台湾オープン(SUPER300)は3日、台北アリーナで始まり、5日までに各種目のベスト8が出揃った。日本選手は、シングルス1人、ダブルス4ペアの合わせて9人が勝ち残っている
日本のシングルス陣で唯一、ベスト8に残ったのは、渡邉航貴。予選繰り上がりながら、初戦で予選勝ち上がりの地元台湾選手を退けると、2回戦では、シンガポールのロー・キーンユーと対戦。今シーズンのワールドツアー開幕戦、タイマスターズ(SUPER300)において決勝で中国リン・ダンを破り優勝し、前月の世界選手権でもシード選手から勝利を挙げてベスト16入りするなど、躍進著しい注目の選手だ
渡邉は第1ゲームを22-20で競り勝つが、第2ゲームに入ると疲れも出て、ネット際を制して主導権を握った相手に連続得点を何度も決められ、いいようにやられてしまう。迎えたファイナルゲーム、競り合いのまま渡邉2点ビハインドで前半を終える。ただ後半に入ると、ようやく試合をコントロールしはじめ、逆にプレッシャーからか相手にミスが出始める。17-16とリードしたところで、シャトル交換で間を取り、次の1点を奪って均衡を破ると、そのまま連続得点を決め勝利をつかんだ
渡邉は試合後、BadPaL の取材に応じ、ロー・キーンユーとは2015年世界ジュニア選手権以来の対戦だったが、ストレート勝ちした当時のイメージは捨て、活躍を見せている現在の力を率直に認め、十分研究して2度目の対戦に臨んだと話した。試合では、第1ゲームでスピードを上げていった影響から第2ゲーム、足を踏み込めなかった部分があり、「今の自分の弱さ」と認めた。それでもファイナルゲームは、足を動かして相手にミスさせようと切り替えられたことを勝因に挙げた
準々決勝に向けては、好調のロー・キーンユーに勝ち切れたことを自信にして、「挑戦者のつもりで入るが、それでも勝ちにいく」と意欲を示した
男子ダブルスでは、世界ランクでA代表の4ペアに次ぐ日本5番手につける古賀輝・齋藤太一が、1回戦で同じB代表の小野寺雅之・岡村洋輝にファイナルゲーム21-19で競り勝ち、2回戦では台湾の双子ペアをストレートで降して、準々決勝に駒を進めた
古賀・齋藤に BadPaL が、国際大会でのタイトル獲得への意欲を問うと、「昨年9月の南オーストラリアインターナショナルチャレンジの優勝しかなく、3月仏オルレアンマスターズと8月秋田マスターズ(ともにSUPER100)で準優勝。タイトルはもちろん取りたいが、まずはひとつひとつ」と答えた。当面、目指すところとしては、現在37位にとどまっている世界ランキングを上げていくこと。そして、上にいる日本の4ペアとの違いとも認識する、「ペアとしてのひとつの形(強み)をつくっていければ」と述べた
一方、古賀・齋藤とともに初戦を突破した久保田友之祐・金子真大は2回戦、韓国チェ・ソルギュ/ソ・スンジェに迫るもわずかに届かず、ベスト8に届かず敗退となった。2017年世界ジュニアチャンピオンの2人は、この2年で成長は実感できているが、まだ外国選手に力で劣る部分がある、と認め、同世代の活躍を横目にしながら、「土台をつくっている」段階であると話している
女子は、出場したダブルス3ペア、志田千陽・松山奈未、櫻本絢子・髙畑祐紀子、星千智・松田蒼が揃って準々決勝に進んだ
このうち、いきなり優勝で「デビュー」した3月のポーランドインターナショナルチャレンジから数えて国際大会4戦目。ペア結成から半年足らずの星・松田は BadPaL に対し、活躍も期待されながら初戦敗退に終わった前月の秋田マスターズがあったから「今大会、気持ちの準備ができた」と、前向きに転じられたことを明かした
世界選手権・バーゼル大会を見て、日本女子ダブルスのレベルの高さを再認識するとともに、「同級生に負けられないという気持ち」を新たにしたという2人。焦りは感じないか、問うと、「感じないわけではないが、焦ってもいいことはない」と指摘。自分たちの進むスピードは、既に先を行くライバルに比べると遅いが、東京の次、パリ五輪へと向かっていく姿勢を確認した
女子ダブルスはいずれも次の準々決勝が最初の山場。◆志田・松山は第4シード、タイのラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン◆星・松田は第3シードの韓国キム・ソヨン/コン・ヒヨン◆櫻本・髙畑は第1シード、インドネシアのグレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ――とそれぞれ対戦する
女子シングルスの川上紗恵奈と峰歩美は、それぞれケガと体調不良から出場にこぎつけ、ともに1回戦を勝った。しかし2回戦では、川上が第2シードのミッシェル・リ(カナダ)、峰が第4シードのソン・ジヒョン(韓国)に敗れ、上位進出は果たせなかった
この種目、日本選手以外では、アジア期待の次世代のうち、韓国の17歳アン・セヨン、タイの18歳ピッタヤポーン・チャイワン、インドネシアの20歳グレゴリア・マリスカ・トゥンジュンがベスト8に入っている
一方、前月世界選手権で世界1位の山口茜を破るなどしてベスト8まで残ったシンガポールの20歳ヨー・ジアミンは、カナダのミッシェル・リに敗れ、初戦で姿を消した
今大会に出場しているベテラン勢では、デンマークのマシアス・ボー(39)/マッズ・コンラド・ペターセン(31)、韓国イ・ヨンデ(30)/キム・ギジョン(29)らが準々決勝に進んだ。男子ダブルス(パートナー:シン・ベクチョル)と混合ダブルス(パートナー:オム・ヘウォン)の2種目に出場予定だった韓国コ・ソンヒョン(32)は、混合ダブルス1回戦に勝利した後、足に痛みを覚え、この後に控える上位大会チャイナオープン(SUPER1000)をにらみ、大事をとって棄権した
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】
ソウラブ・ヴェルマ(インド)<22-20,21-13>坂井一将
