インドネシアマスターズ(SUPER500)準々決勝、高橋礼華・松友美佐紀組は、2カ月前に香港で敗れていた韓国のベテランペア、チョン・ギョンウン/チャン・イエナ組を相手に、昨年とは明らかに異なるプレーを見せ快勝した
この日の高橋・松友組は、韓国ペアを圧倒。第1ゲーム、5-5から抜け出し21-14で取ると、第2ゲームは一度もリードを譲らず、わずか8点に抑え込んだ
高橋・松友組は試合後、BadPaL の取材に答え、「これほど差がつくとは思わなかった」としたが、イストラスナヤン特有の風の影響を差し引いても、この日のプレーの優劣は明らか。従来のプレースタイルに、「縦の形にこだわらない横からの攻撃」(高橋)を交えるなどして、韓国ペアにほとんど何もさせなかった
ストレート負けした前回対戦時との違いを聞くと、高橋選手は、「去年は試合をしていて苦しかった。(前回と変わったのは)気持ちの部分が大きい」と強調した。一方、松友選手は、「五輪以降、気持ちの部分では難しかったが、1年半、それぞれ課題を持ってやってきている」と明確に語り、気持ちの部分が戻ってきたことで、2人のプレーが五輪時より「進化」の過程にあることを実感している
男子シングルスの坂井一将選手はこの試合、「1、2回戦に比べると、チャレンジャー精神より、勝ちたい気持ちが強かった」と認める。対戦相手のラスムス・ゲムケ選手は世界41位で、前日のビクター・アクセルセン選手より世界ランクで大きく下回るが、昨年11月ビットブルガーオープンで、グランプリ(GP)ゴールドのタイトルを手にしており、決してあなどれない
それでも第1ゲームは、坂井選手が6-8の劣勢から2度の連続得点で圧倒。第2ゲームも主導権を握ったまま15-10とリードするが、ここから5連続失点を喫し、追いつかれてしまう。ただこの後、「球を内側に集めて自分のミスを減らし、相手のミスを誘う」戦略に切り替えたのが機能し、21-18で振り切った
坂井選手は試合を振り返り、第1ゲームは合格点。しかし第2ゲーム、15-10から追いつかれてしまったことで、満足度は低下。「相手の拾うプレーと自分の攻撃がかみあってしまった。ゲームの途中で切り替えられるようになったのは成長点と言えるが、もっと早く、15-12ぐらいのところで変えられるようにしないと」と述べた
坂井選手はまた、インドネシアで延べ3年間トレーニングしていた時、お世話になった恩師夫妻が後ろで見てくれていたこと、「SAKAI」と応援の声がかかっていたこと、などが力になったと付け加えた。世界的に見ても当地特有といえる大歓声の中、試合をすることについても、「こういう環境が好き」と笑顔で答える
準決勝に向けては、今大会第4シードに入った韓国ソン・ワンホ選手が自分より格上であることを認めた上で、再び挑戦者の気持ちで臨む覚悟を示した
女子シングルスの奥原希望選手は、台湾タイ・ツーイン選手、山口茜選手と共に最近、試合でいいパフォーマンスを見せている世界トップの1人と評するタイのラッチャノク・インタノン選手と、2015年香港オープン以来2年2か月ぶりに顔を合わせた
第1ゲームは17-17まで競り合うが、そこから抜け出されて落とすと、第2ゲームは一度もリードを奪えぬまま、10-21の大差で敗れ、途中棄権したジャパンオープン以来、最初の国際大会をベスト8で終えた。ラッチャノク選手との通算対戦成績も、4勝4敗のタイとなった
ただ、奥原選手の表情は暗くなく、「思ったよりできた」と試合を終えての率直な感想を述べ、現在の自分の状態を鑑みると、「ここまで試合をこなせたことで、今大会の目標は達成」とした
久しぶりの対戦となったジュニア時代からのライバル、ラッチャノク選手の印象を聞くと、「自分がプレッシャーをかけられなかった分、余裕を持っているように感じた」と言い、試合を楽しむ姿勢は変わらないが、以前より冷静にプレーするようになった印象を受けた、と答えた
この先、一義的に取り組むのは、「コート内をフルに動けるフィジカルをつけること」。次に出場する国際大会は、2月の団体戦「アジアチーム選手権」。その後、3月の全英オープン(SUPER1000)に挑む予定だ
日本勢以外では、女子シングルスでスペインのカロリナ・マリン選手が中国ホー・ビンジャオ選手にフルゲームの末敗れた。ほかに、男子シングルスのチェン・ロン選手は、開催国インドネシアのアンソニー・シニスカ・ギンティン選手の前に屈し、準決勝に進めなかった
準々決勝の結果
【男子シングルス】
坂井一将<21-9,21-18>ラスムス・ゲムケ(デンマーク)
ソン・ワンホ(韓国、第4シード)<21-14,21-14>ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア※予選勝ち上がり)
チェン・ロン(中国、第3シード)<11-21,21-16,18-21>アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)
チョウ・ティエンチェン(台湾、第6シード)<15-21,21-21,21-18>ハンス・クリスチャン・ビッティングス(デンマーク)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-11,21-8>ソン・ジヒョン(韓国、第5シード)
カロリナ・マリン(スペイン、第3シード)<19-21,21-12,16-21>ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)<21-17,21-10>奥原希望(第6シード)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(第2シード)<13-21,19-21>サイナ・ネワル(インド)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)<20-22,21-14,21-14>チェン・フンリン/ワン・チリン(台湾、第7シード)
マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、第4シード)<21-23,21-15,19-21>シラグ・シェッティ/サトウィクサトラジ・ランキレディ(インド)
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第3シード)<21-18,20-22,21-12>ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)<12-21,21-17,21-10>ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ(台湾)
【女子ダブルス】
イ・ソヒ/シン・スンチャン(韓国、第5シード)<21-12,21-21>リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス(インドネシア)
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第8シード)<21-16,21-15>チェ・ユジョン/キム・ヘリン(韓国)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、第3シード)<21-18,21-10>ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第6シード)
高橋礼華・松友美佐紀(第2シード)<21-14,21-8>チョン・ギョンウン/チャン・イエナ(韓国、第7シード)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)<21-18,21-19>ツァン・ナン/リュウ・シュアンシュアン(中国※予選繰り上がり)
プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ(インドネシア)<21-11,-18-21,21-17>ヤントニ・エディ・サプトラ/マルシェイラ・ギスチャ・イスラミ(インドネシア※予選繰り上がり)
タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第4シード)<14-21,15-21>ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第6シード)
タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、第7シード)<21-15,16-21,16-21>ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア)
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
ソン・ワンホ(韓国、第4シード)対坂井一将
チョウ・ティエンチェン(台湾、第6シード)対アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)対サイナ・ネワル(インド)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)対シラグ・シェッティ/サトウィクサトラジ・ランキレディ(インド)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)対ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第3シード)
【女子ダブルス】
イ・ソヒ/シン・スンチャン(韓国、第5シード)対グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第8シード)
高橋礼華・松友美佐紀(第2シード)対クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、第3シード)対
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)対プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ(インドネシア)
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第6シード)対ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア)