ベトナムオープンＧＰ決勝、予選から勝ち上がった17歳の川上紗恵奈選手が、勢いのあったインドネシアの16歳フィトリアニ選手にしっかり勝って、ニュージーランドオープンＧＰゴールドに次ぐシニアの大会２勝目。オランダジュニアインターナショナルを含めると、今シーズン国際大会３勝目を挙げた。試合後には、「観客からたくさん応援してもらいうれしかった。見ている人にもっと感動と勇気を与えられるようになりたい」とさらなる精進を誓った
ベトナムオープン女子シングルスの優勝は、昨年の奥原希望選手に続く日本勢の２連覇
川上選手は第１ゲーム、「年下が相手で力みが出た」と試合後に認めた通り、4-11と大きくリードを許して前半を終える。しかし後半に入ると徐々に盛り返し、13-18から６連続得点で逆転。その後の競り合いも26-24で振り切って先制に成功する。第２ゲームも序盤リードされるが離されず、インターバル前に逆転（11-8）。一気に持っていけそうな流れを作った。しかし、２回戦で世界17位、第１シードのタイのブサナン・ウンバンルンパン選手を破るなど今大会、勢いに乗るフィトリアニ選手のプレーが勝り、ひっくり返されこのゲームを落としてしまう
ただファイナルゲームに入ると、川上選手は「少し集中力が切れた」というが、前半を11-5と大きくリード。後半も、疲れからかミスが出るようになった１歳下の相手をしり目にどんどん点差を広げていき、結局、最後まで足が止まることなく運動量で勝った川上選手が21-10と圧勝。シニアの国際大会参戦は大阪インターナショナルチャレンジ、ニュージーランドオープンＧＰゴールドに続く今シーズン３戦目ながら、早くも２つ目のタイトルを手にした
川上選手に試合後、BadPaL が、今大会最大の山場とみられた３回戦、タイのポーンティップ・ブラナプラサーツク選手との試合について聞いてみると、返ってきたのは、「ポーンティップ選手が（ＳＳ優勝経験のあるほど）強い選手だとは知らなかった」との意外な答え。「相手のことをもっとリサーチすべきなのだろうが、不安になるので、特徴をつかんだ後は見なかった（笑）」と明かした。ただこのことが結果的に、相手の強さを意識しすぎることなく試合に向かわせ、ファイナルゲームを23-21で取り金星を挙げた後も、満足しすぎることなく次の準備に入れた要因となったようだ。川上選手はあらためてこの試合を振り返り、「勝ったというより課題が見つかった大切な試合。今度は自分のプレーで（ポーンティップ選手に）勝ちたい」と述べている
このほかの種目では、中国の19歳ホワン・カイシアン選手が、20歳のホワン・ドンピン選手と組む混合ダブルスで、ＵＳオープンＧＰゴールドに次ぐ２つ目のシニアのタイトルを獲得。同じく中国の20歳ペア、リュウ・ユーチェン／リ・ジュンフイ組は男子ダブルスで、ＵＳオープンＧＰゴールド、カナダオープンＧＰに次ぐ今シーズン３勝目を挙げた
一方、今大会、若手の躍進で中国を上回る３種目で決勝に進んだインドネシアだったが、五輪出場枠獲得に向けランキングポイントの上乗せを狙った男子シングルスのトミー・スギアルト選手の１勝のみにとどまった。なお27歳のスギアルト選手は、今回通算２勝目を挙げた韓国イ・ヒョンイル選手（35）と同世代で、リオデジャネイロ五輪で３大会連続の金メダルを目指す中国リン・ダン選手（31）からも今シーズン、白星を挙げている。ただ、今も世界のトップで活躍するもう１人のベテラン、マレーシアのリー・チョンウェイ選手（32）には一度も勝ったことがない
決勝の結果
【男子シングルス】 トミー・スギアルト（インドネシア、世界19位）〈21-19,21-19〉イ・ヒョンイル（韓国、世界24位）
【女子シングルス】 フィトリアニ（インドネシア、世界112位）〈24-26,21-18,10-21〉川上紗恵奈（世界183位※予選勝ち上がり）
【男子ダブルス】 リュウ・ユーチェン／リ・ジュンフイ（中国、世界26位）〈21-8,21-16〉ホワン・カイシアン ／ワン・シジエ（中国、世界157位）
【女子ダブルス】 ラウィンダ・プラジョンジャイ／ジョンコンハン・キッティハラクン（タイ、世界27位）〈21-14,21-12〉スシ・リズキ・アンディニ／マレサ・デア・ジオバニ（インドネシア、世界61位）
【混合ダブルス】 チェ・ソルギュ／チェ・ユジョン（韓国、世界50位）〈19-21,12-21〉ホワン・カイシアン／ホワン・ドンピン（中国、世界55位）
BadPaL 