クアラルンプールからクチンに会場を移して行われているマレーシアオープンスーパーシリーズ(SS)プレミア。4、5両日で各種目1回戦を終え、日本勢は、前週のインドオープンSSから女子が好調を持続。シングルス2人のほか、ダブルスで出場4組すべてが2回戦に進んだ
大会初日、4日に実施された女子ダブルス1回戦では、日本から出場の4ペア、高橋礼華・松友美佐紀、福万尚子・與猶くるみ、米元小春・田中志穂、福島由紀・廣田彩花がそろって勝ち、初戦を突破した
このうち、前週インド・デリーでSS初優勝を飾った米元・田中組は、試合後、BadPaL の取材に答え、2日にインドオープンの決勝を戦い、その後、移動して4日に1回戦というスケジュールは、「きつかった」と苦笑い。「優勝の余韻に浸る間もなく、すぐ次の試合という感じだった」と明かした。SS優勝者として臨む大会になったが、という見方は否定し、むしろタイペアは世界ランク上位で、格上が相手という意識で向かっていけたと説明した。その上で、アジアSS3連戦の初戦で優勝できたものの、SSプレミアでも結果を残したい、8月の世界選手権に出たいという気持ちを持って、今大会、そして次週のシンガポールオープンに挑む覚悟を示した
その米元・田中組が、SSで優勝した後、練習で依然として力の差があると認める高橋・松友組は、インドのアシュウィニ・ポンナッパ選手がパートナーをジュワラ・グッタ選手からネラクリヒ・シキ・レディ選手に代えたペアと対戦。後衛のイメージが強かった強打のポンナッパ選手が前衛に入ってくるのを少し厄介に感じたというが、徐々に対応して、結局、ストレートで勝利した
高橋選手は試合後、BadPaL に対し、「(3月の)全英オープンまでは金メダリストとして、勝たなければという気持ちが強すぎた。今シーズンこれ以降は、結果にこだわるというより、これまでとは違うこと、やりたいと考えることをやっていく」と述べた。松友選手は、「(自分たちの力は)まだまだ。選手を辞めるまで、2人で常に進化していき、まだ見たことのない新しい景色を見たい。楽しみ」とコメントした
女子ダブルスでは、所属が同じ、福万・與猶組と福島・廣田組も勝ち上がり、2回戦でインドオープン準決勝に続いて直接対戦する。インドでは福万・與猶組が勝利していた
女子シングルスには世界ランク順に、2位山口茜、11位奥原希望、19位佐藤冴香、21位三谷美菜津の4選手が参戦し、リオ五輪代表の2人、山口と奥原が勝ち上がった
山口選手の相手はいきなり元世界1位、インドのサイナ・ネワル選手。最初に組み合わせを見たとき、「(自分は)シードなのになんで(苦笑)?」と感じたが、試合が近づくにつれ、「受けるのではなく、向っていける相手」と楽しみになっていったという
前回対戦時(2014年チャイナオープンSSプレミア)からだいぶ間が空いていたが、サイナ選手はカバー力があると認め、相手がしっかり準備する前に先手を打っていく考えだったという。実際に対戦してみると、「パワーがあり、スマッシュが重く差し込んでくる」と評価。その強敵を破ったのを踏まえ、「今大会は1回戦が山と思っていた。もう1つ勝って、ベスト8からがスタート」と抱負を語った
奥原選手は、世界バドミントン連盟(BWF)管轄の主要国際大会に初めてエントリーしてきた無名のインドネシア選手を一蹴。強打ができない肩の不安が取り除かれたことをあらためて確認。ここから先、さらに計画的に以前の自分に戻していくと説明した
一方、男子2種目で1回戦を突破できたのは、ダブルスの園田啓悟・嘉村健士組のみ。全英オープンで嘉村選手が足を故障し、しばらく練習できなかったことが試合勘に影響し、前週のインドオープンでは久しぶりにSSでベスト8入りを逃した。ただ徐々に感覚を取り戻し、この試合はしっかり勝って2回戦に進んだ
園田選手は試合後、「初戦なので、しっかり足を動かして自分たちの攻撃の形にもっていくことを心掛けた」と答えた。嘉村選手は「次も勝って最低ライン。昨年手にしたシンガポールオープン準優勝のポイントが来週消えるので、この大会で少しでもポイントを稼ぐ。そうすることで次のシンガポールでの戦い方も楽になる」と述べ、さらなる勝ち上がりへ強い意欲を見せた
男子シングルスは、前週のインドオープンSSを体調不良のため取りやめた上田拓馬選手が唯一、予選2試合を勝ち抜き本戦進出。とりわけ2試合目では、2014年トマス杯決勝、日本対マレーシアでマレーシアの第2シングルスを務めた実力者チョン・ウェイフェン選手にストレート勝ちし、力を示した。しかし本戦1回戦では、韓国のエース、ソン・ワンホ選手に力及ばず、ストレート負け。これで、この種目の日本勢はすべていなくなった
上田選手は予選通過後、BadPaL の取材に応じ、男子シングルスの現状について、「誰かが抜け出さないと。引っ張っていきたいという気持ちはある。自分も今になって思うが、後輩には若い時、もっと貪欲になってほしい」と語った
