The last SS tournament in 2016 season begins in Hong Kong

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Kazumasa SAKAI

今シーズンのスーパーシリーズ(SS)最終戦、香港オープンが22日開幕。23日までに各種目1回戦を終え、久しぶりにA代表の3人が揃って本戦1回戦に臨んだ男子シングルスで、坂井一将選手が中国の若手成長株を下し、1年ぶりにSS1回戦を突破した

第1シード、リー・チョンウェイ選手らの出場取りやめにより予選から本戦へ繰り上がった坂井選手が初戦で対戦したのは、2014年ユース五輪金メダリストで、先のフレンチオープンでSS初優勝を遂げ世界ランクでもトップ10に食い込んできた中国の19歳シー・ユーチ選手。中国ヘッドコーチのリ・ヨンボ氏も高い期待を寄せる逸材に、第1ゲームは先取される。しかしその後、得意のネット際を絡めた思い切りのよいプレーでリズムをつかむと、第2、第3ゲームを連取して逆転勝ちした

坂井選手がSS本戦1回戦を突破するのは、ベスト8に入った昨年の香港オープン以来1年ぶり。「男子シングルスがほかの種目に比べ勝てない」と言われているのは意識しているとしながら、リオデジャネイロ五輪の後、「(佐々木)翔さんが抜けて、(SSの)本戦から出場できるランクのある選手がいなくなり、A代表3人でやってきた」と説明した。「これまでは、SSに参加して強い選手と試合ができるだけで喜んでいた部分がある」と認める。ただ、「世界のトップに立ちたいという気持ちはある」とあらためて強調。SSでは相手は格上ばかりだが、これからは結果にこだわり、「いい試合をしたで終わるのではなく、がめつくしぶとく勝ちにいく」と、A代表に課される「国際大会で勝つ」という責務に正面から向かい合う覚悟を示した

一方、予選2試合を勝ち抜き本戦に進んだ上田拓馬、武下利一両選手はそれぞれ、インド、イングランドの選手と接戦を演じるも競り負け、2回戦には進めなかった

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Sayaka SATO

女子シングルスには、肩の不調を訴え出場を取りやめ帰国した奥原希望選手を除き、日本から4人が出場。三谷美菜津選手が世界5位の台湾タイ・ツーイン選手に敗れたが、山口茜佐藤冴香大堀彩の3選手は順当に勝ち上がった

このうち佐藤選手は、SS12戦の結果のみで算定するSSランキングで、11戦を終え暫定7位につけている奥原選手の出場辞退を受けめぐってきた、山口選手に次ぐこの種目日本2人目のSSファイナル出場のチャンスに挑む

前週チャイナオープンSSプレミアを終えた時点で、佐藤選手のSSランクは9位(累計ポイント38570点※速報値)。同じく香港オープン2回戦に進んだ、インドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手(同10位38490点)とサイナ・ネワル選手(11位38080点)の3人のうち、最も長くコートに立っていられた選手が出場資格を得る。2回戦では、佐藤選手がネワル選手と直接対決。シンドゥ選手は、1回戦で韓国のエース、ソン・ジヒョン選手を破る金星を挙げた台湾スー・ヤチン選手と対戦する

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Hiroyuki ENDO / Yuta WATANABE

男子ダブルスは、本戦に登場した日本の3ペアすべて、初戦に勝利した。とりわけ前週のチャイナオープンに続いて国際大会2試合目の遠藤大由・渡辺勇大組は、9月のジャパンオープンSSを制した今大会第3シードの中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ組を相手に、第1ゲームを27-25で競り勝つと、そのまま第2ゲームも取り、ストレート勝ちを収めた

遠藤選手は BadPaL に対し、パフォーマンスに一定の評価を下しながらも、ペアとしての経験値をさらに積み上げていく必要性を強調した。現時点では個々の力で点を取れているのか、と問うと、「むしろ個々でやられている部分が多い」と返し、特に「競り合った場面などで、まだ互いの動きが把握できていない。それぞれが元のパートナーとの動きで動いてしまう。パートナーを利用した配球などを考えていかないと」と指摘した。ただ、それは同時に、今後改善の余地を残している部分であることも付け加えた。その上で、「組み初めて間もない。大会ごとに目標を据えてはいるが、何を得て終われるかが大事」とした

