
スーパーシリーズ(SS)ファイナル一次リーグ最終日、既に準決勝進出を決めていた男子ダブルスの早川賢一・遠藤大由組が、中国ペアとの全勝対決をファイナルゲームにもつれ込む接戦の末に制し、グループ1位で一次リーグを勝ち抜けた
早川・遠藤組は試合直後、BadPaL の取材に応じ、一次リーグ3試合を振り返って、「全日本総合選手権優勝の達成感があまりにも大きかったので、気持ちが十分入らず、集中し切れていない」と明かした
ロンドン五輪準決勝進出ペアが3組固まった「死の組」(グループA)を回避したことについては、「(グループAに)入らず幸運だったと少しは思うが、グループBの対戦相手も自分たちより少し強いか同等のペアばかり。すべて厳しい試合だった」と強調した。全日本総合を終えてから疲れもピークで、とりわけ今大会初めて落としたこの日の第2ゲームは「実は疲れで動けなかった」という。ただ、今年最後の国際大会ということで、ここまでリーグ戦ながらトーナメントのつもりで戦ってきたと説明した。準決勝の相手はロンドン五輪金メダルの中国カイ・ユン/フー・ハイファン組。「負けたら終わりなので、悔いのないようにプレーしたい」と抱負を述べた

男子シングルスの田児賢一選手は2日目に思わぬ星を落として、後のない状態で中国チェン・ロン選手との一戦に臨んだ。この日は、とりわけネットプレーが冴え、ガットが切れた状態のまま、相手が前に詰めてくるのも構わず、絶妙なヘアピンを決め得点するなど、ネット際でチェン・ロン選手を翻弄。ファイナルゲームの13-13まで食らいつく。しかしここから連続得点を許してしまうと、大歓声に後押しされたチェン・ロン選手に押し切られ、準決勝進出を決める白星を挙げることはできなかった
競った試合となったが、田児選手は BadPaL に対し、「力の差をまだ感じる」とひとこと。自らの前日の敗戦同様、「プレッシャーを感じる方は普段入る球が入らず、プレッシャーを感じない方からは普段入らないような球が入ってくる。これによって1ゲーム取れただけ」と冷静に語った。同級生であるチェン・ロン選手に対する意識はあるが、「今は負けたくないというより、早く追いつきたいという思いが強い」という。全日本総合選手権で5連覇を達成した直後ながら、この大会をより重視し、2012年最後の国際大会としてモチベーションを高めて臨んだ。ただ、昨日の敗戦で気持ちが切れてしまった部分があると認めた。一方、今年を総括する形でロンドン五輪の経験から学んだことを尋ねると、「分かっていたことではあるが、自分がまだまだということ。今になってみれば、中途半端に勝ち進むより(負けて)良かったと言える」と答えた。来年に向けては、「自分のベースの部分を高めていきたい」と述べた

女子シングルスの廣瀬栄理子選手は、一次リーグ敗退が既に決まっていたものの、来年につなげるために思い切った試合がしたいという気持ちで中国ワン・シーシャン選手に挑んだ。しかし、ゲームカウント1対2で惜しくも敗れ、1勝もできずに今大会を終えた。廣瀬選手は BadPaL に対し、「最近また、中国選手相手に競れるようになってきている。チャンスもあったので勝ちたかった」と悔しさを口にした。来年に向けては、「オリンピックレースの後、調子は上がってきている。もう一回、基礎となる体をしっかりつくって臨みたい」と語った

女子ダブルスの2組はこの日、いずれも敗れた。ロンドン五輪金メダルの中国ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組と対戦した松尾静香・内藤真実組は「1回勝った後、研究され、それからは自分たちの思うような試合をさせてもらえなくなっていた。ただ今回は、レシーブで相手を崩せるなど、最近では最も手ごたえを感じられた試合だった」という。松尾選手は「シャトルが遅かったのでこちらから攻めても決めきれないと考え、無理にスピードを上げることはせず、こちらのペースに持ち込めた」。内藤選手は「相手もよく見え、思った以上に体も動けていた。第2ゲーム最後の単調なミスがくやまれる」と語った
準決勝でぶつかる中国ユー・ヤン/ワン・シャオリ組については、最近は点数が取れなくなっているので、何とか1ゲームを取りにいきたい。シャトルが飛ばない状況ながら、パワーのあるこのペアには関係ないと思うので、レシーブがカギになるとした

