
五輪イヤーのスーパーシリーズ(SS)開幕戦、全英オープンSSプレミアが8日、英国・バーミンガムで開幕した。9日までに各種目の1回戦を終え、日本勢はシングルス4人、ダブルス5組が2回戦に勝ち上がった。シーズン初戦で昨年も番狂わせの多かったこの大会、今年は男子シングルス3強の一角、リー・チョンウェイ選手がインドのB.サイ・プラニース選手にストレート負け。早々に姿を消した
マレーシアのリー・チョンウェイ選手は昨シーズン、ドーピング違反で8カ月間の資格停止処分を受けながら、フレンチオープンSS、チャイナオープンSSプレミア、香港オープンSSと、10月以降に出場した3つの上位大会で3連続優勝して締めくくり、一時は180位に沈んだ世界ランクも5位(昨年末時点)まで引き上げた
今年に入り、地元で開催された1月のマレーシアマスターズ(GP)ゴールドで4大会連続となる国際タイトルを手にした後、2月のアジア団体選手権には出場せず、全英オープンに向け万全の準備を続けてきたと伝えられていた。しかしこの日は、第1ゲーム15-7、第2ゲーム16-10と、いずれも中盤大きくリードをしたところからの逆転負け(22-24,20-22)。試合後には、「まったく予期していなかった敗戦。相手が前回対戦時(昨年6月カナダオープンGP)より相当レベルアップしていた」と述べ、落胆と驚きを示した。次週のスイスオープンGPゴールドで立て直しを図る
インド5番手につける23歳のB.サイ・プラニース選手は、2013年6月のインドネシアオープンSSプレミアで、この大会での現役引退を決めていた地元のスター、タウフィック・ヒダヤット元選手と1回戦でぶつかり、初対戦で初勝利を挙げ注目を集めた
リー・チョンウェイ選手のほかにも、スペインのカロリナ・マリン、デンマークのビクター・アクセルセンらトップ選手が1回戦から厳しい戦いを強いられたが、何とか勝ちをつかんで次戦につなげた
日本の若きエース桃田賢斗選手も初戦、苦しんだ。予選から勝ち上がってきたインドネシアの18歳クリスティ・ジョナタン選手に第1ゲームを奪われ、第2ゲームも終盤17-18までリードを許す。ただ、ここで踏ん張りこのゲームを取り返すと、ファイナルゲームは経験と力の差を見せ、2月のアジア団体選手権決勝で日本の優勝を阻んだインドネシア期待のホープをしっかり振り切った
対照的に2005年から通算10度目(07、11年除く)の全英オープン出場となるベテラン、佐々木翔選手は、世界ランク上位の香港ウェイ・ナン選手を相手に序盤から試合の主導権を握り、競り合いとなった第2ゲームもきっちり制して初戦を突破。前週のドイツオープングランプリ(GP)ゴールドに続いて、再び中国リン・ダン選手への挑戦権を得た

一方、全英デビューの西本拳太選手は予選2試合を勝ち抜いて本戦に進んだが、1回戦でいきなり第1シードの中国チェン・ロン選手とぶつかり、敗れた。この種目には日本からもう1人、田児賢一選手が自費参戦で2008年以降9年連続となる出場を果たした。しかし6年前、20歳で挑んだ第100回記念大会で準優勝した時の自分と同じ20歳、インドネシアのイーサン・マウラナ・ムストファ選手にストレート負け。全英で初めて本戦出場を逃した
女子シングルスでは、日本勢で最初にコートに立った山口茜選手が、スペインのカロリナ・マリン選手に次ぐ欧州勢2番手として五輪出場がほぼ確実なスコットランドのカースティ・ギルモア選手と対戦。前回顔を合わせた昨年のUSオープンGPゴールドではファイナルゲームまでもつれたが、この日は山口選手がすっきりストレートで勝利を手にした
奥原希望選手も世界ランク下位のタイのニチャオン・ジンダポン選手をストレートで下してこれに続いたが、三谷美菜津選手と佐藤冴香選手は逆にストレート負けを喫し、2回戦進出は山口選手、奥原選手のみとなった。なお2人は昨年のこの大会、ともに1回戦で敗れていた
日本のダブルス陣は、男女のエースペア、早川賢一・遠藤大由組と高橋礼華・松友美佐紀組が順当に初戦を突破。さらに、女子2番手の福万尚子・與猶くるみ組が第2シード、インドネシアのグレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ組をストレートで破り、リー・チョンウェイ敗退に次ぐ番狂わせを起こした。2回戦では、女子ダブルス日本2つ目の出場枠を争う世界10位の福万・與猶組と同12位の松尾静香・内藤真実組が直接対決する。両ペアにとっては、残り2カ月足らずで世界ランク8位内に入らなければ五輪出場の道が絶たれるため、ともに負けられない試合となる
