カナダオープン(SUPER100)決勝、小野寺雅之・岡村洋輝は、これが3月にペア結成してから2戦目となるデンマークのベテラン2人、マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセンに力及ばず、準優勝。日本勢は3年ぶりにタイトルなしでこの大会を終えた

日本選手はカナダオープンにおいて、2017年3種目(常山幹太、川上紗恵奈、永原和可那・松本麻佑)、18年1種目(櫻本絢子・髙畑祐紀子)と、2年連続で優勝者を輩出していたが、今年は続けなかった
小野寺・岡村は、「SUPER100」の初タイトル獲りに挑んだが、長く世界トップで戦ってきた、実力・実績ともに上の実力者2人が組むデンマークペアにストレート負け。準優勝に終わり、昨年のシドニーインターナショナルシリーズに次ぐシニアの国際大会2勝目は、次回以降に持ち越された
ジュニア最後の年に当たる2016年を、◆オランダジュニア優勝◆ドイツジュニア準優勝◆アジアジュニア・ベスト8◆世界ジュニア・ベスト16――の成績で終えた2人は、高校卒業後、小野寺が大学進学、岡村が実業団入りと、異なる進路を選んだ。ジュニアからシニアに上がって初めて臨んだ17年4月のフィンランドオープン(インターナショナルチャレンジ)でベスト4入り。18年9月のシドニーインターナショナルシリーズではシニアの国際大会初優勝を遂げていて、今回は2度目の決勝の舞台だった
ただ、優勝は逃したものの、園田啓悟・嘉村健士と佐伯祐行・垰畑亮太による同国対決となった2012年決勝の後、この大会の男子ダブルスで日本からひとペアもファイナリストが出ていなかったことも含め、ともに20歳の若い小野寺・岡村にとっては、次につなげられる好結果と評価できる
一方、勝利したデンマークペアは、6月のスペインインターナショナルチャレンジに次いで、これで出場2大会連続優勝。ともに下位大会ながら、ペア組み換え後、着実に結果を刻み続けており、続くUSオープン(SUPER300)とロシアオープン(SUPER100)でも好結果を残し、「SUPER500」以上の上位大会に出場可能な世界ランクに近づけたい意向だ
マッズ・コンラド・ペターセンは昨年11月末、モチベーションの低下などを理由に競技活動を一時停止。これにより、実質的にマッズ・ピーラー・コルディングとのペアは解消となった。また、マシアス・ボーは3月の全英オープンを最後に、15年続いたカールステン・モゲンセンとのパートナーシップに終止符を打ち、そこからマッズ・コンラド・ペターセンとのペアリングを本格化させた。なお、この2人は2016年と18年、男子国・地域別対抗戦トマス杯に組み替えペアとして出場。日本戦で起用され、それぞれ当時のエース、早川賢一・遠藤大由と園田啓悟・嘉村健士を破っている
カールステン・モゲンセンとマッズ・ピーラー・コルディングもペアを組み、新たな可能性を探るとしていた。しかし、ランキングポイントに絡む戦略的な理由から出場を見送ったとされる4月のシンガポールオープンに続いて、長身のマッズ・ピーラー・コルディングが慢性的に抱える故障の悪化に伴い、7月にエントリーしていた、◆カナダオープン◆USオープン◆ロシアオープン――の出場をすべて取りやめるなど、ペアとして始動するタイミングは未定。このまま「自然解消」の可能性も出てきた
注目を集めた女子シングルス決勝は、とりわけ東京五輪後、日本選手にとって壁となることが予想される韓国と中国の10代2人の対決。試合は、2歳下の韓国アン・セヨンのペースで進み、オープニングゲームを先取する。第2ゲームも韓国の17歳は主導権を譲らず、20-16と4つのマッチポイントをつかむ。ここから昨年のユース五輪銀メダリスト、中国の19歳ワン・ジューイが粘りを見せ4連続得点で追いついてみせるが、ゲームを奪い返すには至らず。アン・セヨンがストレート勝ちで、ツァン・ベイウェン、大堀彩、リ・シュエリを連破した5月のニュージーランドオープン(SUPER300)に続く、ワールドツアー2勝目を挙げた