混合ダブルスには、数野健太・栗原文音組と渡辺勇大・東野有紗組が出場したが、若手期待の渡辺・東野組は、同世代ながら既に世界ランク1位に君臨するツェン・シウェイ/チェン・チンチェン組に連敗。初戦で姿を消した。この日の最終試合に登場したリオ五輪代表の数野・栗原組は世界9位のマレーシアペアに対し、序盤ミスが多く、第1ゲームを簡単に落とす。しかしその後、何とか踏ん張り、勝ち残った
日本選手以外ではこの日、男子ダブルス(ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン組)、女子シングルス(プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手)、混合ダブルス(チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン組)のリオ五輪銀メダリストが相次いで敗れる波乱があった
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】 ソン・ワンホ(韓国、世界5位)〈21-12,21-17〉上田拓馬(世界40位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】 山口茜(世界2位)〈19-21,21-13,21-15〉サイナ・ネワル(インド、世界8位)、奥原希望(世界11位)〈21-9,21-4〉ミア・マワルティ(インドネシア、世界ランクなし※予選勝ち上がり)、ラッチャノク・インタノン(タイ、世界7位)〈21-18,21-10〉佐藤冴香(世界19位)、ソン・ジヒョン(韓国、世界4位)〈21-18,21-15〉三谷美菜津(世界21位)
【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界4位)〈21-13,21-12〉ワン・イーリュ/ホワン・カイシアン(中国、世界17位)、ギデオン・マルクス・フェルナルディ/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界1位)〈21-9,21-19〉小林優吾・保木卓朗(世界19位)、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、世界20位)〈19-21,21-15,21-19〉遠藤大由・渡辺勇大(世界55位※予選勝ち上がり)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-19,21-15〉アシュウィニ・ポンナッパ/ネラクリヒ・シキ・レディ(インド、世界47位)、福万尚子・與猶くるみ(世界7位)〈14-21,21-14,21-19〉ウ・ティジュン/スー・ヤチン(台湾、世界26位)、ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、世界10位)〈21-16,15-21,20-22〉米元小春・田中志穂(世界13位)、福島由紀・廣田彩花(世界19位)〈21-13,21-14〉キム・ハナ/チェ・ユジョン(韓国、世界ランクなし)
【混合ダブルス】 タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、世界9位)〈21-6,19-21,13-21〉数野健太・栗原文音(世界12位)、ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、世界1位)〈21-17,21-15〉渡辺勇大・東野有紗(世界19位)
日本選手2回戦の対戦カード
【女子シングルス】 山口茜(世界2位)対チェン・スユ(台湾、世界68位※予選勝ち上がり)、奥原希望(世界11位)対チュン・ガンイ(香港、世界15位)
【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界4位)対ルー・チアピン/リャオ・クアンハオ(台湾、世界35位※予選勝ち上がり)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対マハデウィ・イスティラニ・ニ・ケトゥット/アンギア・シッタ・アワンダ(インドネシア、世界16位)、福万尚子・與猶くるみ(世界7位)対福島由紀・廣田彩花(世界19位)、ホワン・ドンピン/リ・インフェイ(中国、世界15位)対米元小春・田中志穂(世界13位)
【混合ダブルス】 ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界5位)対数野健太・栗原文音(世界12位)