デンマークオープンSSプレミア3日目、各種目の2回戦が行われ、日本勢は女子シングルスの廣瀬栄理子選手、男子ダブルスの早川賢一・遠藤大由組と平田典靖・橋本博且組、女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀組と前田美順・垣岩令佳組がベスト8に残った

日本の女子シングルスで唯一、1回戦を突破した廣瀬選手の相手は、想定していた昨年のジャパンオープンSS決勝で敗れた台湾タイ・ツーイン選手ではなく、シンガポールのグ・ジュアン選手。廣瀬選手自ら「なかなか崩れない、やりにくい相手」と評する相手だが、ふたを開けてみると、第1ゲームは一度もリードを許さず勝ち、第2ゲームも20-18と先にマッチポイントを握る。しかしここからグ選手の粘りにあい、最後の1点にどうしても手が届かず22-24で落としてしまう
相手に移った流れは続き、ファイナルゲームは劣勢のまま16-19と追い込まれる。しかし、今度は廣瀬選手が土壇場で4連続得点で逆転に成功。マッチポイントを奪い返す。一度は20-20で追いつかれるが、次の2点をしっかり取り、1時間を超えるシーソーゲームを勝利で終えた
廣瀬選手は試合直後、BadPaL の取材に応じ、第2ゲーム終盤に逆転を許した場面を振り返り、「第1、第2ゲームとス ピードを出していったので、(自分のスピードが)どこかで落ちることは予想していた」と冷静に語った。逆にファイナルゲーム、グ選手に追い込まれながら逆転できた場面については、「相手もいつかは落ちると思っていて、そこで自分の方がスピードを上げられたのが良かった」と述べた。あすの準々決勝では8月の世界選手権を制したタイのラッチャノク・インタノン選手と対戦するが、「勝てるチャンスはあると思う。1本ずつしっかりとっていきたい」と抱負を述べた

男子ダブルスの平田・橋本組は、昨年、準々決勝で敗れたシン・ベクチョル選手が、新たにコ・ソンヒョン選手と組んだ韓国ペアと対戦した。平田選手が試合後、「相手が引いているのが分かった」と話した第1ゲームは、21-12で快勝する。ところが第2ゲームに入ると、「韓国ペアが自分の形になってきた」ことで形勢逆転。中盤以降抜け出され17-21で落としてしまう。ただファイナルゲームは日本ペアが再び盛り返し、終盤17-11と大きくリード。その後、韓国ペアに1点差(20-19)まで追い上げられるが、最後は21-19で振り切った
平田、橋本両選手は BadPaL の取材に応え、新しい韓国ペアと実際に戦ってみた印象を、「イ・ヨンデ、コ・ソンヒョン、ユ・ヨンソン、シン・ベクチョルの4選手の組み合わせの中では弱い方だと思う」(橋本)と述べた。平田選手は、「韓国相手にファイナルゲームで勝てたことは良かったし、内容も悪くなかったと思っている」とした上で、「準々決勝の相手はこれまで対戦したことのない世界チャンピオンのヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン組だが、やるからには勝ちにいく」と意気込みを示した

男子ダブルスのもう1組、早川・遠藤組は、前日、「しっかり勝たなければ」と話していたマレーシアペアを相手にリードを保ちながら試合を進めるも、終盤追いつかれ2度のゲームポイントを凌がれる。ただ、23-21とギリギリのところで第1ゲームを先取すると、第2ゲームは現在の実力差を見せつけるかのように次々と得点を重ねていき、21-11と大勝した
早川、遠藤両選手は試合後、 BadPaL に対し、きょうの試合に臨むに当たり、過去の対戦成績5戦5勝、そのうち3試合はファイナルゲームまでもつれる接戦を勝利していたことで、「緊張はしたが、勝てるという気持ちがあった」(遠藤)と明かした。「サーブでミスしても、次のラリーで点が取れる」(早川)と、自信を持ってプレーできていたという。昨年の成績(ベスト8)を上回るベスト4入りをかけた準々決勝では、中国がペアを組み換えてエントリーしてきたカイ・ユン/チャイ・ビアオ組とぶつかる。「どうしたら自分たちのベストパフォーマンスができるかを模索していきたい」と語った

