男女別の国・地域別対抗戦トマス・ウーバー杯は8~11日で一次リーグを終え、日本は女子がA組1位、男子がD組2位で決勝トーナメント進出。12日の準々決勝ではまずはメダルをかけて、ともに台湾と対戦する
一次リーグ全日程終了後に行われた決勝トーナメントの組み合わせ抽選、結果は次の通り
トマス杯
①インドネシア(A組1位)対中国(B組2位)
②台湾(C組1位)対日本(D組2位)
③マレーシア(D組1位)対インド(C組2位)
④デンマーク(B組1位)対韓国(A組2位)
ウーバー杯
①日本(A組1位)対台湾(B組2位)
②韓国(D組1位)対デンマーク(C組2位)
③タイ(C組1位)対インド(B組2位)
④中国(B組1位)対インドネシア(A組2位)
日本男子は一次リーグ、インドネシアに次ぐチームランキング2位でD組に入り、USAとイングランドを完封して、今大会最初の山場であるマレーシアとの一戦に臨んだ
直近のアジア選手権で優勝するなど、自らの意思で代表を外れプロ活動を開始し上り調子にあるリー・ヅージアに対し、自信のゆらぎを認める桃田。好対照な2人の現在の状況からみて、勝負は、エースの勝敗に影響を受けず、残る4種目でそれぞれが役割を果たせるかにかかっていた。日本チームにとっては、シングルスで優位に立つため、ダブルスの出来が生命線だった
最初の種目は最近の勢いの差そのままに、リー・ヅージアが桃田に一度もリードを許さずストレート勝ちし、マレーシアに最初のポイントをもたらす
リー・ヅージアは試合後、桃田とは過去に何度も対戦しているが、今回はベストの状態ではなかった、とコメント。その上で、チームに最初のポイントをもたらすことができてうれしい、と述べた
2種目目の第1ダブルスでは、マレーシア側が仕掛けた。1、2番手を外して、3番手のヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイを大抜擢。2人は、最初は驚いたとしながらも、自分たちを信じて起用してくれたコーチ、レキシ―・マイナキーの信頼に応えたいと意気込み、またプレッシャーは日本側にある、と思い切ったプレーができる環境が整っていた
対する小林優吾・保木卓朗は、チームが組み換えを行ってきたため、ペアとしてはこれが今大会最初の試合。対戦するのは、想定していたであろう何度も対戦し勝手知るアーロン・チア/ソー・ウーイイクやテオ・イーイ/オン・ユーシンではなく、2019年3月以来対戦のない相手。さらに0-1で回ってきてチームのために負けられないプレッシャーが重なったことは想像に難くなく、いつものプレーを出せずにストレート負け。日本は後のない状況に追い込まれる
次の第2シングルスでは、常山幹太が「(どんな状況で出番が回ってこようが)しっかり自分のプレーを出せれば勝てると思っていた」と試合後に述べたように、ぶれない姿勢でベテラン、ダレン・リューを破り、マレーシア側に渡りかけた流れをいったん止めることに成功する。常山はトマス杯に初めて出場した2018年、第3シングルスとしてチームの窮地を救った実績がある
迎えた第2ダブルス、両陣営ともに非正規ペアを投入したが、ここでもコーチの信頼とサポートを強く感じたというテオ・イーイとアーロン・チアが奮起、集中力を発揮して、古賀輝・渡辺勇大をストレートで破り、チームの勝利と一次リーグトップ通過を確定させた
勝敗が決した後の第3シングルスに登場した西本拳太。オープニングゲームを圧勝しながら、第2ゲームは競り負け失う。それでも、そのままずるずるいくのではなく、翌日からすぐ始まる決勝トーナメントをにらみチームの士気が下がるのを防ぐためにも、最後はきっちり、リョン・ジュンハオの挑戦を跳ねのけ、締めた
◆日本男子一次リーグ最終戦の結果
日本2ー3マレーシア
【第1シングルス】桃田賢斗<17-21,8-21>リー・ヅージア
【第1ダブルス】小林優吾・保木卓朗<19-21,16-21>ヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイ
【第2シングルス】常山幹太<21-16,22-20>ダレン・リュー
【第2ダブルス】古賀輝・渡辺勇大<20-22,17-21>テオ・イーイ/アーロン・チア