渡辺選手に、経験、実績ともに豊富な先輩とのペアで、緊張してしまって自分のプレーが出せていないような部分はあるかと尋ねると、「試合中にもよく声をかけてくれる。集中するところを知っている。いい意味の緊張感を持ってプレーできている」と述べた

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Ayane KURIHARA / Arisa HIGASHINO

女子ダブルスは、シードに入った高橋礼華・松友美佐紀福万尚子・與猶くるみ松尾静香・内藤真実の3ペアのほか、予選から勝ち上がった栗原文音・東野有紗組が2回戦に進んだ

ともに混合ダブルスも兼任する栗原・東野組に試合後、BadPaL が話を聞くと、混合ダブルスの日本代表としてリオ五輪で過去最高のベスト8という実績も残した栗原選手は、「混合ダブルスに日本はもっと力を入れてほしい。東野など後輩のためにもまだやりたい」と説明した。ただ、「女子ダブルスを捨てているわけではない」と強調。「リオ五輪で燃え尽きるかなと思っていたが、チームメイトである高橋・松友組の金メダルにも刺激を受け、またやりたいという気持ちになっている」と述べた。今後どういう形になるか定まらない部分はあるとしながらも、「やるからには当然勝ちにいく」とし、今大会の上位進出、さらに女子ダブルスでの日本代表入りにも意欲を示した

もう1つの日本ペア、米元小春・田中志穂組は、前週チャイナオープンで破った世界8位の中国チェン・チンチェン/ジア・イーファン組と2週連続、1回戦で顔を合わせたが、今回は気迫に勝る中国19歳デュオにストレート負け、初戦敗退となった

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Yugo KOBAYASHI / Misaki MATSUTOMO

混合ダブルスは、リオ五輪ベスト8の数野健太・栗原文音組が初戦で姿を消したが、渡辺勇大・東野有紗組と国際大会初登場の小林優吾・松友美佐紀組は勝ち上がった

世界11位マレーシアのタン・キアンメン/ライ・ペイジン組をストレートで下し、初陣を飾った小林・松友組は試合後、BadPaL に応じ、松友選手が、突然ペアを組むことが決まったことを明かすとともに、それぞれ男女のダブルスに軸足を置きながら、その上で混合ダブルスでも勝っていけたら、と述べた。小林選手は、「五輪金メダリストと組むことに緊張する」と苦笑交じりに認めながら、混合ダブルスでも国際舞台での経験豊富な松友選手に色々とアドバイスをもらいながらやっている、と語った

また、渡辺・東野組に前週のチャイナオープンから本格的に参戦を始めた日本以外でのSSの印象について聞くと、東野選手は、「グランプリ(GP)ゴールドとは違う。普段なら決められるところが決まらず、調子を崩してしまう」と語った。渡辺選手に、現在の自分たちの力で通用するところ、通用しないところは見えてきているか問うと、「勝った試合は何かにせよ通用した。負けた試合は通用していない、ということ」と端的に答えた。大会の違いについては、「(どのグレードの大会でも)自分のやるべきことは同じ」と自らの考えを述べた

チャイナオープンで敗れた世界1位韓国コ・ソンヒョン/キム・ハナ組との試合は、3月にニュージーランドオープンGPゴールドで対戦した時より、「自分たちのプレーができなかった、させてもらえなかった」という。当面の目標を聞くと、渡辺選手が、2回戦のリオ五輪金メダルのインドネシアペアとの試合と即答。東野選手も「(リリアナ・)ナッチル選手とはやってみたかった」と語った

一方、初戦敗退に終わった数野・栗原組だが、同じタイミングで試合をしたリオ五輪銀メダリスト、マレーシアのチャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン組も敗れたため、最終戦までもつれたSSランク8位争いには勝ち残り、年末のSSファイナルへの出場資格を確保している

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TAN and KOO’s last Superseries was end in the first round

日本選手以外では、男子ダブルス1回戦で、リオ五輪を目指し再結成されたマレーシアのクー・ケンケット/タン・ブンヒョン組が敗れた。31歳のクー選手は年内で一線を退くため、ペアとしてはこれが最後のSSとなる。また、今年限りでインドネシア代表を離れプロとして活動する意向を示している32歳のヘンドラ・セティアワン選手がベリー・アングリアワン選手と組むペアも敗退。一時代を築いたダブルスのトップ2人が区切りをつけた