女子ダブルスでは高橋・松友組がタイのサビトリー・アミトラパイ/ナリッサパト・ラム組と対戦。ラム選手には8月の世界選手権の初戦(2回戦)でよもやの敗退を喫したが、その時は、パートナーが世界トップレベルの前衛を得意とするベテラン、サラリー・トゥントーンカム選手だった。第1ゲーム、出だしでリードされ状況が同じようになったことで、「世界選手権を久しぶりに思い出してしまい、2人とも堅くなった」と明かした。ただ途中で、「トゥントーンカム選手はいないし、普段通りにやったら大丈夫と切り替えられたことで、その後は相手の空きスペースをついていけるなど、自分たちの良い形になった」という。結果は21-14,21-11のストレート勝ち。準々決勝も、続けてタイのトップペアとの対戦となるが、「しっかり準備をして自分たちのプレーをできるようにしたい」と抱負を述べた

前田・垣岩組は、1回戦に続いて、世界ランク上位のインドネシアのペアが相手。前回対戦した1月のマレーシアオープンSSでは、フルゲームの末に勝利 (14-21,21-15,21-17)していたが、「あれからしばらく間があいており、前回のことは忘れて、初めての対戦という気持ちで臨んだ」(前田)という。第1ゲームを13-17とリードされたところから逆転で取ると、ペースをつかんだか、第2ゲームはいきなり11連続得点を決めるなど、一方的な展開となる。終盤、インドネシアペアがシャトルを上げ続けて日本ペアの攻撃を誘う作戦に出るが、ラリーを続けながら好機を待つ、我慢のプレーで対抗。「無理に打ち込んでも、止まった状態でのレシーブが上手い相手の思うつぼ。2人で意思疎通もできていて、しつこくやれたと思う」と振り返った。ただ、「今回は点差が開いていたからできたことで、もう少し点差が詰まっていたら攻め急いでいたかもしれず、次やったらどうなるかわからない」と、快勝にも気を引き締めた。次戦の相手、韓国チャン・イエナ/キム・ソヨン組については、ペアとしての対戦はないが、常に世界ランクが拮抗している「気になる存在」と明かし、世界ランクのさらなる引き上げを狙うためにも、負けたくない相手であることをうかがわせた
日本からはほかに、男子シングルスの田児賢一選手、男子ダブルスの園田啓悟・嘉村健士組、混合ダブルスの早川賢一・松友美佐紀組と橋本博且・前田美順組がベスト8入りを狙ったが、果たせなかった
混合ダブルスの2試合はいずれも接戦。とりわけ早川・松友組は、世界4位のデンマーク、ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン組と互角以上の試合を展開した。第1ゲームは中盤、逆転に成功し20-18と先にゲームポイントを握る。しかしここから決め手に欠き25-27で惜敗した。第2ゲームは先行を許すも終盤18-18で追いつくと、そのまま20-19と逆転する。ただここでも勝ち切れずに20-22で敗れた

早川選手は試合後、BadPaL に対し、「第1、第2ゲームとも、終盤追い上げて先にゲームポイントを握りながら、レシーブに立つフィッシャー選手の圧力がすごく、よりきれいなサーブを打とうとしてしまった」と敗因の一端を明かした。8月の世界選手権準々決勝での世界3位、インドネシアのタントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組との接戦(10-21,21-17,19-21)に続いて、世界トップと競り合いを演じたが、早川選手は「まずは同じレベルのペアにコンスタントに勝っていかないと、自分たちの実力が分からない」と述べ、格上相手の善戦が即自信につながるわけではないと説明した。ただ松友選手は、「混合ダブルスでは最初、何もできなかったが、今は前よりできるようになっていると思う」と述べ、経験が自信になっていることを認めた

