国・地域別の男女混合団体戦スディルマン杯は21日、決勝が行われ、ホスト国中国が韓国を完封し、3年連続13回目の優勝を飾った。1999年と2001年の優勝メンバーでもある中国バドミントン協会のツァン・ジュン会長は、自国開催で高い期待とプレッシャーがあり非常に難しかったとした上で、とりわけ敗戦目前のところから挽回して勝利した日本との準決勝に触れ、自身がこれまで見てきた中で最も記憶に残る団体戦と評した
「互いを信じてやれたことが勝因。相手にマッチポイントを握られてから追い上げていかなければならない状況は、この試合が初めてじゃない。これまでにも何度か経験している」。ツェン・シウェイが試合後に語ったこの言葉は、決勝を含め今大会通じた中国の強さを如実に伝えている
大会最終日最初の混合ダブルスは、今大会ここまで、男子ダブルスで2戦2勝、混合ダブルスで2戦2勝と、ポイントゲッターとして韓国チームの決勝進出に貢献してきたソ・スンジェが、チェ・ユジョンと組むエースペアで第1ゲームを競り勝ち先制。第2ゲームも優位に試合を進めて終盤19-16とリードし、いったん並ばれるが、20-19と先にマッチポイントをつかむ
後のなくなったシウェイ/ヤチオンだが、崩れることなく3連続得点を決め、逆転でこのゲームを取り返す。その流れのままファイナルゲームもいきなり5連続得点で突き放すと、そこからは一方的に得点を重ねていき、21-8と圧勝した
ツェン・シウェイは冒頭の言葉を述べた上で、こうした試合はわれわれにとって価値のある経験で、どうして自分たちがこういう状況に追い込まれたのかを学ばなければ、と指摘した。誰もが認める名実ともに世界ナンバー1の地位にいながら、この、最終的には勝利した試合をも反省材料としてさらに先へ進もうとし続ける姿勢こそが、ライバルたちがなかなか彼らに追いつけない要因のひとつだ
2番目に登場の男子シングルスのシー・ユーチは、国際舞台での経験の少ない韓国イ・ユンギュの挑戦を退け、確実に2勝目をチームへもたらし、プレッシャーを軽減して次の女子シングルスにつないだ
今年で27歳になったシー・ユーチは今大会、一次リーグの1試合を除き合わせて5試合に出場して、負けなし。とりわけ決勝トーナメントに入ってからは、準々決勝で世界ランク2位アンソニー・シニスカ・ギンティン、準決勝で同3位奈良岡功大を連破した。自身の世界ランクはまだ10位と本来いるべきポジションに戻り切っていないが、中国の頼れる男子シングルスエースとしての地位は再び固めた
とりわけスディルマン杯では、決勝トーナメントだけ見ても、◆2019年2勝◆21年2勝1敗◆23年3勝――とチームへの貢献度は高い。敗れたのは、21年準々決勝で対戦したデンマークのビクター・アクセルセンのみ
今大会決勝の最大の見どころといえる女子シングルス、チェン・ユーフェイ対アン・セヨンは、実力拮抗故に予測困難で毎回、やってみなければ分からない。過去の通算対戦成績は8勝4敗でチェン・ユーフェイがリードしているが、2023年だけで見るとアン・セヨンの3戦全勝。ただ、いずれもファイナルゲームまでもつれている
一つの印象として、前日の準決勝でチェン・ユーフェイが山口茜に敗れた試合から、今週はアン・セヨン優位と見る向き少なくなかった。ところが、いざふたを開けてみると、この日はチェン・ユーフェイが序盤から主導権をつかみ、追い上げられる場面はあったが、一度もリードを譲らずオープニングゲームを先取する。第2ゲームはアン・セヨンが徐々に調子を上げ一進一退、それでも後半に入るとチェン・ユーフェイが優位に立ち、20-17とマッチポイントを握る。自分の負けがチームの負けに直結する韓国21歳のエースもここから奮起し、20-20で並んでみせたが、次の2点をもぎとった中国25歳のエースが、ダブルス2種目を残してチームの3連覇を決めた
ちなみに今大会で、チェン・ユーフェイは、山口に負けてアン・セヨンに勝利。アン・セヨンは、チェン・ユーフェイに負けて山口に勝利。山口は、アン・セヨンに負けてチェン・ユーフェイに勝利。「三つ巴戦」は引き分けに終わった
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◆決勝(21日)の結果
①中国(A組1位)3―0韓国(D組1位)
【混合ダブルス】 ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(世界1位)<18-21,22-20,21-8>ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(世界5位)
【男子シングルス】 シー・ユーチ(世界10位)<21-13,21-17>イ・ユンギュ(世界213位)
【女子シングルス】 チェン・ユーフェイ(世界4位)<21-16,22-20>アン・セヨン(世界2位)
【男子ダブルス】 ワン・チャン/リャン・ウェイケン(世界6位)<打ち切り>キム・ウォンホ/ナ・ソンスン(世界803位)
【女子ダブルス】 チェン・チンチェン/ジア・イーファン(世界1位)<打ち切り>イ・ソヒ/ペク・ハナ(世界5位)
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出場16チームの最終順位
【優勝】:中国(※3大会連続優勝、通算13回目)
【準優勝】:韓国(※前回3位タイ)
【3位タイ】:日本(※前回準優勝)、マレーシア(※前回3位タイ)
【5~8位(順不同)】タイ、インドネシア、デンマーク、台湾
【9~12位(順不同)】インド、フランス、シンガポール、カナダ
【13~16位(順不同)】ドイツ、イングランド、オーストラリア、エジプト