日本選手1回戦の結果

【男子シングルス】 シー・ユーチ(中国、世界9位)〈21-16,18-21,14-21〉坂井一将(世界59位※予選繰り上がり)、サミールヴェルマ(インド、世界43位※予選繰り上がり)〈22-20,21-18〉上田拓馬(世界52位※予選勝ち上がり)、ラジフ・ウーセフ(イングランド、世界16位)〈21-13,15-21,21-16〉武下利一(世界95位※予選勝ち上がり)

【女子シングルス】 山口茜(世界8位)〈21-8,21-13〉ベアトリス・コラレス(スペイン、世界23位)、佐藤冴香(世界14位)〈21-12,21-14〉チアン・メイフイ(台湾、世界56位)、タイ・ツーイン(台湾、世界5位)〈21-11,17-21,21-10〉三谷美菜津(世界18位)、大堀彩(世界22位)〈14-21,21-12,21-14〉リー・チアシン(台湾、世界54位)

※奥原希望(世界3位)は出場取りやめ

【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界11位)〈21-17,21-8〉タン・チュンマン/オール・チンチュン(香港、世界39位)、小林優吾・保木卓朗(世界21位)〈21-12,21-11〉チャン・タクチン/チャン・ツーキット(香港、世界ランクなし※予選勝ち上がり)、リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ(中国、世界5位)〈25-27,17-21〉遠藤大由・渡辺勇大(世界ランクなし)

【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-16,21-11〉ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、世界14位)、福万尚子・與猶くるみ(世界7位)〈21-16,21-23,22-20〉ウ・ティジュン/スー・ヤチン(台湾、世界ランクなし)、松尾静香・内藤真実(世界9位)〈216,21-4〉ノビ・インドリアニ/シンシア・シャラ・アユニドハ(インドネシア、世界ランクなし)、チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界8位)〈21-17,21-14〉米元小春・田中志穂(世界26位)、クオ・ユーエン/チェン・ツーユ(台湾、世界ランクなし)〈16-21,11-21〉栗原文音・東野有紗(世界345位※予選勝ち上がり)

【混合ダブルス】 リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界12位)〈21-11,21-15〉数野健太・栗原文音(世界13位)、タン・チュンヘイ/ウン・ツーヤウ(香港、世界103位※予選繰り上がり)〈21-23,19-21〉渡辺勇大・東野有紗(世界64位)、タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、世界11位)〈16-21,18-21〉小林優吾・松友美佐紀(世界ランクなし)

 

日本選手2回戦の対戦カード

【男子シングルス】 サミール・ヴェルマ(インド、世界43位※予選繰り上がり)対坂井一将(世界59位※予選繰り上がり)

【女子シングルス】 山口茜(世界8位)対デボラ・ルメテ・ヴェレニカ(インドネシア、世界ランクなし※予選勝ち上がり)、サイナ・ネワル(インド、世界6位)対佐藤冴香(世界14位)、大堀彩(世界22位)対リンダ・ゼッチリ(ブルガリア、世界27位)

【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界11位)対ルー・カイ/ツェン・シウェイ(中国、世界140位※予選勝ち上がり)、ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界2位)対小林優吾・保木卓朗(世界21位)、コ・ソンヒョン/チェ・ソルギュ(韓国、世界ランクなし)対遠藤大由・渡辺勇大(世界ランクなし)

【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対マハデウィ・イスティラニ・ニ・ケトゥット/アンギア・シッタ・アワンダ(インドネシア、世界22位)、福万尚子・與猶くるみ(世界7位)対ホワン・ドンピン/リ・インフェイ(中国、世界58位)、松尾静香・内藤真実(世界9位)対バオ・イーシン/ユー・シャオハン(中国、世界ランクなし)、チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界2位)対栗原文音・東野有紗(世界345位※予選勝ち上がり)

【混合ダブルス】 タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界7位)対渡辺勇大・東野有紗(世界64位)、プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界5位)対小林優吾・松友美佐紀(世界ランクなし)

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