2016年のシーズン最初の世界バドミントン連盟(BWF)公認大会、マレーシアマスターズグランプリ(GP)ゴールドが19日、ペナンで開幕した。日本からはB代表のほか、4カ月を残すだけとなった五輪レースでランキングポイントの上乗せを狙うA代表の一部が参戦。20日までに各種目1回戦と男子シングルス2回戦を終え、出場した4人すべてが敗退した男子シングルスを除き、シングルス4人、ダブルス10組がベスト16に残った

女子シングルスで初戦を突破したのは世界ランクの高い順に、佐藤冴香、橋本由衣、今別府香里、川上紗恵奈の4人。このうち唯一のA代表である佐藤選手は BadPaL に対し、沖縄で10~16日に行われた強化合宿の後、こちらに来てからも体が動かず、「ほとんど練習できないままぶっつけ本番で試合に臨んでいた」と明かした。それでも、全体の3分の1を残すのみとなった五輪レースを勝ち抜くため、「何が何でも勝つ」という強い気持ちで戦ったという
現在、奥原希望、山口茜に次ぐ日本勢3番手につけてはいるがポイント差が大きいので、「これから連戦になるが、ケガをしないよう体のケアをしながら、出る大会すべてがむしゃらに勝ちにこだわっていく」と覚悟を示した

橋本選手は、年末年始にかけてマレーシアのパープルリーグに参戦した後、東京・ナショナルトレーニングセンターでのB代表合宿をケガなく終え、「いい準備ができて今大会に乗り込んできた」という。今年も五輪レースが続くが、リオデジャネイロ五輪の女子シングルスに出場できるのは日本から最大2人。現在世界ランクは18位ながら、国内6番手は厳しい状況。それでも、チャンスがあるかぎり挑戦する意向を示す。「もちろん自分が行きたい」と強調しながら、同じチームに所属する三谷美菜津選手と2人、どちらか1人でも行けるよう切磋琢磨していく考え。なお、この大会で自分の前後に試合をするほかの日本選手の勝敗は「やはり気になる」と率直に認めている

世界36位。国内7番手の今別府選手は今シーズンの目標の1つとして、「何かしらのタイトルをとること」を挙げた。さらに、これまで国際大会では途中から勝敗を意識しすぎて、リードしていながら自分から崩れてしまい、もったいない負けを喫することが多かったことを自ら認めた。その上で、良い試合はできても「惜しかったね」で終わっていた世界ランク上位相手との試合で勝ち切れる勝負強さを身につけたいと語った

一方、今回の五輪レースとは無縁の川上選手は今大会、予選2試合を勝ち抜き本戦出場権を獲得。1回戦でいきなり、第2シードの山口茜選手との同国対決となったが、試合開始後まもなく山口選手が足の痛みで棄権。2回戦に駒を進めた。この好機を活かせるかと問うと、「次の試合に勝たなければ単なるラッキーと思われる。勝って、ジャパンには川上というのもいるんだということを見せつけたい」と意気込んだ
男子ダブルスでは、平田典靖・橋本博且、園田啓悟・嘉村健士、佐伯裕行・垰畑亮太の3組が勝ち上がった。試合中、A代表の平田・橋本組と園田・嘉村組はコーチなし。B代表の佐伯・垰畑組にはヘッドコーチのパク・ジュボン氏がコーチに着いた

世界6位の早川賢一・遠藤大由組に次ぐ日本2番手につけている平田・橋本組は、世界ランクを現在の19位から8位内に上げることが五輪出場枠確保に向け目指すところとなる。1回戦に勝利した後、BadPaL に対し、今シーズンはここから先、結果にこだわっていくだけ、として、試合会場を後にした

日本3番手の園田・嘉村組は、昨シーズンは五輪レース中、思うような成果が出せなかった。しかし全日本総合選手権で優勝してから、早川・遠藤組の後に続く次期エースとしての意識の高まりもあり、2人とも集中していい流れできていることを強調した

一方、佐伯・垰畑組は「B代表にいる年齢ではない」とし、今大会を含め海外の試合でコンスタントに良いパフォーマンスを出すことでA代表への昇格をアピールしていく意向だ。その意味でも、特定の大会ではなく、これから出場する1つ1つの大会すべてが自分たちにとって重要になるとの認識を強調した

