
全英オープンSSプレミア準々決勝、ファイナルゲームまでもつれる接戦となり先にマッチポイントを握られても、あきらめずに勝利を手繰り寄せた全英初出場の渡辺勇大・東野有紗組と4度目の山口茜選手が、準決勝に進んだ。一方、準々決勝枠8つのうち3つを占めた日本女子ダブルス陣は全敗。ベスト4には残れなかった
渡辺・東野組は、コ・ソンヒョン選手の国家代表引退により新たにペアを組むことになった韓国のユ・ヨンソン/キム・ハナ組と対戦。1ゲームずつ取り合い迎えたファイナルゲーム、前半を11-9とリードして入ったインターバルの直後、11-15と逆転される。その後、巻き返して17-15とするが、再び追い抜かれ19-20とマッチポイントを献上してしまう。それでも気持ちを切らすことなく立ち向かい22-20で勝ち、初出場の全英オープンで、いきなりベスト4入りを果たした
ジュニア時代から、トーナメントの途中でも常に上(優勝)を目指す姿勢を意識的に強調してきた19歳渡辺選手(1997年6月生まれ)と20歳東野選手(96年8月生まれ)。準決勝では、リオデジャネイロ五輪銀メダルのチャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン組(マレーシア)に挑む
9日付で世界ランクを自己最高となる4位に上げた19歳山口選手(97年6月生まれ)は、同5位のスン・ユ選手(中国)とのファイナルゲーム、15-18とリードされる。19点で追いつくが、次の1点を奪われマッチポイントを握られる。しかしこの窮地に踏ん張り、3連続得点を決めて22-20で勝利。2014年予選敗退、15年1回戦負け(ベスト32)、16年2回戦負け(ベスト16)に次ぐ4度目の挑戦で、ベスト4に到達した
準決勝で対戦するラッチャノク・インタノン選手(タイ)は、全英オープンで2連敗中。準々決勝では、リオ五輪金メダルのカロリナ・マリン選手(スペイン)を相手にファイナルゲーム、11-18から10連続得点の大逆転勝ちを収め勢いづいており、次も厳しい戦いとなることが予想される
一方、第1シードの高橋礼華・松友美佐紀組を破った福島由紀・廣田彩花組をはじめ、福万尚子・與猶くるみ組、米元小春・田中志穂組の3ペアが準々決勝に臨んだ女子ダブルスはすべてストレート負け。日本勢の層が厚いとされるこの種目だが、現時点において世界のトップに立てる力は、リオ五輪金メダルの高橋・松友組以外、未だ備え切れていない現実を突き付けられた
日本男子も、ダブルス世界2位の園田啓悟・嘉村健士組がリオ五輪金メダルのツァン・ナン選手が引っ張る中国ペアにファイナルゲーム19-19から振り切られて敗戦。ここまで快進撃を続けてきたシングルスの坂井一将選手も、チェン・ロン、リン・ダン、ティエン・ホウウェイに次ぐ中国4番手ながら最も伸びしろのある21歳シー・ユーチ選手(96年2月生まれ)に完敗し、今大会を終えた
男子シングルスでは、リー・チョンウェイ選手(マレーシア)とリン・ダン選手(中国)がそれぞれ勝って、準決勝に進んだ。とりわけリン・ダン選手は、リオ五輪3位決定戦で敗れ、3大会連続のメダル獲得を阻止された相手、ビクター・アクセルセン選手(デンマーク)に第1ゲームを大差で奪われながら、続く2ゲームを取り返して勝利した。リー・チョンウェイ、リン・ダン両選手は別の山におり、ぶつかるのは決勝のみ
なお、この日、女子シングルスでカロリナ・マリン選手、混合ダブルスでタントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組(インドネシア)が敗れたことで、リオ五輪金メダリストはすべていなくなった(※男子ダブルスで中国ツァン・ナン選手が勝ち残っているが、リオ優勝時とは違うパートナー)
準々決勝の結果
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈21-12,21-15〉ティエン・ホウウェイ(中国、世界6位)
チョウ・ティエンチェン(台湾、世界9位)〈21-19,16-21,21-8〉タノンサク・センソンブーンサック(タイ、世界12位)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、世界4位)〈21-8,14-21,15-21〉リン・ダン(中国、世界7位)
シー・ユーチ(中国、世界10位)〈21-13,21-4〉坂井一将(世界53位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)〈21-14,21-10〉プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界6位)
ソン・ジヒョン(韓国、世界3位)〈22-20,22-20〉サイナ・ネワル(インド、世界9位)
山口茜(世界4位)〈21-23,21-14,22-20〉スン・ユ(中国、世界5位)
カロリナ・マリン(スペイン、世界2位)〈20-22,21-13,18-21〉ラッチャノク・インタノン(タイ、世界7位)
【男子ダブルス】
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界1位)〈19-21,21-17,19-21〉リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界6位)
園田啓悟・嘉村健士(世界2位)〈23-21,15-21,19-21〉ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、世界47位※予選勝ち上がり)
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界4位)〈16-21,18-21〉マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界5位)
マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界7位)〈21-12,11-21,21-16〉ルー・カイ/ツェン・シウェイ(中国、世界65位)
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(世界20位)〈11-21,14-21〉バオ・イーシン/ユー・シャオハン(中国、世界70位※予選勝ち上がり)
チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界5位)〈21-17,21-8〉ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界6位)
チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界3位)〈21-19,21-17〉米元小春・田中志穂(世界13位)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)〈21-12,21-11〉福万尚子・與猶くるみ(世界8位)
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、世界8位)〈23-21,21-14〉ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界83位※予選勝ち上がり)
渡辺勇大・東野有紗(世界18位)〈21-17,18-21,22-20〉ユ・ヨンソン/キム・ハナ(韓国、世界1423位)
ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)〈14-21,21-18,11-21〉ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界5位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)〈21-16,19-21,12-21〉クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界7位)
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)対チョウ・ティエンチェン(台湾、世界9位)
リン・ダン(中国、世界7位)対シー・ユーチ(中国、世界10位)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)対ソン・ジヒョン(韓国、世界3位)
山口茜(世界4位)対ラッチャノク・インタノン(タイ、世界7位)
【男子ダブルス】
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界6位)対ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、世界47位※予選勝ち上がり)
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界5位)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界7位)
【女子ダブルス】
チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界5位)対バオ・イーシン/ユー・シャオハン(中国、世界70位※予選勝ち上がり)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)対チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界3位)
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、世界8位)対渡辺勇大・東野有紗(世界18位)
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界5位)対クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界7位)