Yuta/Arisa joins best Mixed pairs club in Birmingham

全英オープン決勝、日本勢は3年連続で複数種目制覇を達成した。とりわけ渡辺勇大・東野有紗は今大会では唯一、連覇を遂げ、過去の名選手に並んで全英の記録にあらためてその名を刻んだ

今大会で唯一、ディフェンディングチャンピオンとして決勝に臨んだ渡辺・東野は、ワン・イーリュ/ホワン・ドンピンと対戦。2021年7月東京五輪準決勝で敗れた後、同年10月デンマークオープンで勝利していたが、通算対戦成績では2勝10敗と依然大きく負け越していて、厳しい戦いが予想された

試合は序盤、先行を許す展開ながら、コンビネーションとディフェンス力を軸に点差を離されずについていき、第1ゲームが16-18、第2ゲームは13-16から追い上げ逆転に成功して、最初に勝利した18年香港オープン決勝以来となるストレート勝ち。2年連続3度目の全英制覇を果たした

XD final ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

渡辺は試合後、「(3度目の優勝は)素直にうれしい。まだまだ強くなれると思うので引き続きがんばる」とコメント。東野は、ワン・イーリュのスマッシュにも機能したディフェンスの強さについて、「勇大のロブが良く、自分がスマッシュをとりやすい配球をしてくれたので、すごくやりやすかった」と説明した

一方、敗れたワン・イーリュ/ホワン・ドンピンは、この日の渡辺・東野がとても強かったと率直に認めた。また、自分たちの方が攻撃する場面は多かったかもしれないが、実際は相手のディフェンスが良く、試合全体を通じて優位に立てることは少なかった、と述べた。その上で、今回の敗戦を見直し次の試合に向けて改善していく姿勢を示した。また、五輪で金メダルを取ってより多くの人に知られるようになり、プレッシャーが増えた。これをモチベーションに変えていけるようにしたい、と話した

この種目での全英連覇は、◆パク・ジュボン/チュン・ミョンヒ(1989~91年)◆ツェン・ボー/ガオ・リン(2007~08年)◆タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(12~14年)――ら、バドミントン関係者なら誰もが知る、歴代の名実ともに世界トップと評されるペアに続くもの

全種目を通じた日本勢で見ると、◆女子ダブルス:栂野尾(旧姓:竹中)悦子・相沢マチ子(1972~73年)◆女子シングルス:湯木博恵(74~75年)◆男子ダブルス:遠藤大由・渡辺勇大(20~21年)――に並んだ

女子2種目では、山口茜志田千陽・松山奈未が勝ち、そろって全英オープン初優勝を飾った

前日、「自分の中ではタフな試合になるという予想」と話していた、アン・セヨンとの一戦に臨んだ山口だが、出だしこそもみ合うがほどなくペースをつかむと、21-15でオープニングゲームを先取する。続く第2ゲーム、入りでもたつくことが少し懸念されたが、離されずに8-9までいき、そこから大きく突き放すと、その後は韓国の20歳のエースの追い上げに遭っても追いつかれることなく、第1ゲームと同じ21-15で振り切った

山口は試合後、BadPaL に対し、「準決勝と決勝は良いプレーができた」と答えた。初めて全英のタイトルを手にして感じる特別感はあるか尋ねると、「(タイトルを)獲ってみてというより、以前から他の大会に比べても伝統だったり格式という点で特別なものはある感じがしていた」と説明。その上で「欲しいタイトルの1つだったので、優勝できてよかった」と喜びを表した

また、良いショットに対して反応が返ってくる観客の存在がモチベーションを高める影響について聞くと、「自分にとっては、やはり重要な部分なのかなと感じている。結果だけを見ても(そのことは)肯定せざるを得ない」とした

女子シングルスでは、先に結果を残した奥原希望(2016年、21年)に続く形で全英の頂点を取った山口。この優勝で、年間3つ(全英オープン、インドネシアオープン、中国オープン)しかない最上位に位置付けられる大会(SUPER1000※前スーパーシリーズプレミア含む)をすべて制覇したことになる

WS final ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

3度目の全英挑戦で初めて最終日のコートに立った志田・松山は、組み替えのため世界ランクは下位ながら、今大会の勝ち上がりなどから中国ペアの実力を認め、「初めて対戦する相手でやってみなければ分からないところはあったが、ビデオを見たり色々対策は練ってきた」(志田)と、警戒感をもって決勝に臨んだ