高橋礼華・松友美佐紀組は、全日本総合選手権で2連覇を果たした直後に乗り込んできた中国で高橋選手が体調を崩したこともあり、いつものプレーは見られず、デンマークペアにストレート負けを喫した。ただ松友選手は試合後、「勝ち負けというより、次の対戦に向けて(相手の弱点など)いろいろと見つけたかった」と語り、「序盤は向こうのペースでやられたが、第1ゲームの途中から相手の回り方などが見えてきていた。次は大丈夫」と力強く答えた
日本選手一次リーグ最終日の結果
【男子シングルス】 田児賢一〈15-21,21-14,15-21〉チェン・ロン(中国)
【女子シングルス】 廣瀬栄理子〈15-21,21-8,15-21〉ワン・シーシャン(中国)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由〈22-20,12-21,21-18〉シェン・イエ/ホン・ウェイ (中国)
【女子ダブルス】 松尾静香・内藤真実〈15-21,18-21〉ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国)、高橋礼華・松友美佐紀〈17-21,16-21〉クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール (デンマーク)
一次リーグ最終日を終えた時点のグループ内順位(確定)*棄権した選手への勝ち負けはカウントせず
【Men’s Singles】
◆グループA:【1位】ドゥ・ペンユ (中国、2勝)【2位】フ・ユン (香港、1勝1敗)【3位】ブーンサック・ポンサナ (タイ、2敗)【4位】リー・チョンウェイ (マレーシア、棄権)
◆グループB:【1位】チェン・ロン (中国、3勝)【2位】ハンス・クリスチャン・ビティングス (デンマーク、1勝2敗)【3位】田児賢一 (日本、1勝2敗)【4位】ダレン・リュー (マレーシア、2敗)
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【Women’s Singles】
◆グループA:【1位】リ・シュエリ (中国、3勝)【2位】ワン・シーシャン (中国、2勝1敗)【3位】ソン・ジヒョン (韓国、1勝2敗)【4位】廣瀬栄理子 (日本、3敗)
◆グループB:【1位】ラッチャノク・インタノン (タイ、3勝)【2位】サイナ・ネワル (インド、1勝2敗)【3位】ティネ・バウン (デンマーク、1勝2敗)【4位】ユリアン・シェンク (ドイツ、1勝2敗)
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【Men’s Doubles】
◆グループA:【1位】マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン (デンマーク、1勝1敗)【2位】カイ・ユン/フー・ハイファン (中国、1勝1敗)【3位】クー・ケンケット/タン・ブンヒョン (マレーシア、1勝1敗)【4位】キム・サラン/キム・ギジョン (韓国、棄権)
◆グループB:【1位】早川賢一・遠藤大由 (日本、3勝)【2位】シェン・イエ/ホン・ウェイ (中国、2勝1敗)【3位】フーン・ティエンハウ/タン・ウィーキョン (マレーシア、1勝2敗)【4位】マニーポン・ジョンジット/ボディン・イサラ (タイ、3敗)
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【Women’s Doubles】
◆グループA:【1位】ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン (中国、3勝)【2位】松尾静香・内藤真実 (日本、2勝1敗)【3位】クンチャラ・ウォラビチッチャイクン/ドゥアンアノン・アルンゲーソン (タイ、1勝2敗)【4位】プーン・ロクヤン/ツェ・インシュー (香港、3敗)
◆グループB:【1位】ユー・ヤン/ワン・シャオリ (中国、2勝)【2位】クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール (デンマーク、1勝1敗)【3位】高橋礼華・松友美佐紀 (日本、2敗)【4位】オム・ヘウォン/チャン・イエナ (韓国、棄権)
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【Mixed Doubles】
◆グループA:【1位】シュー・チェン/マー・ジン (中国、2勝)【2位】スッケー・プラパカモン/サラリー・トゥントーンカム (タイ、1勝1敗)【3位】タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル (インドネシア、2敗)【4位】ユ・ヨンソン/チャン・イエナ (韓国、棄権)
◆グループB:【1位】ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン (デンマーク、3勝)【2位】ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ (中国、2勝1敗)【3位】ムハンマド・リジャル/デビー・スサント (インドネシア、1勝2敗)【4位】チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン (マレーシア、3敗)
この結果、準決勝の対戦カードは以下のようになった。すべての種目で中国選手が2枠を占めている
【男子シングルス】 チェン・ロン(中国)対フ・ユン(香港)、ドゥ・ペンユ(中国)対ハンス・クリスチャン・ビティングス (デンマーク)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(中国)対サイナ・ネワル(インド)、ラッチャノク・インタノン(タイ)対ワン・シーシャン(中国)
【男子ダブルス】 マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン (デンマーク)対シェン・イエ/ホン・ウェイ (中国)、早川賢一・遠藤大由対カイ・ユン/フー・ハイファン(中国)
【女子ダブルス】 ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン (中国)対クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール (デンマーク)、ユー・ヤン/ワン・シャオリ (中国)対松尾静香・内藤真実
【混合ダブルス】 シュー・チェン/マー・ジン (中国)対ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ (中国)、ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン (デンマーク)対スッケー・プラパカモン/サラリー・トゥントーンカム (タイ)