【第3シングルス】西本拳太<21-6,19-21,21-15>リョン・ジュンハオ
◆トマス杯・一次リーグ最終結果
A組:【1位】インドネシア(3勝)【2位】韓国(2勝1敗)【3位】タイ(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】シンガポール(3敗=一次リーグ敗退)
B組:【1位】デンマーク(3勝)【2位】中国(2勝1敗)【3位】フランス(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】アルジェリア(3敗=一次リーグ敗退)
C組:【1位】台湾(3勝)【2位】インド(2勝1敗)【3位】ドイツ(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】カナダ(3敗=一次リーグ敗退)
D組:【1位】マレーシア(3勝)【2位】日本(2勝1敗)【3位】イングランド(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】USA(3敗=一次リーグ敗退)
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一方、日本女子は、派遣メンバー12人全員を投じてドイツ、フランス相手に完勝した後、1位通過に向け、全員が20歳以下のインドネシアと対戦。エースの山口がいきなり、18歳のビルキス・プラシスタに敗れる波乱があった。ただ、大勢に影響はなく4-1で勝利した
1993年世界選手権男子シングルスチャンピオン、トマス杯3度優勝など輝かしい戦績を持つジョコ・スプリアントを父に持つプラシスタは、試合当日の朝、ここまで2連勝のコマン・アユ・カヒャ・デウィ(19)に代わって第1シングルスでの起用を知らされたという。山口に勝利したことについて、「世界ランク1位に勝てると思っていなかった。ただ、ベストを出せれば何かを得られるという自信はあった」と回答。勝因としては、相手を動かしたかった。シャトルをなるべく届かないような遠くへ配球することを心掛けた、と試合後語った
インドネシアバドミントン協会(PBSI)は今回、ウーバー杯と同等に重要視する、同時期にベトナムで開催される「東南アジア競技大会(SEAGames)」にも選手を派遣する必要があった。そのため、今大会に向けて20歳以下の若手で選手団を組み、将来を見据え主要大会特有のプレッシャーを早いうちに経験させることを目的の1つに掲げている
◆日本女子一次リーグ最終戦の結果
日本(3勝)4-1インドネシア(2勝1敗)
【第1シングルス】山口茜(24)<19-21,19-21>ビルキス・プラシスタ(18)
【第1ダブルス】志田千陽(25)・松山奈未(23)<21-16,18-21,21-15>ティオラ・ナディア(20)/メラニ・ママヒット(19)
【第2シングルス】髙橋沙也加(29)<21-9,21-5>タシャ・ファラナイラ(17)
【第2ダブルス】福島由紀(29)・松本麻佑(26)<21-14,21-15>ジェシタ・プトリ・ミアントロ(20)/ラニ―・トリア・マヤサリ(20)
【第3シングルス】郡司莉子(19)<21-12,24-22>シティ・サラ・アザハラ(19)
◆ウーバー杯・一次リーグ最終結果
A組:【1位】日本(3勝)【2位】インドネシア(2勝1敗)【3位】ドイツ(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】フランス(3敗=一次リーグ敗退)
B組:【1位】中国(3勝)【2位】台湾(2勝1敗)【3位】スペイン(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】オーストラリア(3敗=一次リーグ敗退)
C組:【1位】タイ(3勝)【2位】デンマーク(2勝1敗)【3位】マレーシア(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】エジプト(3敗=一次リーグ敗退)
D組:【1位】韓国(3勝)【2位】インド(2勝1敗)【3位】カナダ(1勝2敗=一次リーグ敗退)【4位】USA(3敗=一次リーグ敗退)