
デンマークオープンSSプレミア準々決勝、山口茜選手はリオデジャネイロ五輪銅メダルの奥原希望選手にジャパンオープンに続いて連勝し、自ら BadPaL に語っていた、「(SSで)ベスト8に入って、そこから先が勝負と考えている」という五輪後の課題を、3大会連続でクリアした
追いかける者の強みか、日本史上初のシングルス五輪メダリストという結果を残した奥原選手と、「ここから先は結局、上の選手に勝っていくしかない」の言葉に象徴される、相手が誰でも格上には向かっていくだけ、との姿勢で臨む山口選手の勢いの差が出た試合となった
第1ゲームを山口選手が奪うのは、リオ五輪、ジャパンオープンの時と同じ。ただ、これら2度の対戦では、第2ゲームに入ると奥原選手が呼応し競り合いに持ち込んだが、今回は出だしこそリードを奪うも、中盤に追いつかれ、後半、ミスも重なり一気に突き放された
山口選手が、◆リオ五輪でラッチャノク・インタノン選手(タイ)と奥原選手◆ジャパンオープンで奥原選手とスン・ユ選手(中国)◆韓国オープンでソン・ジヒョン選手(韓国)――と、格上への挑戦機会があったのに対し、奥原選手は全英オープン優勝以降、同選手の力の源ともいえる、向っていくべき相手との対戦がなくなっていたことも影響しているようにみえる。五輪後の再スタートをうまく切れているのは、銅メダルの奥原選手より、メダルに届かなかった山口選手の方であることは明白だ
一方、リオで金メダルをつかんだスペインのカロリナ・マリン選手がこの日見せたのは、相手を押し切る圧倒的な強さではなく、ギリギリまで追い詰められてもあきらめず食らいつく意地の強さ。この種目、中国勢最後の勝ち残りスン・ユ選手にファイナルゲーム14-18とリードされながら追いつき、さらに2度のマッチポイントを凌いで27-25で振り切った
世界ランク1位、第1シードのマリン選手は今大会ここまでの3試合すべて、世界ランク下位の相手といずれもファイナルゲームまでもつれる試合になりながら、何とか勝ち残ってきた。五輪金メダリストとしてスマートな勝ち方ではないが、決してあきらめない、負けない底深さを強く印象付けている。向かってくる山口選手との準決勝でどのような戦い方を見せるか、注目される
この種目、日本勢もう1人の勝ち残り、佐藤冴香選手は、今大会好調の香港チュン・ガンイ選手にストレート負け。五輪銀メダルのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手を破った前日の勝ちを、結果に結びつけることはできなかった
男子シングルスでは34歳の誕生日を迎えたマレーシアのリー・チョンウェイ選手が、過去6戦して負けなしのフランスの30歳、ブリス・レベルデス選手に初めて敗れる波乱。第1ゲームを奪われ、第2ゲームは18-20のマッチポイントを凌いだが、ファイナルゲーム、同じ18-20から1点は詰めたものの、ひっくり返すことは叶わなかった。2回戦のビクター・アクセルセン選手に続き、チョンウェイ選手が敗れたことで、この種目の五輪メダリストはいなくなった
一方、準々決勝に臨んだ日本のダブルス陣3ペアのうち、準決勝に進んだのは、福万尚子・與猶くるみ組の挑戦を退けた女子第1シードの高橋礼華・松友美佐紀組のみ。男子の園田啓悟・嘉村健士組は、世界ランクはほぼ同位ながら、一度も勝ったことがないインドネシアのリッキー・カランダ・スワルディ/アンガ・プラタマ組にストレートで敗れ、ベスト8で今大会を終えた
なお、この日で全種目のベスト4が出そろったが、ヨーロッパ勢が女子ダブルスを除く4種目に勝ち残る健闘を見せている。対照的に、常勝国の中国は男女シングルスと女子ダブルスで敗れ、混合ダブルスに2ペアを残すのみとなった
準々決勝の結果
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈17-21,22-20,19-21〉ブリス・レベルデス(フランス、世界38位)
タノンサク・センソンブーンサック(タイ、世界18位)〈21-17,14-21,21-15〉アナース・アントンセン(デンマーク、世界44位※予選勝ち上がり)
ソン・ワンホ(韓国、世界7位)〈21-3,15-21,21-18〉シー・ユーチ(中国、世界24位※予選繰り上がり)
ウォン・ウィンキ(香港、世界16位)〈21-6,13-21.13-21〉イ・ヒョンイル(韓国、世界22位)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)〈21-19,16-21,27-25〉スン・ユ(中国、世界9位)
奥原希望(世界4位)〈13-21,14-21〉山口茜(世界10位)
タイ・ツーイン(台湾、世界6位)〈12-21,25-23,23-21〉ソン・ジヒョン(韓国、世界7位)
佐藤冴香(世界12位)〈19-21,12-21〉チュン・ガンイ(香港、世界35位)
【男子ダブルス】
ギデオン・マルクス・フェルナルディ/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界13位)〈16-21,21-12,19-21〉ボディン・イサラ/ニピトポン・プアンプアぺト(タイ、世界27位)
園田啓悟・嘉村健士(世界14位)〈19-21,7-21〉リッキー・カランダ・スワルディ/アンガ・プラタマ(インドネシア、世界15位)
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界7位)〈21-18,25-23〉リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ(中国、世界8位)
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界9位)〈21-14,21-5〉ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ(ロシア、世界12位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈24-22,21-15〉福万尚子・與猶くるみ(世界9位)
ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界5位)〈16-21,18-21〉サプシリー・タエラッタナチャイ/プティッタ・スパジラクン(タイ、世界13位)
グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界6位)〈22-20,21-15〉ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、世界18位)
チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界3位)〈21-18,21-17〉クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界4位)
【混合ダブルス】
コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界1位)〈13-21,18-21〉ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界7位)
クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界9位)〈21-18,21-12〉リ・ジュンフイ/バオ・イーシン(中国、世界ランクなし)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界6位)〈19-21,21-15,14-21〉ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、世界13位)
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界8位)〈28-26,21-16〉ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界ランクなし)
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
タノンサク・センソンブーンサック(タイ、世界18位)対ブリス・レベルデス(フランス、世界38位)
ソン・ワンホ(韓国、世界7位)対イ・ヒョンイル(韓国、世界22位)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)対山口茜(世界10位)
タイ・ツーイン(台湾、世界6位)対チュン・ガンイ(香港、世界35位)
【男子ダブルス】
リッキー・カランダ・スワルディ/アンガ・プラタマ(インドネシア、世界15位)対ボディン・イサラ/ニピトポン・プアンプアぺト(タイ、世界27位)
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界7位)対マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界9位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対サプシリー・タエラッタナチャイ/プティッタ・スパジラクン(タイ、世界13位)
チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界3位)対グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界6位)
【混合ダブルス】
ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界7位)対クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界9位)
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界8位)対ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、世界13位)