マレーシアオープン(SUPER750)準々決勝、日本勢は女子シングルスを除く4種目で準決勝に勝ち上がった。中でも、渡辺勇大は、出場全選手の中で唯一、2種目でベスト4入りを果たした
東野有紗と組む混合ダブルスでは、世界ランク2位、今大会第3シードのタン・チュンマン/ツェ・インシュー組(香港)から第1ゲームを先取する。しかし続く第2ゲーム、中盤以降抜け出され試合はふりだしに。嫌な雰囲気が漂うが、ファイナルゲームに入ると再びしっかり競り合い、後半振り切り勝利した
渡辺・東野組は試合後、BadPaL の取材に応じ、第2ゲームを奪い返された後、崩れなかったことを勝因に挙げた。「相手は強い」と率直に認めた上で、「前回、全英オープンで対戦した時は奇跡的な勝利(※)だった。今回は自分たちの実力でしっかり勝つ」という思いがあったことを明かした(※第1ゲームを落とし、第2ゲームも9-17と絶望的な劣勢に。そこから逆転勝ち)
世界上位をたびたび倒し、自信を持って試合に臨めるようなってきているか、問うと、「自信は元々ある。結果がついてきているということ」(渡辺)と自らの言葉で返した。準決勝に向けては、「間違いなく自分たちより強い相手。プレッシャーなく戦える」と述べた
遠藤大由と組む男子ダブルスは、過去1度対戦し競り負けていたデンマークのアナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン組が相手だったが、第1、第2ゲームともに後半差をつけ、ストレート勝ちした
男子ダブルスではもう1ペア、園田啓悟・嘉村健士組が、観客の大きな声援を受けてコートに立った開催国マレーシア期待のゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン組に快勝。4強の一角を確保した
嘉村選手は試合後、シンプルにやっているのか、との BadPaL の問いにうなずき、落ち着いてできているため、追い上げられた第2ゲームも「取られてもファイナルゲームで」と、焦りなく冷静にプレーできていた、と述べた。園田選手も、「かみ合っている。コンビネーションがギクシャクすることもない」と強調。全日本実業団の時から実践しはじめている2人の新たなスタイルに、手応えを感じている様子を見せた
日本男子は、シングルスでも桃田賢斗が準決勝に進んだ。◆3月ドイツオープン(=負け)◆4月アジア選手権(=勝ち)◆5月トマス杯一次リーグ(=勝ち)――に続き、今シーズン4度目の対戦となる台湾チョウ・ティエンチェンに、第1ゲームは20-19まで迫られる。しかしこれを取ると、第2ゲームは失点を11に抑え、圧倒した
桃田選手は、「シャトルが飛ばず、プレースタイル的に自分の方に分があった」と試合を振り返った。同時に、「ネット前でもっとプレッシャーをかけなければ」と反省点も挙げた。対戦の続いているチョウ・ティエンチェンが、攻撃のタイミングを変えたり、攻め急がせようとするなど、「今回、色々変えてきた」と説明。当然、自分も対戦ごとにやり方を工夫するが、プレーがブレないように気を付けているという
一方、日本女子は、同国対決となったダブルスで高橋礼華・松友美佐紀組が、永原和可那・松本麻佑組をフルゲームの末に破り、勝ち上がった
しかしシングルスは、山口茜がジュニア時代からのライバル、中国ホー・ビンジャオの前に屈し、今シーズン好成績を残しているこの種目で、誰もベスト4に残れなかった
女子唯一の勝ち残りとなった高橋・松友組、高橋選手は「前日、ほかの日本ペアが敗れたのを見て、自分たちが上に」という思いを強くし、「海外の選手とやる権利を得るための試合」と自ら位置付けた準々決勝に臨んだという
松友選手は同国対決について、手の内を知り合っていて長くなるのは想定内としながら、「普段なら自分たちのプレーを出すことに注力するが、日本ペアが相手になると、つい勝ちたいという変な欲が出て、勝ち急いだりしてしまう。ただ今回は、(失った)第2ゲームもそんなに悪い形になっていなかった」と指摘。改善されてきていると話した
この日、男子ダブルスで世界ランク1位、第1シードのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ組(インドネシア)が、中国の若手ホー・ジティン/タン・チアン組に敗れる波乱、昨年11月以降、◆チャイナオープン◆香港オープン◆SSファイナル(ドバイ)◆インドネシアマスターズ◆インドオープン◆全英オープン――と6大会続いてきた連続優勝が途絶えた
試合後、選手は取材に応じず。コーチは、戦略が機能せず混乱した、とコメントした
ただインドネシアからは、男子シングルスでベテランのトミー・スギアルトが、前日、ディフェンディングチャンピオンのリン・ダンを降した中国1番手シー・ユーチに競り勝って、唯一の勝ち残りとなった
準々決勝(29日)の結果
【男子シングルス】
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)<17-21,9-21>リー・チョンウェイ(マレーシア、第7シード)
シー・ユーチ(中国、第3シード)<21-13,13-21,13-21>トミー・スギアルト(インドネシア)
キダンビ・スリカンス(インド、第4シード)<21-18,21-14>ブリス・レベルデス(フランス)
チョウ・ティエンチェン(台湾、第6シード)<19-21,11-21>桃田賢斗
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-15,21-15>ゴー・ジンウェイ(マレーシア)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第3シード)<22-20,21-19>カロリナ・マリン(スペイン、第6シード)
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)<21-15,21-16>ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ)
山口茜(第2シード)<18-21,18-21>ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)<17-21,11-21>ホー・ジティン/タン・チアン(中国)
園田啓悟・嘉村健士(第6シード)<21-9,21-17>ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第4シード)<19-21,21-17,21-9>ユ・ヨンソン/タン・ブンヒョン(韓国/マレーシア※リザーブ繰り上がり)
アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク)<17-21,15-21>遠藤大由・渡辺勇大
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-11,21-14>ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第7シード)
リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国)<16-21,23-21,19-21>コン・ヒヨン/キム・ヘリン(韓国)
高橋礼華・松友美佐紀(第5シード)<21-18,19-21,21-15>永原和可那・松本麻佑
リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス(インドネシア、第8シード)<21-15,21-23,21-17>ホワン・ドンピン/リ・ウェンメイ(中国)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)<14-21,23-21,13-21>クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド)
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第4シード)<21-8,21-10>ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第8シード)
タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第3シード)<21-23,21-16,15-21>渡辺勇大・東野有紗
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)<21-13,14-21,21-14>デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)
準決勝(30日)の対戦カード
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、第7シード)対トミー・スギアルト(インドネシア)
キダンビ・スリカンス(インド、第4シード)対桃田賢斗
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第3シード)
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(第6シード)対ホー・ジティン/タン・チアン(中国)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第4シード)対遠藤大由・渡辺勇大
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対コン・ヒヨン/キム・ヘリン(韓国)
高橋礼華・松友美佐紀(第5シード)対リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス(インドネシア、第8シード)
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第4シード)対 クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド)
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)対渡辺勇大・東野有紗