
韓国オープンSS2回戦、三谷美菜津選手が世界ランク1位の台湾タイ・ツーイン選手を破ってベスト8入り。このところ、世界選手権を制した奥原希望選手、世界2位に位置する山口茜選手の陰に隠れがちだったが、実績ある同じA代表として存在感を示した
三谷選手にとってタイ・ツーイン選手は、世界1位という肩書とは別に、2013年香港オープンSSで勝利した後、4戦全敗と勝てなくなっていた難敵。直近の6月インドネシアオープンSSプレミアでの対戦では、8-21,12-21と完全に抑え込まれていた。しかしこの日は、17-20の劣勢にもあきらめず、オープニングゲームを逆転で奪い取れたのが大きかった。第2ゲームは落としたものの、ファイナルゲーム、中盤に逆転すると、その後の追撃をかわしてリードを保ち、21-18で振り切った
今シーズン、SSで3勝(全英、マレーシア、シンガポール)。世界選手権出場を回避して臨んだ自国開催のユニバーシアードでも、期待とプレッシャーを背負って優勝と、強さに安定感が増してきているタイ選手だが、この大会は昨年ジャパンオープンの1回戦負けに次ぐ早い段階での敗退(2回戦負け)となった。試合後、敗因としてミスが多かったことを挙げる一方で、「三谷選手がいいプレーをした」と認めている
三谷選手は、これまでに◆山口茜(2013年9月)◆桃田賢斗(15年4月)◆奥原希望(15年9月)◆佐藤冴香(17年6月)――の4人が続いたSSのシングルス初優勝を、日本で最初(12年10月)に成し遂げた記録を持つ<https://badpal.net/2012/10/30/minatsu-the-first-japanese-singles-player-to-win-superseries/>。14年の女子国・地域別対抗戦ユーバー杯では第1シングルスとして日本の準優勝に貢献。15年の世界選手権では銅メダルを獲得するなど、高い実績を誇る。ただ、リオデジャネイロ五輪出場をかけたレース以降、際立った成績を残せておらず、現在、世界ランクでも、山口、奥原、大堀彩、佐藤に次ぐ日本5番手に沈んでいる。この勝利を浮上のきっかけにできるか、次戦のリオ五輪銀メダリスト、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手との一戦が注目される
女子シングルスではほかに、佐藤選手との同国対決に現時点の力の差を見せ勝利した世界チャンピオン奥原希望選手と、2014年世界ジュニア選手権以来の顔合わせとなった中国4番手チェン・シャオシン選手に苦戦を強いられながらも競り勝った山口茜選手もベスト8入りを果たした
男子シングルスも、予選枠からスタートした坂井一将、西本拳太両選手が奮起。それぞれ世界ランク上位の欧州選手を破り、そろって準々決勝に進んだ
ダブルス陣は、男子は園田啓悟・嘉村健士組と小林優吾・保木卓朗組がともに勝ち上がった。これに対し女子は、世界1位の高橋礼華・松友美佐紀組は、7月アジアジュニア選手権で優勝したともに2000年生まれ韓国イ・ユリム/ペク・ハナ組を寄せ付けなかったが、今シーズンSS初優勝を遂げ波に乗る2ペア、6位福島由紀・廣田彩花組と、8位米元小春・田中志穂が相次ぎ敗れ、ベスト8に届かず姿を消した。その一方で、この種目に唯一のB代表から出場した永原和可那・松本麻佑組は、リオ五輪銅メダリストで自国開催の大会で2連覇を狙う、韓国チョン・ギョンウン/シン・スンチャン組をファイナルゲームで振り切り、ベスト8に割り入った
また、混合ダブルスでは、リオ五輪ベスト8の日本の第一人者、数野健太・栗原文音組が、予選から繰り上がったドイツのマルビン・エミル・シーデル/リンダ・エフレル組に不覚を取ったことで、日本勢はすべて姿を消すかと思われた。ところが、この日、最後の方に試合を組まれた、ともに予選勝ち上がりの金子祐樹・米元小春組と保木卓朗・廣田彩花組がそれぞれ、オランダオープンGP優勝のデンマークのマシアス・クリスチャンセン/サラ・チューセン組、台湾オープンGPゴールド準優勝の台湾ワン・チリン/リー・チアシン組とのフルゲームを制し、見事に勝ち残ってみせた
日本勢2回戦の結果
【男子シングルス】 アナース・アントンセン(デンマーク、世界15位)<21-9,16-21,6-21>坂井一将(世界41位※予選繰り上がり)、ブリス・レベルデス(フランス、世界27位)<19-21,13-21>西本拳太(世界60位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】 山口茜(世界2位)<25-23,11-21,21-18>チェン・シャオシン(中国、世界18位)、奥原希望(世界9位)<21-16,21-13>佐藤冴香(世界15位)、タイ・ツーイン(台湾、世界1位)<21-23,21-14,18-21>三谷美菜津(世界19位)