韓国勢はこの日最後にコートに立ったベテラン、コ・ソンヒョン/オム・ヘウォンも中国の若手を破り、タイトル奪取に成功。第1ゲームを21-19で競り勝った後、第2ゲームは13-18の劣勢から追いつき、逆転して試合を決めた
コ・ソンヒョンは韓国代表を引退後、プロとして国際大会に出場する権利を勝ち取り、先に「引退」していたオム・ヘウォンと組んで最初の大会となった昨年11月のコリアマスターズ(SUPER300)で、予選から出場し、いきなり優勝。2戦目の6月オーストラリアンオープン(SUPER300)では準々決勝、初めて対戦する世界3位の渡辺勇大・東野有紗にファイナルゲーム19-21の僅差で敗れベスト8にとどまったが、3大会目となるカナダオープンでまた、頂点に立った
中国は韓国勢にやられ、女子シングルスと混合ダブルスの2種目で優勝を逃したが、男子シングルスではリ・シーフォンがインドのカシャップ・パルパリを倒し、タイトルを守った。昨年は現在中国4番手の22歳ルー・グアンズが優勝していた。今年シニアに上がったばかりの19歳は昨年、ユース五輪で優勝。今シーズンはここまでシニアの大会6つに出場し、◆優勝1回(カナダオープン)◆準優勝2回(イランインターナショナルチャレンジ、オーストリアンオープン)◆ベスト4が1回(仏オルレアンマスターズ)――と、着実に歩みを進めている
女子ダブルスでは、オーストラリアのグローニャ・サマービル/セトヤナ・マパサが韓国のベテラン(チャン・イエナ)と若手(キム・ヘリン)を掛け合わせたペアを破り、2016年に続き3年ぶり2度目の優勝を遂げた。なおこの種目、日本勢には永原・松本(17年)、櫻本・髙畑(18年)に次ぐ3年連続優勝の期待があったが、第1シードに入った志田千陽・松山奈未が準々決勝で韓国の組み替えペア、チョン・ギョンウン/ペク・ハナにストレートで敗れ、果たせなかった
今シーズンここまで、日本の女子ダブルス陣で「SUPER100」以上のBWFワールドツアーを勝っているのは、A代表の上位3ペア(永原・松本、福島由紀・廣田彩花、高橋礼華・松友美佐紀)のみ。B代表は昨シーズンと異なり、未だ1つもタイトルを獲れていない
決勝の結果
【男子シングルス】カシャップ・パルパリ(インド、第6シード)<22-20,14-21,17-21>リ・シーフォン(中国)
【女子シングルス】アン・セヨン(韓国、第5シード)<21-15,22-20>ワン・ジューイ(中国※予選繰り上がり)
【男子ダブルス】マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン(デンマーク、第8シード)<21-12,21-18>小野寺雅之・岡村洋輝
【女子ダブルス】チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国、第5シード)<16-21,14-21>グローニャ・サマービル/セトヤナ・マパサ(オーストラリア、第7シード)
【混合ダブルス】コ・ソンヒョン/オム・ヘウォン(韓国)<21-19,21-19>グオ・シンワ/ツァン・シュウシエン(中国※予選繰り上がり)
備考 : 一昨年、昨年に引き続いて、今大会の日本選手の写真を BadPaL に提供してくれたのは、カナダの Joseph YEUNG 氏。白血病の一種と診断された親しい友人の妹にできることはないか自ら調べた過程で、正常な血液を作り出すのが難しくなる疾病者に移植する造血幹細胞の提供者(ドナー)の必要性が、十分周知されていない事実に気づき、自らの写真を通じて広く知ってもらい、それぞれの国・地域でドナー登録を呼びかける活動「Badminton Photography for Stem Cell Donor Awareness」 を行っている