
タイ・バンコクで開催中の世界ジュニア選手権は27日、男女混合団体戦の3位決定戦と決勝を行い、前日の準決勝で韓国に敗れた日本は中国と3位を争ったが、2対3の僅差で敗れ4位に終わった
チームのキャプテンを務めた保木卓朗選手は BadPaL に対し、「4位という結果は目標とは違ったが、試合に出場する選手への応援やサポートなど、チーム一丸となって行動できた。このチームに満足している」と語った。なお今大会、4位の日本にも銅メダルが授与された

団体戦最終日、日本は昨年決勝で対戦した中国との3位決定戦に臨んだ。1種目目の男子ダブルスには、保木卓朗・小林優吾組が出場した。競り合いとなった第1ゲームを中盤抜け出し取るが、第2ゲームは終始相手のペースで、一度もリードを奪えぬまま落とす。ファイナルゲームも中盤9-13とリードされるが、ここから6連続得点を決め逆転すると、一気に抜け出し、チームに貴重な1勝をもたらした。保木選手は試合後、ひとこと、「うれしい」。小林選手は「第1ゲームは落ち着いてプレーできたが、第2ゲームに入り、勝ちを意識して焦った。しかしファイナルは、チームメイトの応援のおかげで気持ちを立て直すことができた」と述べた

2種目目の女子シングルスにエントリーされたのは、今大会ここまでずっと起用されてきた大堀彩選手に代わって山口茜選手。第1ゲームは相手を圧倒し21-9で取るが、その後、中国選手にペースをつかまれ第2ゲームを落とす。ファイナルゲームも接戦となるが、中盤以降徐々に引き離し、終盤の長いラリーを制すると、明らかに疲れの見える相手から次々と点数を奪い、21-12と快勝。日本に2勝目をもたらした。山口選手は試合後、BadPaL に対し、「(女子シングルスは山口で行くと)言われた時は、楽しみだったが不安もあった。昨年から出場させてもらっている世界ジュニア、アジアジュニアともに、団体戦でシングルスに出るのは初めてで緊張した。国の代表という肩書を背負って出たジャパンオープンに比べても、自分の勝ち負けがチームの勝敗につながるので、責任が大きかった」と明かした

3種目目の男子シングルスには常山幹太選手が今大会初登場。第1ゲームは中国選手相手に、中盤13-13まで競り合いを演じる。しかしそこから徐々に点差を広げられ17-21で置いていかれると、第2ゲームは相手の力強いショットに押し切られる形で敗戦となった。常山選手は BadPaL に対し、「初めての国際大会で緊張して思ったようなプレーができなかった。個人戦では上位を目指してがんばる」と述べた

4種目目の女子ダブルスに出場したのは、2日前の準決勝進出を決めるプレーオフで、チームが1対2と劣勢の中、格上のタイペアを接戦の末、21-19,23-21で破り、日本の勝利に大きく貢献した永原和可那・宮浦玲奈組。この日も、アジアジュニア選手権優勝の中国ペアに第1ゲームを先取されながら第2ゲームを奪い返す健闘を見せた。しかしファイナルゲームは地力に勝る中国ペアに13-19とリードを許し、連続得点で3点差まで迫るも、ここでサーブをネットにかけ流れが途切れてしまい、わずかに届かなかった。永原選手は試合後、BadPaL に対し、「サーブで恐怖心を持ってしまい対応できなかった。精神的な弱さが出た」と敗因を語った。ただ団体戦全体を振り返ると、「2人で組んで初めての海外の大会で、強豪のタイペアに勝てたのは良かった。きょうの負けも課題が見えたので次につながる」と前を向いた

中国に2対2と追い付かれて迎えた最終種目の混合ダブルスには、女子シングルスを戦った山口選手が、井上拓斗選手と組んで再びコートに立った。対戦相手の女子チェン・チンチェン選手は昨年、千葉で開催された世界ジュニアの決勝でも、2対2で回ってきた混合ダブルスに出場し、古賀輝・山口茜組とのファイナルゲームにもつれる試合を制して中国を優勝に導いた実力者。日本ペアは第1ゲームを11-21で失うと、第2ゲームは17-12とリードしながら逆転され、先に18-20とマッチポイントを握られる。しかしここから意地を見せて追いつくと、逆転にも成功し24-22でこのゲームを奪い返す。土壇場で試合を振り出しに戻した勢いに乗ってファイナルゲームも押し切りたいところだったが、開始早々0-4とリードを許す。何とか追いすがろうとするが点差は埋まらず、結局16-21で力尽き、チームの敗戦が決まった。井上選手は試合後、BadPaL に対し、「中国の女子選手が前に詰めてきてやりにくかった。第2ゲームを逆転で取り返した後、そのまま流れに乗りたかったが、ファイナルゲームの出だしにいかれてしまった」と、敗戦の悔しさをにじませながらコメントした
3位決定戦の結果
◆日本2―3中国
【男子ダブルス】 保木卓朗・小林優吾〈21-16,15-21,21-18〉リュウ・ユーチェン/ツェン・シウェイ
【女子シングルス】 山口茜〈21-9,16-21,21-12〉ホー・ビンジャオ
【男子シングルス】 常山幹太〈17-21,14-21〉リン・グェイプ
【女子ダブルス】 永原和可那・宮浦玲奈〈11-21,21-14,17-21〉ジア・イーファン/ホワン・ドンピン(※アジアジュニア優勝)
【混合ダブルス】 井上拓斗・山口茜〈11-21,24-22,16-21〉ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン

日本は前日に行われた準決勝で、韓国に1対3で屈した。韓国が優位に立つ最初の2種目、混合ダブルスと男子シングルスを続けて落とし、後のない状況に追い込まれた。しかし次の男子ダブルスで、「昨日負けてチームに貢献できなかった。今日は自分たちが勝って起点となり、チームに勢いをつけたかった」と試合後話した保木・小林組が、気迫あふれるプレーでギリギリの接戦を制して一矢報い、1対2として日本のエース、アジアジュニア選手権女子シングルスチャンピオンの大堀彩選手につないだ

大堀選手は前日、準決勝進出のかかった大事なタイとの試合で、アジアジュニア選手権個人戦決勝で倒したライバル、ブサナン・ウンバンルンパン選手に11-21,14-21といいところなく敗れた。その影響もあってか、韓国キム・ヒョミン選手との試合も序盤から精彩を欠き、第1ゲームを14-21で落とす。第2ゲームは終盤の逆転で取り戻したものの、ファイナルゲームは再び相手にリードを許し、そのまま16-20と4つのマッチポイントを握られてしまう。何とか3つを回避し1点差まで追いついたものの、あと一歩届かず敗れ、この時点でチームの決勝進出が消滅した
大堀選手は試合の後、チームメイトから離れて1人、試合会場の外に出て、顔を覆ったままコンクリートの床に座り込んでしまうほどの落ち込みぶりを見せていた。BadPaL が翌日話を聞くと、「今大会ではまったくチームの役に立てなかった。自分が勝たなければ、と思い込み過ぎていたのかもしれない」と反省の弁を口にした。最終日の中国との3位決定戦で初めて出場メンバーから外れたことについては、「(前の2戦で)自分が負けていたのでしかたがない。結果がすべて。素直に受け止めるしかない」と語った。その上で、「終わってしまったことはしかたがないので、後2日で切り替えて、29日から始まる個人戦に臨みたい」と気持ちを新たにしていた
日本チーム準決勝の結果
◆日本1―3韓国
【混合ダブルス】 井上拓斗・山口茜〈18-21,17-21〉チェ・ソルギュ/チェ・ユジョン(※アジアジュニア2連覇)
【男子シングルス】 小野寺祐介〈19-21,21-14,15-21〉チョン・ヒョクチン(※アジアジュニア準優勝)
【男子ダブルス】 保木卓朗・小林優吾〈25-23,21-18〉チェ・ソルギュ/ホ・カンヒ
【女子シングルス】 大堀彩〈14-21,21-18,19-21〉キム・ヒョミン
【女子ダブルス】 永原和可那・宮浦玲奈〈打ち切り〉キム・ジウォン/チェ・ユジョン

一方、3位決定戦に続いて、27日午後から行われた決勝では、前日の準決勝で日本を破った韓国と、中国に競り勝ったインドネシアが対戦。1種目目の混合ダブルスと3種目目の男子ダブルスを取ったインドネシアが、2対1として初優勝に王手をかける。しかし次の女子シングルスで、前日、アジアチャンピオンの大堀選手から価値ある白星を挙げ勢いに乗る韓国キム・ヒョミン選手が、中国戦勝利に大きく貢献したインドネシアのハンナ・ラマディニ選手を粉砕すると、韓国が続く女子ダブルスも難なく取り、逆転で優勝を手にした。2000年から始まった世界ジュニア男女混合団体戦を韓国が制するのは、2006年に次いで2度目
決勝の結果
◆韓国3―2インドネシア
【混合ダブルス】 チェ・ソルギュ/チェ・ユジョン(※アジアジュニア2連覇)〈19-21,16-21〉ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ/マシタ・マームディン
【男子シングルス】 チョン・ヒョクチン(※アジアジュニア準優勝)〈21-16,21-19〉クリスティ・ジョナタン
【男子ダブルス】 チェ・ソルギュ/ホ・カンヒ〈16-21,20-22〉ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ/アルヤ・マウラナ・アルディアルタマ
【女子シングルス】 キム・ヒョミン〈21-15,21-18〉ハンナ・ラマディニ
【女子ダブルス】 キム・ジウォン/チェ・ユジョン〈21-18,21-11〉ロスイタ・エカ・プトリ・サリ/セトヤナ・ダニエラ・フロレンシア・マパサ
この日で団体戦の全日程が終了。各国・地域の最終順位は以下のようになった。1日休養日をはさんで、29日からは個人戦がスタートする

【1位】韓国【2位】インドネシア【3位】中国【4位】日本
【5位】マレーシア【6位】タイ【7位】台湾【8位】ベトナム
【9位】香港【10位】シンガポール【11位】デンマーク【12位】フランス
【13位】ロシア【14位】インド【15位】ドイツ【16位】スコットランド
【17位】ブルガリア【18位】カナダ【19位】オーストラリア【20位】トルコ
【21位】スリランカ【22位】フィンランド【23位】チェコ【24位】南アフリカ
【25位】スペイン【26位】アルメニア【27位】アメリカ【28位】ボツワナ
【29位】フィリピン【30位】ウズベキスタン
※カザフスタンとアルジェリアは、当初エントリーしていたが参戦せず