ただふたを開けてみると、2人が躍進を遂げた昨年末のインドネシア・バリ島3連戦で見せたような向かっていくプレーで主導権を握り、そのまま反撃の機会を与えず快勝。21年11月のインドネシアオープンに次ぐ「SUPER1000」2連勝を果たした

同時に日本の女子ダブルス全英覇者として、◆髙橋礼華・松友美佐紀(2016年)◆福島由紀・廣田彩花(20年)◆永原和可那・松本麻佑(21年)――に並んだ

松山は試合後、「この大会に入り最初の1、2回戦は一番ダメなパフォーマンスをしていて、すごく不安はあった」と明かした。ただ、「やっていくうちに1回も勝っていない相手(キム・ソヨン/コン・ヒヨン)に勝てたり、自分自身の成長を感じる部分が幾つかあった」と、結果につながった手ごたえを口にした

志田は、「1つ大きいタイトルを獲れたというのはあるが、目指しているのはまだまだ上。ここで満足せず、この結果を弾みにしてがんばりたい」と述べ、さらに先へ視線を向けた

WD winner ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

結果として日本勢は今年、混合ダブルス、女子シングルス、女子ダブルスを制し、2020年の2種目(男子ダブルス、女子ダブルス)、21年の4種目(女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルス)に次ぐ、3年連続の複数タイトル獲得に成功した

日本勢不在の決勝2種目のうち、男子シングルスは、今大会、全種目を通じて唯一勝ち残った第1シード、ビクター・アクセルセンが、前週ドイツオープン準決勝で初めて負けを喫したラクシャ・センと再戦。安定した強さを見せ、連敗することなく、2020年に次ぐ2度目の全英タイトルを手にした

MS final ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

敗れたラクシャ・センは、インド勢として、現在ヘッドコーチを務める2001年プレラ・ゴピチャン以来21年ぶりとなる優勝を逃した。それでも、◆21年12月世界選手権(銅メダル)◆22年1月インドオープン(SUPER500、優勝)◆同年3月ドイツオープン(SUPER300、準優勝)――に続いて表彰台を確保。さらに、前週はアンソニー・シニスカ・ギンティン(世界5位)とビクター・アクセルセン(同1位)、今週はアナース・アントンセン(3位)とリー・ヅージア(7位)を破り、世界ランク上位陣を「倒せる」力を証明している。今回の結果でトップ10に食い込み、そこからさらに脅威の存在となっていく

MD final ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

インドネシアの同国対決となった男子ダブルス決勝は、バガス・マウラナ/ムハンマド・ショヒブル・フィクリが過去2度の優勝実績を持つヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサンにストレート勝ち。終わってみれば2回戦以降、第8シード、第3シード、第1シード、第2シードを連破する活躍で、初出場初優勝の快挙を遂げた

この種目のタイトルは2017~19年、インドネシア勢が保持していたが、20年と21年、遠藤大由・渡辺勇大により日本に渡っていた。マウラナ/フィクリは準々決勝で直接、新たに日本のエースペアとなった小林優吾・保木卓朗を破るなどして、これを奪い返した

世界ランク28位でインドネシア5番手につける2人は、23歳のマウラナがジャルム、22歳のフィクリがSGSと、所属クラブが異なる。これまでに国際大会で優勝したのは、2019年フィンランドオープン(インターナショナルチャレンジ)、同年ハイデラバードオープン(SUPER100)と、下位大会だけだった。しかし今回、一気にステップアップ。「SUPER1000」を制した

決勝(20日)の結果

【男子シングルス】ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)<21-10,21-15>ラクシャ・セン(インド)

Viktor and Lakshya ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

【女子シングルス】山口茜(第2シード)<21-15,21-15>アン・セヨン(韓国、第4シード)

Akane ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

【男子ダブルス】ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)<19-21,13-21>バガス・マウラナ/ムハンマド・ショヒブル・フィクリ(インドネシア)

MAULANA / FIKRI and SETIAWAN / AHSAN ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

【女子ダブルス】志田千陽・松山奈未(第7シード)<21-13,21-9>ツェン・ユー/ツァン・シュシエン(中国)

Chiharu / Nami ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

【混合ダブルス】ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第3シード)<19-21,19-21>渡辺勇大・東野有紗(第4シード)

Yuta / Arisa and DongPing / YiLyu ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto

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