台湾オープン準々決勝、男子シングルスの渡邉航貴が一度も勝っていなかったジュニア時代のライバルを打ち破り、「SUPER300」では自身初となるベスト4に入った。一方、ここまで順当に勝ち上がった女子ダブルスの3ペアは、いずれも「SUPER500」以上の大会を主戦場とするトップペアに敗れ全滅。厳しい現実を突き付けられた
前日に続いて、渡邉がジュニア時代のライバルをまたひとり越えた。この日の相手は、2015年世界ジュニア選手権準決勝でぶつかり、ストレートで敗れ、決勝進出を阻まれた同年の世界ジュニアチャンピオン、ルー・チアフン。4年を経ての再戦で、互いの現在の立ち位置を確認し合う機会として注目された
「2度(世界ジュニアの団体戦と個人戦)負けている相手なので」と、渡邉は未だ勝てていないルー・チアフンに対する意識を強く持って試合に入った。ただ、第1ゲームで何度かシャトルを打ち合ってみて、今は自分の方が上、と感じ、「負けたらこれまで何してたんだ」という気持ちだったという
その言葉通り、第1ゲームは一度も主導権を譲ることなく21-13と快勝。第2ゲームでは後半逆転され、15-19まで点差を開かれたが、この場面でも、フィナルゲーム勝負に切り替えるのではなく、むしろファイナルにいけば勝てるという気持ちに余裕があったことから、集中力を切らさずプレーを続け、6連続得点でストレート勝ちを収めた
渡邉は試合直後、BadPaL に対し、「SUPER300」レベルの大会で初めて準決勝に進んだことに、高ぶりを感じると認め、「優勝したい」と率直な気持ちを述べた。次戦の相手は過去1勝1敗ながら、直近の大阪インターナショナルチャンレジ(4月)で勝っている韓国ホ・クワンヒ
女子ダブルスは、準々決勝8枠のうち3つを日本ペアが占めたが、櫻本絢子・髙畑祐紀子は第1シード(世界5位)、インドネシアのグレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユに3連敗。星千智・松田蒼は、世界で今、最も勢いのあるペアのひとつ、第3シード(世界9位)の韓国キム・ソヨン/コン・ヒヨンに初挑戦も及ばず、ともにストレート負けに終わった
B代表筆頭の志田千陽・松山奈未は、7月のジャパンオープン(SUPER750)で初めて対戦し勝っていた第4シード(世界11位)、タイのラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクンからオープニングゲームを奪ってみせた。しかし、第2ゲーム後半以降は一度も主導権を握れぬまま逆転負け。この結果、いずれも「SUPER500」以上の上位大会を主戦場とする世界のトップペアに敗れる形で、日本勢はすべていなくなった
一方、この種目の準々決勝もうひと試合では、第2シード(世界6位)の韓国シン・スンチャン/イ・ソヒを、7月から組み始めてこれが国際大会4戦目となるインドネシアの10代ペア、リブカ・スギアルト(19)/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(18)が破り、トップ4シードの一角を崩した
日本から準々決勝に臨んだもうひとペア、男子ダブルスの古賀輝・齋藤太一は、3月仏オルレアンマスターズ(SUPER100)の決勝で敗れた台湾期待の第2シード、リー・ヤン/ワン・チリンと2度目の対戦。第1ゲームを17-21で落とした後、第2ゲームは後半、10-15の劣勢から盛り返し逆転。20-19から数えて4度、ゲームポイントを握ったが決め切れず23-25。ベスト8で今大会を終えた
男子ダブルスではベテラン2ペアに明暗。デンマークのマシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセンは、今大会第1シード、インドネシアのムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアンにファイナルゲーム21-17で競り勝った。これに対し、韓国イ・ヨンデ/キム・ギジョンは第4シード、マレーシアのゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョンにストレート負けした
ただ韓国は、前月の世界選手権で世界1位、インドネシアのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョを破る金星を挙げたチェ・ソルギュ/ソ・スンジェが、第3シードのマレーシア、アーロン・チア/ソー・ウーイイクに勝ち、準決勝の1枠を確保した
若手台頭の女子ダブルスでは、韓国の17歳アン・セヨンがこの日も勝って準決勝に進んだが、タイの18歳ピッタヤポーン・チャイワンとインドネシアの20歳グレゴリア・マリスカ・トゥンジュンはここで敗れ、ベスト4入りを逃した。対照的にベテラン2人、韓国ソン・ジヒョンとカナダのミッシェル・リがしっかり勝ち上がり、存在感を放ちはじめている
混合ダブルスは波乱なく、第1~4シードが揃って準決勝に進んだ
準々決勝の結果
【男子シングルス】
チョウ・ティエンチェン(台湾、第1シード)<21-11,15-21,21-17>(マレーシア※予選勝ち上がり)チーム・ジュンウェイ
シェサル・ヒレン・ルスタビト(インドネシア)<26-24,18-21,21-11>(タイ)タノンサク・センソンブーンスク
ホ・クワンヒ(韓国)<21-17,21-14>(フランス)トマ・ルクセル
(台湾)<13-21,19-21>渡邉航貴(※予選繰り上がり)ルー・チアフン
【女子シングルス】
