
オーストラリアンオープンSS準々決勝、女子ダブルス第1シードの高橋礼華・松友美佐紀組が勝ち、日本勢で唯一、準決勝に進んだ。早川賢一・遠藤大由組、前田美順・垣岩令佳組、松尾静香・内藤真実組は敗れ、ベスト8で五輪レース最初のSSを終えた
高橋・松友組が、またも崩れない強さを見せた。「早めにアップしたが前の試合が遅れ、気持ちがふわついてゲームに入り切れていなかった」と高橋選手が試合後明かした通り、第1ゲーム前半は韓国ペアのペースで進み3-10とリードされる。ここから追い上げ11-11で追いつくと、競り合いに。先に韓国ペアが握った2つのゲームポイント(18-20)を凌いで21-20、22-21と逆にゲームポイントを握り返すが決め切れず、逆転され22-24で落とす。第2ゲームは最初から積極的に攻め立て、前半を11-5、後半も21-12と圧倒する。迎えたファイナルゲーム、日本ペアが厳しい攻めを続けて11-5で前半を折り返す。ところが後半に入ると若い韓国ペアが盛り返し、14-9から長いラリーを2本続けて得点に結びつける。さらに15-12から松友選手にミスが続き、追いつかれ、逆転されてしまう。流れは韓国側に移ったかに見えたが、世界1位は崩れず、何事もなかったかのように4連続得点を決めると、なおも追いすがってくる韓国ペアを21-18で振り切った
松友選手は試合後、BadPaL に対し、「勢いはあるので怖いなと思ってはいたが、ほかの韓国ペアに比べると少し劣ることから、やはり気持ちが入り切れていなかった」(松友)と第1ゲームの出だしに失敗した要因を語った

また松友選手は、ファイナルゲームでミスが続き逆転を許した場面について、「体の調子が良くなく疲れていた」とした上で、「無理して打ちにいってしまっていた。もっと早く切り替えていられれば」と述べ、自らの反省点とした。この時、高橋選手はパートナーにどのような言葉をかけていたのか聞いてみると、「技術云々ではなく気持ちの問題なので、がまん、がまん」と伝えていたことを明かした この場面、周りからは流れを変えられ窮地に追い込まれたように見えた。しかし高橋選手は、「決して気持ちがバタつくことはなかった」と冷静に語った。スディルマン杯準々決勝のデンマーク戦で、プレッシャーの中、失うものなく向かってくる格下の相手との接戦を勝ち切った経験がここでも生きていると付け加えた。この試合、全般を通じて打ち合いとなったが、高橋選手は、「4人の中で、自分が最後までスマッシュを打ち続けることに自信はあった」ときっぱり言い切った、

早川・遠藤組は、第1シードの韓国イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン組に挑んだが、試合開始からわずかの間に0-10とリードされる。サーブから3球目までを制圧された。相手のミスで点をもらうも、3-14まではほぼ何もできない状態だった。ここから5連続得点を決め、追撃ムードに乗ったかに見えたが、さらに突き放され10-21で第1ゲームを落とす。第2ゲームに入ると前半は競り合いの様相を呈するが、6-7から再び引き離され10-19と大差をつけられると、その後の6連続得点も時すでに遅し。点差以上の完敗だった
遠藤選手は試合直後、BadPaL の取材に応じ、「強かった。これが世界ランク1位との本当の実力差」と指摘。その上で、「悔しい思いはあるので、次はもっと点が取れるようにがんばりたい」と述べた。第2ゲームではいったんリズムに乗ったようにも見えたが、と問うと、早川選手は「たまたま点数が取れていただけ。うまいことやられた」と完敗を認めた

前田・垣岩組は、4月のアジア選手権で初めて対戦し13-21,14-21で敗れた中国マー・ジン/タン・ユエンティン組と再戦。リベンジへの期待があったが、試合が始まってみると主導権を握ったのは中国ペアの方。20歳のタン選手は、スディルマン杯で、マー選手のほかベテランのユー・ヤン選手と組み、出場した3試合すべてに勝利。今大会でも韓国ペア2組を連破しており、経験と自信を積み重ねてきている。結局、今大会第3シードに入った日本ペアだが13-21,10-21と、前回同様ストレート負けに終わった
前田選手は試合を振り返り、「アジア選手権の時に比べ今回は、(マー・ジン選手が前衛につく)相手の得意な形を崩すという、自分たちがやろうとすることはできた。ただ、点につながらなかった」と説明。次の対戦時に、今日やったことの意味が問われる、と述べた
垣岩選手に、五輪レース最初のSSでベスト8という結果をどうとらえるか問うと、「初戦負けだと意気が低下するが、自分たちがやりたいと考えていたことができ、ここまで勝ち上がってこれたので良かったと思う」と答えた

