
フレンチオープンSS決勝、花の都パリから今年も、男子シングルスで中国シー・ユーチ選手、女子ダブルスで中国チェン・チンチェン/ジア・イーファン組というSS初優勝者が出た。女子シングルスと混合ダブルスでも中国の19歳がジャパンオープンに次ぐSS2勝目を挙げ、東京五輪へと向かう新たな4年の始まりに、早くも強国が選手層の厚さを印象付けた
2014年ユース五輪金メダリストで、現在、チェン・ロン、リン・ダン、ティエン・ホウウェイに次ぐ中国4番手につけるシー選手。ただ、シニアの上位大会では、9月にインドネシアマスターズでグランプリ(GP)ゴールドの初タイトルを手にしたばかり。その後、ジャパンオープンとデンマークオープンでベスト8に入り、世界ランクを自己最高の19位に上げて乗り込んだ初めてのフレンチオープンで、ノーシードから見事にSS初優勝を飾った。この大会からSS初優勝者が出るのは、三谷美菜津選手が日本初のSSシングルスチャンピオンの称号を得た2012年以来5年連続
決勝の相手、韓国イ・ヒョンイル選手は、2008年韓国オープンで初優勝して以来、8年ぶりとなる2つ目のSSタイトル獲得に挑み、マッチポイントを4つ続けて凌ぐなど会場を沸かせたが、最後は19-21で力尽きた。それでも、韓国代表を辞した後、個人(プロ)として長く国際舞台で現役を続ける36歳は、SSプレミアを含む上位大会への出場を認めさせるだけでなく、表彰台に上がる実力を維持していることを証明。コーチ業へとシフトしていく従来の代表引退後の活動に、海外リーグ参戦やエキシビションへの参加を加え、さらに、本気で望めば、本流である世界バドミントン連盟(BWF)主催大会でも「仕事の機会」が与えられるという道を、後に続くイ・ヨンデ選手らに示すパイオニアの役割を今回も十分果たした

女子ダブルスは、準々決勝でリオ五輪の銀メダリストのクリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組、準決勝で金メダリストの高橋礼華・松友美佐紀組を連破して決勝に進んだチェン・チンチェン/ジア・イーファン組が勝ち、ペアとして初のSSタイトルを手にした。チェン選手は、SS優勝経験者バオ・イーシン選手と組んで6月、オーストラリアンオープンで勝利しており、SS女子ダブルスでの優勝は2度目となる
チェン・チンチェン選手は、ツェン・シウェイ選手と組む混合ダブルスでも、オーストラリア(6月)、日本(9月)、韓国(9月)、デンマーク〈10月)に続き、SS5大会連続で決勝進出。日本と韓国の決勝でも対戦した世界1位の韓国コ・ソンヒョン/キム・ハナ組をストレートで破って、ジャパンオープンに次ぐ2度目のSS優勝を成し遂げた。この結果を踏まえ、11月3日更新の世界ランキングではトップ8の仲間入り。ジャパンオープン優勝の後、「出たい」と出場に強い意欲を見せていた年末のSSファイナルに向け、また一歩前進した
女子シングルスも、混合ダブルスのツェン/チェン組同様、ジャパンオープンでSS初制覇を遂げた中国の19歳ホー・ビンジャオ選手が、山口茜選手らを破りアメリカから初のSSシングルス決勝に進んだツァン・ベイウェン選手を一蹴し、SS2勝目
一方、唯一中国不在となった男子ダブルス決勝は、タイのボディン・イサラ/ニピトポン・プアンプアぺト組が初のSSタイトル獲りに挑んだ。フレンチオープンを2010年と14年の2度制しているデンマークの強豪マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン組とほぼ互角の勝負を繰り広げるが、ファイナルゲームの開始間もなく、ボディン選手が逆方向に飛んできたシャトルに飛びついた後、立てなくなり、左ひざ部分の故障による途中棄権を余儀なくされ、前週のデンマークオープンに続いて準優勝に終わった
決勝の結果
【男子シングルス】 イ・ヒョンイル(韓国、世界17位)〈16-21,19-21〉シー・ユーチ(中国、世界19位)
【女子シングルス】 ホー・ビンジャオ(中国、世界11位)〈21-9,21-9〉ツァン・ベイウェン(アメリカ、世界19位)
【男子ダブルス】 マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界9位)〈19-21,21-18,3-0棄権〉ボディン・イサラ/ニピトポン・プアンプアぺト(タイ、世界20位)
【女子ダブルス】 チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界7位)〈16-21,17-21〉チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界14位)
【混合ダブルス】 コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界1位)〈16-21,15-21〉ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、世界10位)