男子ダブルスでは園田啓悟・嘉村健士組が、絶対的不利が予想された第1シードの韓国イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン組にファイナルゲーム18-19まで食らいつく意地を見せたが、わずかに届かず。結果は初戦敗退に終わった
混合ダブルスは、世界ランクで現在日本1番手にいる早川賢一選手と松友美佐紀選手のペアが、それぞれ男女ダブルスに専念するため今シーズンに入り、この種目へのエントリーを行っていない。そのため、2番手の数野健太・栗原文音組(世界23位)と3番手の園田啓悟・福万尚子組(同26位)が、全部で16しかない五輪出場枠の1つの獲得を目指し、残りの五輪レースで競い合う。今大会では、数野・栗原組のみ2回戦に進んだ
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】 桃田賢斗(世界3位)〈19-21,21-18,21-13〉クリスティ・ジョナタン(インドネシア、世界35位※予選勝ち上がり)、ウェイ・ナン(香港、世界15位)〈11-21,18-21〉佐々木翔(世界20位)、ソン・ワンホ(韓国、世界13位)〈21-11,11-21,21-18〉上田拓馬(世界33位)、チェン・ロン(中国、世界1位)〈21-18,21-12〉西本拳太(世界44位※予選勝ち上がり)、※田児賢一は予選敗退
【女子シングルス】 奥原希望(世界8位)〈21-13,21-15〉ニチャオン・ジンダポン(タイ、世界28位)、山口茜(世界11位)〈21-17,21-17〉カースティ・ギルモア(スコットランド、世界19位)、タイ・ツーイン(台湾、世界9位)〈22-20,21-16〉佐藤冴香(世界13位)、三谷美菜津(世界18位)〈14-21,19-21〉ツァン・ベイウェン(米国、世界35位※予選勝ち上がり)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界7位)〈21-10,22-20〉マーク・ラムスフス/マルビン・エミル・シーデル(ドイツ、世界70位※予選勝ち上がり)、イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国、世界1位)〈21-17,20-22,21-18〉園田啓悟・嘉村健士(世界18位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈21-11,21-11〉ホワン・メイチン/チェン・シャオフアン(台湾、世界115位※予選勝ち上がり)、グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界2位)〈18-21,21-23〉福万尚子・與猶くるみ(世界10位)、松尾静香・内藤真実(世界12位)〈21-10,21-12〉ヘザー・オルバー/ローレン・スミス(イングランド、世界30位)
【混合ダブルス】 数野健太・栗原文音(世界23位)〈21-19,21-12〉マルビン・エミル・シーデル/リンダ・エフラ―(ドイツ、世界70位※予選勝ち上がり)、リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界3位)〈21-9,21-13〉園田啓悟・福万尚子(世界26位)
日本選手2回戦の対戦カード
【男子シングルス】 桃田賢斗(世界3位)対キダンビ・スリカンス(インド、世界10位)、リン・ダン(中国、世界5位)対佐々木翔(世界20位)
【女子シングルス】 奥原希望(世界8位)対リンダウェニ・ファネトリ(インドネシア、世界24位)、ラッチャノク・インタノン(タイ、世界4位)対山口茜(世界11位)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界7位)対リッキー・カランダ・スワルディ/アンガ・プラタマ(インドネシア、世界11位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)対カーラ・ネルテ/ヨハナ・ゴリツェウスキ(ドイツ、世界26位)、福万尚子・與猶くるみ(世界10位)対松尾静香・内藤真実(世界12位)
【混合ダブルス】 プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界8位)対数野健太・栗原文音(世界23位)