松尾・内藤組は、第2シードのデンマークペア、クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組に、いきなり0-5とリードを許し、その後も3-11、6-15と点差を広げられる。一度は4点差まで迫るが再度突き離され、第1ゲームは14-21で落とす。第2ゲームに入るとリズムをつかみ、前半は互角の展開で進む。ただ後半は地力に勝るデンマークペアにじりじりと離され13-19と追い込まれる。ここから3連続得点で流れをつかみかけるが、反撃もここまで。ストレートで敗れた
松尾・内藤組は試合後、BadPaL に対し、「昨日(2回戦)までとは違い。デンマークペアはタッチ、角度、スマッシュともよく、自分たちのレシーブの良い形が出せなかった」(内藤)。「第1ゲーム、出だしで離されてしまったことで、思い切りの良いプレーができなくなった」(松尾)と敗因を語った。ただ一方で、「サーブ回りを抜けていければ、ラリーはやれている」と自信もつかんだ。ベスト8という結果について、内藤選手は、「(腰の痛みで一時は歩けず)個人的には、ここに立てるかどうか分からない状況だったので」と一定の評価をしながらも、「納得はしていない。B代表なので勝たないと」と悔しさをにじませた。松尾選手に、ここから先の大会に臨む気持ちを聞いたところ、「成績はもちろん大事だが、自分たちの形も追求していきたい」と答えた
一方、この日は女子シングルスで、第1シードの中国リ・シュエリ選手と第2シードのインドのサイナ・ネワル選手が、それぞれ韓国ソン・ジヒョン選手、中国ワン・シーシャン選手に敗れる波乱があった
準々決勝の結果
【男子シングルス】 チェン・ロン(中国、世界1位)〈21-14,21-13〉ウォン・ウィンキ(香港、世界24位)
ティエン・ホウウェイ(中国、世界10位)〈21-9,21-12〉ラジフ・ウーセフ(イングランド、世界29位)
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界3位)〈21-18,16-21,21-8〉ワン・ツェンミン(中国、世界7位)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、世界9位)〈21-19,21-15〉ブーンサック・ポンサナ(タイ、世界32位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】
リ・シュエリ(中国、世界2位)〈17-21,21-10,17-21〉ソン・ジヒョン(韓国、世界7位)
カロリナ・マリン(スペイン、世界3位)〈21-7,21-18〉ワン・イーハン(中国、世界8位)
ベ・ヨンジュ(韓国、世界12位)〈21-8,17-21,21-10〉ミッシェル・リ(カナダ、世界15位)
サイナ・ネワル(インド、世界1位)〈15-21,13-21〉ワン・シーシャン(中国、世界6位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国、世界1位)〈21-10,21-16〉早川賢一・遠藤大由(世界6位)
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界5位)〈22-24,21-14,21-16〉フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、世界7位)
チュウ・ツィハン/リュウ・シャオロン(中国、世界8位)〈21-11,21-19〉クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア、世界212位※予選勝ち上がり)
コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル(韓国、世界11位)〈16-21,13-21〉ルー・カイ/リュウ・チェン(中国)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈22-24,21-12,21-18〉コ・アラ/ユ・ヘウォン(韓国、世界22位)
グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界7位)〈18-21,16-21〉ティエン・チン/タン・ジンフア(中国)
前田美順・垣岩令佳(世界6位)〈13-21,10-21〉マー・ジン/タン・ユエンティン(中国、世界10位)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界5位)〈21-14,21-17〉松尾静香・内藤真実(世界14位)
【混合ダブルス】
シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界2位)〈25-27,21-19,16-21〉コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界8位)
リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界5位)〈21-15,21-13〉チェ・ソルギュ/オムヘウォン(韓国)
ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)〈16-21,21-13,19-21〉リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界13位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)〈21-9,21-12〉クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界7位)
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準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
チェン・ロン(中国、世界1位)対ティエン・ホウウェイ(中国、世界10位)
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界3位)対ビクター・アクセルセン(デンマーク、世界9位)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、世界3位)対ソン・ジヒョン(韓国、世界7位)
ワン・シーシャン(中国、世界6位)対ベ・ヨンジュ(韓国、世界12位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国、世界1位)対ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界5位)
チュウ・ツィハン/リュウ・シャオロン(中国、世界8位)対ルー・カイ/リュウ・チェン(中国)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対ティエン・チン/タン・ジンフア(中国)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界5位)対マー・ジン/タン・ユエンティン(中国、世界10位)
【混合ダブルス】
リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界5位)対コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界8位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)対リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界13位)