
全英オープン(SUPER1000)準々決勝、期待の日本シングルス陣でベスト4に残ったのは奥原希望のみ。1年以上国際大会から離れていた桃田賢斗、山口茜、常山幹太はここで敗退となった
奥原はタイ3番手、ブサナン・ウンバンルンパンとの対戦に臨んだ。長い試合になることが多いカードで、この日もファイナルゲームに突入し、中盤16-16までもつれる。それでも、ここから一気に抜け出し勝利。まずは昨年の結果(ベスト4)に並んだ

桃田は過去6戦負けなし、1ゲームも落としたことがなかったリー・ヅージアにストレート負け。2019年フレンチオープン(SUPER750)以来の黒星を記録して、今年の全英を終えた
ただ桃田自身、リー・チョンウェイの後継者になることが期待されるヅージアの実力、とりわけ攻撃力は以前より認めていた。前回対戦した2020年1月マレーシアマスターズ(SUPER500)の会場でも公言。その上で、「攻撃で奪う1点も、ミスで失う1点も同じ」と指摘し、簡単なミスがまだ多いことを、間接的にアドバイスしていた
桃田がこの日の試合後、「今日の相手は非常にミスが少なかった」と述べたのは、これまでの見立て(=簡単なミスが減れば難しい相手)を裏付ける形にもなっている

山口は、2019年以降3連勝中のプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥからオープニングゲームを幸先よく奪う。しかし第2ゲームを取り返されると、ファイナルゲームも中盤11-15とリードを許し、19-19まで詰めたが勝ちには届かず。ベスト8どまりだった
常山は、前日の第7シードに続き、この日は第3シードのアナース・アントンセンに挑んだ。第1ゲームを16-17から突き放され落としたことで、相手にその後のエネルギー配分を許す格好となり、第2ゲームは奪うもファイナルで敗れた。通算対戦成績も5戦5敗に


一方、桃田と山口を止めたヅージアとシンドゥは、ワールドツアー再開後、2021年これまで、周囲が期待する結果を残せていない
ヅージアは1月のタイ3大会で、◆ベスト8◆1回戦負け◆一次リーグ敗退(ワールドツアーファイナル)――と振るわず。3月のスイスオープン(SUPER300)でも第2シードで決勝進出を期待されながらベスト4どまりに終わり、マレーシア国内で批判にさらされてきた。そのため、今回の勝利に、世界ランク1位に初めて勝てたことも含め、「自分にとって特別な瞬間」と率直にうれしさを表現している
シンドゥは、2019年世界選手権・バーゼル大会優勝以来、ベスト4に進めない状況が長く続いた。ようやく今月初めのスイスオープンで最終日まで残ったが、カロリナ・マリンを相手にした決勝でのパフォーマンスは、優勝を狙うには程遠いものだった
マレーシアとインドのエース2人にとって、自他ともに認めるいいパフォーマンスを発揮し、それぞれ桃田、山口を破ったことは、再浮上するための起爆剤となり得る

日本のダブルス陣はこの日、負けなし、男子2ペア、女子3ペア、混合2ペアの計7ペアが揃って準決勝に勝ち進んだ
男子では、ディフェンディングチャンピオンの遠藤大由・渡辺勇大のほか、園田啓悟・嘉村健士が、全英オープンでは2019年に次ぐ2度目のベスト4入り。準決勝に勝ってもう一段上を目指す

女子は、準決勝4枠のうち3枠を日本勢が占め、少なくとも準決勝で対戦する永原和可那・松本麻佑と志田千陽・松山奈未のいずれかは、決勝へ進む
混合は、史上初となる日本勢同士の決勝実現なるか、に注目が集まる
準々決勝の結果
【男子シングルス】
(第1シード)<16-21,19-21>リー・ヅージア桃田賢斗(マレーシア、第6シード)
(インド)<17-21,21-16,17-21>マーク・カーリヨウ(オランダ)ラクシャ・セン
アナース・アントンセン(デンマーク、第3シード)<21-16,9-21,21-11>常山幹太
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第2シード)<21-4,21-15>(タイ)シッティコム・タマシン
【女子シングルス】
ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第6シード)<21-16,21-19>(USA)ツァン・ベイウェン
(第3シード)<21-16,16-21,19-21>プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード)山口茜
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)<18-21,21-17,21-10>(デンマーク、第7シード)ミア・ブリクフェルト
奥原希望(第2シード)<18-21,21-8,21-16>(タイ、第8シード)ブサナン・ウンバンルンパン
【男子ダブルス】
アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク)<21-10,21-14>(フランス)トマ・ジュニオール・ポポフ/クリスト・ポポフ
園田啓悟・嘉村健士(第3シード)<21-19,9-21,21-8>(イングランド、第8シード)クリス・ラングリッジ/マーカス・エリス
遠藤大由・渡辺勇大(第4シード)<24-22,21-19>(デンマーク)ニクラス・ノール/マシアス・クリスチャンセン
(タイ)<19-21,12-21>ラッセ・ムルヘード/イエペ・ベイ(デンマーク)ニピトポン・プアンプアぺト/タヌバト・ウィリヤンクラ
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(第1シード)<14-21,21-12,21-14>(イングランド、第7シード)ローレン・スミス/クロエ・バーチ
セリーナ・ピーク/シェリル・セイネン(オランダ)<24-22,21-12>(インド)アシュウィニ・ポンナッパ/ネラクリヒ・シキ・レディ
志田千陽・松山奈未(第5シード)<21-12,20-22,21-16>(マレーシア)ティナー・ムラリタラン/パーリー・タン
永原和可那・松本麻佑 (第2シード)<21-14,19-21,21-15>(デンマーク、第8シード)サラ・チューセン/マイケン・フォーゴール
【混合ダブルス】
金子祐樹・松友美佐紀<21-15,21-10>(デンマーク)ニクラス・ノール/アマリー・メイルンド
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第3シード)<17-21,21-18,22-20>(フランス、第7シード)トム・ジケル/デルフィーヌ・ドルリュー
マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第4シード)<22-20,21-19>(デンマーク)ミッケル・ミッケルセン/リッケ・スビー
渡辺勇大・東野有紗 (第2シード)<21-17,21-9>(マレーシア、第6シード)タン・キアンメン/ライ・ペイジン
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
リー・ヅージア(マレーシア、第6シード)対マーク・カーリヨウ(オランダ)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第2シード)対アナース・アントンセン(デンマーク、第3シード)
【女子シングルス】
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード)対ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第6シード)
奥原希望(第2シード)対ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(第3シード)対アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク)
遠藤大由・渡辺勇大(第4シード)対ラッセ・ムルヘード/イエペ・ベイ(デンマーク)
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(第1シード)対セリーナ・ピーク/シェリル・セイネン(オランダ)
永原和可那・松本麻佑 (第2シード)対志田千陽・松山奈未(第5シード)
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第3シード)対金子祐樹・松友美佐紀
渡辺勇大・東野有紗 (第2シード)対マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第4シード)