム・ハナ組を粉砕する番狂わせを演じ、日本初の決勝進出に大きく貢献した。リオ五輪でも大方の予想を覆しベスト8入りを果たすなど大一番で強さを発揮したベテラン2人、今回もこうした経験を活かせれば、世界ランク上位相手にも白星は期待できる

Keigo and Takeshi may be the key shuttlers for Japan at this year’s Sudirman @archives

マレーシア戦で重要なカギを握る種目が、男子ダブルス。園田啓悟・嘉村健士組はスディルマン杯は初出場ながら、現在の世界ランクは前回出場した早川賢一・遠藤大由組と同じ6位。既に上位大会SSのタイトルも手にしており、エースペアの資質を備える。リオ五輪銀メダルのゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン組との対戦成績も互角で、勝機は十分ある。懸念は最近、実力拮抗の上位ペアとの直接対決に勝てていないこと。直前合宿で今一度、強い自信を取り戻せるか。大会までの残り数日の取り組み姿勢が、園田・嘉村組、ひいては日本チームの明暗を分ける可能性は大きい

日本対マレーシア(24日)で予想される対戦カード(※変更もあり得る)

【男子シングルス】 西本拳太(世界63位)対リー・チョンウェイ(世界1位)

【女子シングルス】 山口茜(世界3位)対ゴー・ジンウェイ(世界30位)

【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界6位)対ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(世界4位)

【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対ウーン・ケーウェイ/フー・ビビアン・カームン(世界13位)

【混合ダブルス】 数野健太・栗原文音(世界13位)対タン・キアンメン/ライ・ペイジン(世界11位)

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