世界選手権は19日、スイス・バーゼルで開幕。初日は番狂わせなく、主力が順当に勝ち上がった。一方、10年前後出場を続けてきたベテランの中には、この日で一線を退く選手もいる

これまで10年超、男子シングルスのエースとしてイングランドをけん引してきた今月末で33歳になるラジフ・ウーセフは、数カ月前より、今年の世界選手権を最後に国際舞台から引退する決意を表明していた
初戦の相手は、ひとまわり歳の離れた第4シード、21歳ジョナタン・クリスティ。ベテランらしい堅実でクレバーなプレーを見せ、第2ゲームは19-20まで迫ったものの、上り調子にあるインドネシアのエースには力及ばず、ストレート負け(15-21,19-21)。コートを去った
ただ、試合後には、主要国に比べ競技環境が十分でない中、残してきた自分の足跡に満足しているとし、これまでの応援、サポートに対する謝意を述べた。その上で、現在イングランド2番手につける27歳トビー・ペンティの、東京五輪を含む今後の活躍を期待し、エールを送った
家族の影響で9歳からバドミントンを始めたとされるロンドン生まれのウーセフは、ジュニア時代から頭角を現し、2005年ヨーロッパジュニア選手権男子シングルスで優勝。シニアに上がってからは、国内選手権で前人未到の7連覇を含む9度(08~14、16、19年)の優勝を遂げるなど、今も名実ともにイングランドで頂点に立つ
国際舞台では、10年英連邦競技大会「コモンウェルスゲームズ」で、マレーシアのリー・チョンウェイに次ぐ銀メダルを獲得。イギリス代表として臨む五輪は、12年ロンドンに続いて2度目の出場を果たした16年リオデジャネイロで、佐々木翔を降して一次リーグを突破。決勝トーナメントでも1回戦で第7シードのトミー・スギアルトを破る活躍を見せ、準々決勝でビクター・アクセルセンの前に屈したものの、ベスト8に入った
翌17年には、ヨーロッパ選手権を初制覇。世界選手権は今年で09年から9回連続(五輪イヤーの12、16年はなし)の出場だった
歴代の日本選手との戦績を見ると、佐藤翔治と桃田賢斗からは勝ち星を挙げられなかったものの、佐々木翔、田児賢一、上田拓馬、常山幹太らには通算で勝ち越している
ベトナムの36歳グエン・ティエンミンも、初めて出場した2005年から通算11度目の世界選手権を、初戦で終えた。相手は12度目の出場となる中国の35歳リン・ダン。世界選手権では、13年広州大会準決勝以来の顔合わせだった。試合は後半失速して敗れた(21-16,12-21,12-21)が、積極果敢に挑みオープニングゲームを奪ってみせ、過去5度の優勝を誇るリン・ダンは試合後、この大会を前に引退したリー・チョンウェイと同じ、数少ない「年上」のライバルに、称賛の言葉を送っている
なお、グエン・ティエンミンは、この日初戦を突破した妻であるヴ・ティチャンとともに引き続き国際大会を転戦する意向もあり、引退を口にはしていない
また、初戦の相手、フランスのブリス・レベルデス棄権により労せず2回戦に進んだデンマークの31歳ヤン・ヨルゲンセンは、前月のジャパンオープン開催時、BadPaL に対し、これが自身にとっておそらく最後の世界選手権になるとコメント。現在、世界ランク20位でデンマーク3番手につけるが、来年の東京五輪も、「(デンマークからは)ビクター・アクセルセン(25)、アナース・アントンセン(22)の2人が出るべき」と穏やかな表情で話していた。そのため、世界最高峰の舞台では最後となるであろうその雄姿から、2回戦以降目が離せない
日本選手1日目の結果
【男子シングルス★1回戦】
桃田賢斗(第1シード)<21-9,21-10>(ベトナム)ファム・カオクオン
西本拳太(第8シード)<21-11,21-14>(フィンランド)カレ・コリョネン
常山幹太(第13シード)<21-19,21-5>(スペイン)パブロ・アビアン
【女子シングルス★1回戦】
高橋沙也加<21-10,21-13>(スコットランド)カースティ・ギルモア
大堀彩<21-11,21-9>(香港)チュン・ガンイ
【混合ダブルス★1回戦】
保木卓朗・永原和可那<21-13,21-17>(スコットランド)アダム・ホール/ジュリー・マクファーソン
<18-21,11-21>ワン・チリン/チェン・チヤ(台湾)権藤公平・栗原文音
日本選手2日目の対戦カード
【男子ダブルス★1回戦】
金子祐樹・井上拓斗対サンヤム・シュクラ/アルン・ジョージ(インド)
【混合ダブルス★1回戦】
金子祐樹・松友美佐紀対バハエディーン・アーマド・アルシャニク/ドモウ・アムロ(ヨルダン)
---ここから2回戦---
【男子シングルス★2回戦】
桃田賢斗(第1シード)対ルイス・エンリケ・ペニャルベル(スペイン)
西本拳太(第8シード)対ワン・ツーウェイ(台湾)
【女子シングルス★2回戦】
山口茜(第1シード)対ヨー・ジアミン(シンガポール)
奥原希望(第3シード)対エフゲ二ヤ・コセツカヤ(ロシア)
ハン・ユエ(中国、第13シード)対高橋沙也加
ホー・ビンジャオ(中国、第6シード)対大堀彩
【混合ダブルス★2回戦】
渡辺勇大・東野有紗(第3シード)対リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メンタリ(インドネシア)
ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア、第12シード)対保木卓朗・永原和可那