タイオープン(SUPER500)決勝、東京五輪の後、昨年後半から実力を開花させた志田千陽・松山奈未と小林優吾・保木卓朗が、昨年11月のインドネシアマスターズ以来となる同時優勝を遂げ、マニラからバンコクへ約1カ月間続いた今回のアジア遠征を締めくくった
志田・松山は3月、◆2020年福島由紀・廣田彩花◆21年永原和可那・松本麻佑――に続いて全英オープンで優勝し、次のエースペア候補として名乗りを上げた。ただ前2年の全英ではいずれも永原・松本に敗れていて、今年は出場していなかったこともあり、ここタイオープンの決勝で勝って明確な一歩前進を印象付けたいところだった
試合は、第1ゲームを永原・松本、第2ゲームを志田・松山が取り合う。ファイナルゲームに入っても互いに譲らぬ一進一退の攻防がマッチポイント以降まで続き、最後は永原がサーブレシーブをネットにかけ、26-24で志田・松山が勝利。国際大会で4戦全敗だった永原・松本を初めて破り全英オープン優勝の価値を一段引き上げた上での、今シーズン、ワールドツアー2勝目となった
タイオープン女子ダブルスでの日本ペアの優勝は、2019年米元小春・田中志穂に次いで2組目
男子ダブルスの小林・保木は、試合開始直後から着々と点数を重ねていくが、明らかに対戦相手、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアンの様子がおかしい。腰に故障を抱えていたファジャルが、シャトルに反応できず棒立ちの状態を続けた後、日本ペアのリードが13-4となったところで棄権。試合時間10分に満たないあっけない幕切れに
ただ小林・保木にとっては、3試合に出場し全敗に終わった前週の団体戦トマス杯の後、気持ちを切り替えて臨み、トマス杯で敗れていたマレーシアペアから勝ちをもぎとるなどしてつかんだ今シーズン最初のタイトル。その意義は大きい
タイオープン男子ダブルスでの日本ペアの優勝は、小林・保木と同じ所属先の先輩だった園田啓悟・嘉村健士が成し遂げた2018年以来2度目

ほかの3種目はすべて、女子ダブルスと同じく1時間余りの接戦の末に全英優勝経験者が勝ちを収めた
男子シングルスは、2021年全英王者リー・ヅージアが、予選から決勝まで勝ち上がってきたリ・シーフェンにファイナルゲーム前半4-11と大きくリードされてもあきらめずに追い上げ、終盤19-20と先にマッチポイントを握られながらもねばりをみせ、逆転勝ちした。リー・ヅージアは今回のアジア遠征中、アジア選手権に次ぐ2つ目のタイトル獲得で、トマス杯を含め13戦負けなし
女子シングルスは、20年全英女王タイ・ツーインが、東京五輪決勝以来の対戦となった19年全英覇者チェン・ユーフェイを、ファイナルゲームで振り切った。タイ・ツーインは今シーズン初優勝
混合ダブルスは、19年に全英を制したツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオンが、中止となった昨年をまたいで大会連覇を狙ったホスト国タイ期待のデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイを試合時間1時間ちょうどで止め、中国に唯一のタイトルをもたらした。
元世界ランク1位のシウェイ/ヤチオンは東京五輪の決勝でワン・イーリュ/ホワン・ドンピンに敗れた後、2021年は世界選手権で初戦敗退。結果を残せなかった。しかし22年になると、全英オープンでベスト4入り(=準決勝で敗れたのはイーリュ/ドンピン)。そして今回、アジア選手権、タイオープンと連続優勝し、トップの座を奪還する準備は整った
決勝の結果
【男子シングルス】リー・ヅージア(マレーシア、第6シード)<17-21,21-11,23-21>リ・シーフェン(中国※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-15,17-21,21-12>チェン・ユーフェイ(中国、第3シード)
【男子ダブルス】小林優吾・保木卓朗(第3シード)<13-4棄権>ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第5シード)
【女子ダブルス】永原和可那・松本麻佑(第5シード)<21-17,15-21,24-26>志田千陽・松山奈未(第6シード)
【混合ダブルス】デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第1シード)<12-21,21-18,14-21>ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第2シード)