園田・嘉村組は、ロンドン五輪金メダルをはじめ世界で数々のタイトルを手にしているフー・ハイファン選手が、ホン・ウェイ選手と組んだ強力な中国ペアに挑んだ。高速のラリーの応酬で会場を沸かせたが、試合をリードするまでには至らずストレート負け。「中国ペアは1発のスマッシュがすごかった。日本では体験できない。ドライブ勝負では、こちらのミスでアウトにしてしまったものを除けば戦えた。レシーブから攻撃に切り返すことができるよう、世界のトップと戦っていくためにはレシーブ力の強化が必要」と試合後、語った

日本の男子シングルス陣で唯一の勝ち残りとなった田児選手は、過去4戦して一度も勝ったことのないインドネシアのベテラン、ソニー・ドゥイ・クンチョロ選手から初白星を狙った。第1ゲームを16-21で落とした後の第2ゲーム、スタートダッシュに成功し10-2と大量リードを得る。しかし次々と連続得点を決められ18-18で追いつかれると、流れを変えることはできず18-21で敗戦となった
日本選手3日目(2回戦)の結果
【男子シングルス】 田児賢一(世界4位)〈16-21,18-21〉ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア、世界15位)
【女子シングルス】 廣瀬栄理子(世界18位)〈21-16,22-24,22-20〉グ・ジュアン(シンガポール、世界21位)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界4位)〈23-21,21-11〉フーン・ティエンハウ/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界13位)、平田典靖・橋本博且(世界17位)〈21-12,17-21,21-19〉コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル(韓国)、園田啓悟・嘉村健士(世界18位)〈13-21,17-21〉フー・ハイファン/ホン・ウェイ(中国)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈21-14,21-11〉サビトリー・アミトラパイ/ナリッサパト・ラム(タイ、世界114位)、ピア・ゼバディア・ベルナデス/リズキ・アメリア・プラディプタ(インドネシア、世界7位)〈19-21,12-21〉前田美順・垣岩令佳(世界35位)
【混合ダブルス】 ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)〈27-25,22-20〉早川賢一・松友美佐紀(世界25位)、アナース・クリスチャンセン/ジュリー・ハウマン(デンマーク、世界19位)〈9-21,21-18,21-18〉橋本博且・前田美順(世界29位)
準々決勝の対戦カード
【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)対ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界5位)、ドゥ・ペンユ(中国、世界3位)対R.M.V.グルサイドゥット(インド、世界24位)、ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア、世界15位)対タノンサク・サエンソンプーンサック(タイ、世界19位)、チェン・ロン(中国、世界2位)対チェン・ユークン(中国、世界29位)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(中国、世界1位)対ワン・シーシャン(中国、世界7位)、サイナ・ネワル(インド、世界4位)対ソン・ジヒョン(韓国、世界6位)、ワン・イーハン(中国、世界5位)対ベ・ヨンジュ(韓国、世界11位)、ラッチャノク・インタノン(タイ、世界2位)対廣瀬栄理子(世界18位)
【男子ダブルス】 ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界2位)対平田典靖・橋本博且(世界17位)、早川賢一・遠藤大由(世界4位)対カイ・ユン/チャイ・ビアオ(中国)、クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア、世界5位)対イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国)、マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界3位)対フー・ハイファン/ホン・ウェイ(中国)
【女子ダブルス】 ユー・ヤン/ワン・シャオリ(中国、世界1位)対タン・ジンフア/バオ・イーシン(中国)、高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)対クンチャラ・ウォラビチッチャイクン/ドゥアンアノン・アルンゲーソン(タイ、世界8位)、チャン・イエナ/キム・ソヨン(韓国、世界34位)対前田美順・垣岩令佳(世界35位)、クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界3位)対リネ・ダムケーア・クルス/マリー・ロープケ(デンマーク、世界48位)
【混合ダブルス】 ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、世界1位)対クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(英国、世界18位)、ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)対コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界20位)、タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)対アナース・クリスチャンセン/ジュリー・ハウマン(デンマーク、世界19位)、シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界2位)対キム・ギジョン/キム・ソヨン(韓国、世界49位)