
台風21号の直撃に伴う洪水で死者1,000人超の人的被害を出したフィリピン・ミンダナオ島北部のカガヤンデオロで、BadPaL は29日、地元出身のバドミントン選手の協力を得て、日本から預かった支援物資を被災地の子どもたちに直接届けた
日本で東日本大震災の被災者支援活動を行う「米倉加奈子プロジェクト」を後援する日本バドミントン専門店会の関係者から、「日本を支援してくれたアジアの人たちに何かできることはないか」との申し出があったのがきっかけ。米倉加奈子プロジェクトには、9月のジャパンオープン開催時に、BadPaL が3月以降アジアで実施している東日本大震災の被災者支援活動「PRAY&PLAY for JAPAN」を岩手、宮城、福島の東北3県の子どもたちに紹介する機会を設けてもらい、つながりが生まれていた(以下参照 https://badpal.wordpress.com/2011/10/09/asian-supports-reach-to-children-from-victimized-area/)
PRAY&PLAY for JAPANは、日本の被災者に思いを寄せてくれる地元の人たちの協力を得て、フィリピンからスタートし、その後アジア各地に広がっていった活動である
今回、米倉加奈子プロジェクトから託された支援物資のシャツは、BadPaL がこの日訪れた数カ所の被災地域で、協力要請を快諾してくれたカガヤンデオロ出身のフィリピンナショナルチームの元メンバー、イアン・メンデス氏によって直接、多くの子どもたちに手渡された。ちなみに同氏の家族も被災しており、招かれた家の壁には大人の身長を上回るところまで水かさが増した痕跡が生々しく残り、家の前に停めてあるバンの車内は汚泥があふれたままだった
キリスト教徒が9割を占めるこの国でクリスマスはことさら特別な意味合いを持つ。その1週間前に突然、悲惨な災害を体験し、「道端に並べられた多くの遺体や流された集落など、目にするものすべてが嫌で、この地から逃げ出したかった」とつらい気持ちを吐露する若者がいた。また長年この地に暮らす年配の人は「大雨による増水はこれまで何度か経験しているが、これほどひどいのは今回が初めて」と語り、過去に例のない大災害であると強調した
カガヤンデオロでは近年、高地を中心に商業・住居施設などの開発が進んでいる。ただ起伏が大きい地形で、一部は盆地のようになっており大きな川も流れている。そのため低地に住居を構える裕福ではない地元住民にとって、周りをとり囲む山々で進む違法伐採の影響もあり、多雨による洪水の危険は年々増大しているという。さらに、未明に発生した今回の災害を経て、住民は雨が降り出すと眠れないなど天候の変化に過敏になり、安全のため低地から高地への転居を真剣に検討する家族が増えている。その一方で、低地に住み続けることへの危険を感じていながら、金銭的な余裕がなくとどまらざるを得ない人が多いのも現実だ