【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界4位)<14-21,21-19,21-13>アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク、世界14位)、チェン・フンリン/ワン・チリン(台湾、世界11位)<15-21,16-21>小林優吾・保木卓朗(世界22位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)<21-14,21-15>イ・ユリム/ペク・ハナ(韓国、世界170位※予選繰り上がり)、福島由紀・廣田彩花(世界6位)<21-14,17-21,13-21>グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、世界66位)、米元小春・田中志穂(世界8位)<22-24,20-22>ユ・ヘウォン/キム・ヘリン(韓国、世界17位)、チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界5位)<21-14,20-22,14-21>永原和可那・松本麻佑(世界33位)
【混合ダブルス】 数野健太・栗原文音(世界17位)<19-21,17-21>マルビン・エミル・シーデル/リンダ・エフレル(ドイツ、世界50位※予選繰り上がり)、マシアス・クリスチャンセン/サラ・チューセン(デンマーク、世界16位)<21-19,17-21,16-21>金子祐樹・米元小春(世界287位※予選勝ち上がり)、ワン・チリン/リー・チアシン(台湾、世界23位)<21-15,18-21,19-21>保木卓朗・廣田彩花(世界429位※予選勝ち上がり)
準々決勝の対戦カード(※これ以降、14日付更新の世界ランキングを反映)
【男子シングルス】
ソン・ワンホ(韓国、世界1位)対サミール・ヴェルマ(インド、世界25位)
アンソニー・シンスカ・ギンティン(インドネシア、世界24位)対西本拳太(世界61位※予選勝ち上がり)
ワン・ツーウェイ(台湾、世界12位)対ハンス・クリスチャン・ビッティングス(デンマーク、世界29位)
ジョナタン・クリスティ(インドネシア、世界22位)対坂井一将(世界40位※予選繰り上がり)
【女子シングルス】
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界4位)対三谷美菜津(世界19位)
ソン・ジヒョン(韓国、世界3位)対ホー・ビンジャオ(中国、世界7位)
奥原希望(世界9位)対イップ・プイイン(香港、世界32位※予選繰り上がり)
山口茜(世界2位)対ラッチャノク・インタノン(タイ、世界8位)
【男子ダブルス】
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界1位)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界8位)
小林優吾・保木卓朗(世界22位)対リャオ・ミンチュン/スー・チェンヘン(台湾、世界27位)
園田啓悟・嘉村健士(世界4位)対シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド、世界39位)
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界3位)対ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、世界6位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、世界66位)
永原和可那・松本麻佑(世界34位)対ユー・シャオハン/ホワン・ヤチオン(中国、世界129位)
チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界4位)対ユ・ヘウォン/キム・ヘリン(韓国、世界16位)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界3位)対シュー・ヤ/ドゥ・ユエ(中国、世界61位)
【混合ダブルス】
ゴー・スーンフアト/シェブロン・ジェミー・ライ(マレーシア、世界18位)対マルビン・エミル・シーデル/リンダ・エフレル(ドイツ、世界49位※予選繰り上がり)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界7位)対保木卓朗・廣田彩花(世界435位※予選勝ち上がり)
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界13位)対金子祐樹・米元小春(世界287位※予選勝ち上がり)
チャン・ペンスーン/チア・イーシー(マレーシア、世界64位)対ソ・スンジェ/キム・ハナ(韓国、世界72位)