渡邉航貴(※予選繰り上がり)<21-8,21-14>(台湾※予選勝ち上がり)ヤン・チーチエ
ダレン・リュー(マレーシア)<21-18,21-18>(※予選繰り上がり)五十嵐優
【女子シングルス】
川上紗恵奈<21-16,21-15>(台湾※予選繰り上がり)スン・シュオユン
峰歩美<21-14,21-14>(インドネシア)ユリア・ヨセフィン・スサント
【男子ダブルス】
古賀輝・齋藤太一<21-23,21-15,21-19>小野寺雅之・岡村洋輝
(韓国)<16-21,21-23>久保田友之祐・金子真大キム・ジェファン/カン・ミンヒョク
【女子ダブルス】
志田千陽・松山奈未(第5シード)<21-18,21-15>(オーストラリア)グローニャ・サマービル/セトヤナ・マパサ
櫻本絢子・髙畑祐紀子(第8シード)<21-6,21-14>(インドネシア)ピア・ゼバディア・ベルナデト/アンガ・シッタ・アワンダ
(香港)<9-21,12-21>星千智・松田蒼ユン・ガティン/ウン・ウィンユン
【混合ダブルス】エントリーなし
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日本選手2回戦の結果
【男子シングルス】
(シンガポール)<20-22,21-17,16-21>渡邉航貴(※予選繰り上がり)ロー・キーンユー
【女子シングルス】
ミッシェル・リ(カナダ、第2シード)<21-9,21-18>川上紗恵奈
ソン・ジヒョン(韓国、第4シード)<19-21,21-11,21-15>峰歩美
【男子ダブルス】
古賀輝・齋藤太一<21-15,21-14>(台湾)リー・ファンジェン/リー・ファンチー
チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)<22-20,23-21>久保田友之祐・金子真大
【女子ダブルス】
志田千陽・松山奈未(第5シード)<21-12,21-12>(台湾)クオ・ユーウェン/リン・ワンチン
櫻本絢子・髙畑祐紀子(第8シード)<21-15,21-11>(台湾)テン・チュンシュン/リ・ヅーチン
星千智・松田蒼<21-8,21-7>(台湾※予選繰り上がり)チェン・ユーペイ/ジュアン・ツレン
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準々決勝の対戦カード
【男子シングルス】
チョウ・ティエンチェン(台湾、第1シード)対チーム・ジュンウェイ(マレーシア※予選勝ち上がり)
シェサル・ヒレン・ルスタビト(インドネシア)対タノンサク・センソンブーンスク(タイ)
ホ・クワンヒ(韓国)対トマ・ルクセル(フランス)
ルー・チアフン(台湾)対渡邉航貴(※予選繰り上がり)
【女子シングルス】
ニチャオン・ジンダポン(タイ、第7シード)対アン・セヨン(韓国)
ソン・ジヒョン(韓国、第4シード)対グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア、第5シード)
フィトリアニ(インドネシア)対スパニダ・カテトン(タイ※予選勝ち上がり)
ミッシェル・リ(カナダ、第2シード)対ピッタヤポーン・チャイワン(タイ)
【男子ダブルス】
ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第1シード)対マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン(デンマーク)
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第4シード)対イ・ヨンデ/キム・ギジョン(韓国)
アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第3シード)対チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)
リー・ヤン/ワン・チリン(台湾、第2シード)対古賀輝・齋藤太一
【女子ダブルス】
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第1シード)対櫻本絢子・髙畑祐紀子(第8シード)
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第4シード)対志田千陽・松山奈未(第5シード)
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)対星千智・松田蒼
シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第2シード)対リブカ・スギアルト/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア※予選繰り上がり)
【混合ダブルス】
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第1シード)対リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メンタリ(インドネシア、第6シード)
タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第4シード)対タントゥイ・アーマド/ウィニー・オクタビナ・カンドウ(インドネシア、第7シード)
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア、第3シード)対ニピトポン・プアンプアぺト/サビトリー・アミトラパイ(タイ、第5シード)
ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第2シード)対リー・ジェフエイ/シュー・ヤチン(台湾)