女子ダブルスは、対戦相手棄権のため1回戦不戦勝となった高橋礼華・松友美佐紀組と松尾静香・内藤真実組のほか、福万尚子・與猶くるみ組、福島由紀・廣田彩花組、米元小春・田中志穂組が勝ち、ベスト16に日本ペア5組が名を連ねた
世界ランク8位、日本2番手で現在、五輪出場圏内にいるA代表の福万・與猶組は今シーズン、まずは2月14日まで続く日本リーグに注力する意向、を強調する。チームのエースとなりリーグ優勝することで、その後の五輪レースにも勢いが付く、との思いを主張した

福万・與猶組と同じチームに所属するB代表の福島・廣田組は世界23位で日本5番手。5月初めまで続く五輪レースの中で、可能性がある限りあきらめず、出場する大会すべて、2人で全力を出し切っていきたいと今シーズンの抱負を述べた

米元・田中組は今シーズン、上位大会スーパーシリーズ(SS)出場を視野に、B代表からA代表への昇格に挑む。また米元選手は「前の自分を上回る」として、以前のペアで2013年に出場した世界選手権にこのペアで出て、前回以上の結果を残したい意向を示した。一方、田中選手はまずは「Bプラス」を目指す、と少々控えめに目標を口にした
混合ダブルスは、園田啓悟・福万尚子組がエジプトペアに完勝。一方、数野健太・栗原文音組は、予選勝ち上がりのマレーシアペアに苦戦を強いられながらも、フルゲームの末に振り切り、2回戦に進んだ

一方、2回戦で敗れたものの、日本の男子シングルス陣で唯一、初戦を突破した武下利一選手。BadPaL の取材に応じ、「世界ランクで昨年の最高位33位(3月)を上回る」と今シーズンの目標を語った。また日本国内においては、1つ先をいく桃田賢斗選手に続く2番手を狙えるとし、倒すべき眼前のライバルとして坂井一将選手と西本拳太選手を挙げた