(タイ、第7シード)<18-21,19-21>アン・セヨン(韓国)ニチャオン・ジンダポン
ソン・ジヒョン(韓国、第4シード)<7-21,21-13,21-19>(インドネシア、第5シード)グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン
(インドネシア)<13-21,19-21>スパニダ・カテトン(タイ※予選勝ち上がり)フィトリアニ
ミッシェル・リ(カナダ、第2シード)<21-12,21-13>(タイ)ピッタヤポーン・チャイワン
【男子ダブルス】
(インドネシア、第1シード)<16-21,21-19,17-21>マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン(デンマーク)ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第4シード)<21-18,21-19>(韓国)イ・ヨンデ/キム・ギジョン
(マレーシア、第3シード)<18-21,14-21>チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)アーロン・チア/ソー・ウーイイク
リー・ヤン/ワン・チリン(台湾、第2シード)<21-17,25-23>古賀輝・齋藤太一
【女子ダブルス】
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第1シード)<21-14,21-16>(第8シード)櫻本絢子・髙畑祐紀子
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第4シード)<15-21,21-17,21-15>(第5シード)志田千陽・松山奈未
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)<21-16,21-16>星千智・松田蒼
(韓国、第2シード)<19-21,21-13,17-21>リブカ・スギアルト/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア※予選繰り上がり)シン・スンチャン/イ・ソヒ
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第1シード)<16-21,21-14,21-14>(インドネシア、第6シード)リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メンタリ
タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第4シード)<21-13,17-21,21-10>(インドネシア、第7シード)タントゥイ・アーマド/ウィニー・オクタビナ・カンドウ
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア、第3シード)<21-14,21-14>(タイ、第5シード)ニピトポン・プアンプアぺト/サビトリー・アミトラパイ
ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第2シード)<21-15,21-12>(台湾)リー・ジェフエイ/シュー・ヤチン
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準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
チョウ・ティエンチェン(台湾、第1シード)対シェサル・ヒレン・ルスタビト(インドネシア)
ホ・クワンヒ(韓国)対渡邉航貴(※予選繰り上がり)
【女子シングルス】
ソン・ジヒョン(韓国、第4シード)対アン・セヨン(韓国)
ミッシェル・リ(カナダ、第2シード)対スパニダ・カテトン(タイ※予選勝ち上がり)
【男子ダブルス】
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第4シード)対マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン(デンマーク)
リー・ヤン/ワン・チリン(台湾、第2シード)対チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)
【女子ダブルス】
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第1シード)対ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第4シード)
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)対リブカ・スギアルト/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア※予選繰り上がり)
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第1シード)対タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第4シード)
ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第2シード)対ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア、第3シード)