男子ダブルスで、マレーシアのクー・ケンケット/タン・ブンヒョン組とファイナルゲーム19-21まで競り合いを演じた保木卓朗・小林優吾組。試合直後に感想を聞くと、「プレーの参考にするためyoutube で映像を見ていたペアで、(クー/タンという)相手の名前だけで点数を取られた部分があった。日本のトップペアと対戦した時とは違うオーラを感じた」と、試合前から意識しすぎていたことを認めた。ドライブのスピードは速かったと指摘するが、「ただ実際にやってみると普通にラリーできた」といい、敗戦に悔しさをにじませた。一方、今シーズン1年間を通じてどこまで到達(成長)したいかと問うと、漠然とした目標とことわった上で、「SSでベスト8またはベスト4」と答えた
日本選手の結果
【男子シングルス1回戦】 佐々木翔(世界24位)〈18-21,18-21〉サミール・ヴェルマ(インド、世界46位)、アジャイ・ジャヤラム(インド、世界21位)〈21-19,21-11〉上田拓馬(世界32位)、チョン・ヒョクチン(韓国、世界26位)〈21-18,24-22〉西本拳太(世界45位)、リン・ユーシエン(台湾、世界95位)〈21-17,14-21,21-23〉武下利一(世界123位)
【男子シングルス2回戦】 スー・テクジー(マレーシア、世界56位※2013アジアジュニアチャンピオン)〈21-14,24-22〉武下利一(世界123位)
【女子シングルス1回戦】 山口茜(世界10位)〈3-1棄権〉川上紗恵奈(世界116位※予選勝ち上がり)、佐藤冴香(世界14位)〈21-19,21-17〉ティー・ジンイ(マレーシア、世界32位)、三谷美菜津(世界17位)〈13-21,17-21〉リンダウェニ・ファネトリ(インドネシア、世界25位)、橋本由衣(世界18位)〈21-18,21-7〉ルセリ・ハルタワン(インドネシア、世界88位※予選勝ち上がり)、アイリス・ワン(米国、世界31位)〈18-21,20-22〉今別府香里(世界36位)、ホー・ビンジャオ(中国、世界42位)〈21-11,21-14〉大堀彩(世界46位)
【男子ダブルス1回戦】 平田典靖・橋本博且(世界19位)〈21-18,22-20〉ウー・シャオリン/リン・チアユー(台湾、世界41位)、園田啓悟・嘉村健士(世界24位)〈21-15,21-7〉ライヤン・アグン・サプトラ/ベリー・アングリアワン(インドネシア、世界27位)、クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア、世界18位)〈19-21,21-8,21-19〉保木卓朗・小林優吾(世界65位)、ロウ・チュックヒム/チャン・ツーキット(マレーシア、世界76位※予選繰り上がり)〈20-22,10-21〉佐伯裕行・垰畑亮太(世界116位※予選繰り上がり)
【女子ダブルス1回戦】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈不戦勝〉ピア・ゼバディア・ベルナデス/アプリルサシ・プトリ・レジャルサル・バリエラ(インドネシア、世界71位)、福万尚子・與猶くるみ(世界8位)〈21-9,21-13〉アメリア・アリシア・アンシェリー/スーン・フィエチョ(マレーシア、世界19位)、松尾静香・内藤真実(世界13位)〈不戦勝〉パタイマス・ムエンウォン/チャラッドチャラム・チャヤニット(タイ、世界31位)、福島由紀・廣田彩花(世界23位)〈21-12,21-10〉ヤップ・チェンウェン/チューン・ジョイス・ワイチ(マレーシア、世界60位※予選繰り上がり)、米元小春・田中志穂(世界41位)〈21-9,21-8〉ホワン・メイチン/チェン・シャオフアン(台湾、世界140位※予選勝ち上がり)、ウーン・ケーウェイ/フー・ビビアン・カームン(マレーシア、世界11位)〈21-13,21-18〉永原和可那・松本麻佑(世界94位※予選勝ち上がり)
【混合ダブルス1回戦】 園田啓悟・福万尚子(世界28位)〈21-7,21-5〉アブデルラーマン・カシカル/ハディア・ホスニ―(エジプト、世界63位)、数野健太・栗原文音(世界29位)〈20-22,21-17,21-16〉タン・チーティーン/チョウ・メイクアン(マレーシア、世界185位※予選勝ち上がり)、チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、世界15位)〈21-15,21-16〉垰畑亮太・米元小春
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日本選手2回戦の対戦カード
【女子シングルス】 佐藤冴香(世界14位)対スパニダ・カテトン(タイ、世界59位)、橋本由衣(世界18位)対マリア・フェベ・クスマストゥティ(インドネシア、世界21位)、 プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界12位)対今別府香里(世界36位)、カースティ・ギルモア(スコットランド、世界20位)対川上紗恵奈(世界116位※予選勝ち上がり)
【男子ダブルス】 キム・サラン/キム・ギジョン(韓国、世界7位)対平田典靖・橋本博且(世界19位)、園田啓悟・嘉村健士(世界24位)対マルキス・キド/ヘンドラ・アプリダ・グナワン(インドネシア、世界137位※予選繰り上がり)、ボディン・イサラ/ニピトポン・プアンプアンペク(タイ、世界33位)対佐伯裕行・垰畑亮太(世界116位※予選繰り上がり)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)対コ・アラ/ユ・ヘウォン(韓国、世界15位)、福万尚子・與猶くるみ(世界8位)対ウー・ファンチエン/チャンカイシン(台湾、世界55位)、松尾静香・内藤真実(世界13位)対ジュワラグッタ/アシュウィニ・ポンナッパ(インド、世界14位)、ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンハン・キッティハラクン(タイ、世界22位)対福島由紀・廣田彩花(世界23位)、セリーナ・ピーク/イーフィア・ムスケンス(オランダ、世界9位)対米元小春・田中志穂(世界41位)
【混合ダブルス】 チェ・ソルギュ/オム・ヘウォン(韓国、世界12位)対園田啓悟・福万尚子(世界28位)、数野健太・栗原文音(世界29位)対ツェン・シウェイ/リ・インフェイ(中国)