アジア団体選手権準決勝、第1シードの日本女子は、チームで向ってきたインドネシアに手こずりながらも勝ち、2大会連続の決勝進出を果たした
結果だけ見れば、前日の準々決勝と同じ3-0の「快勝」だが、この日は内容が違った。山口茜、高橋礼華・松友美佐紀、奥原希望の「3本柱」がいすれも1ゲームを失い、難しい試合を強いられた
要因のひとつは、団体戦で個人戦以上の強さを示したインドネシアの各選手。第1シングルスのフィトリアニ選手は今大会、中国のエース、チェン・ユーフェイ選手を破るなど勢いがあり、対戦した山口選手は、「しっかりコートの奥までシャトルを返してきた。第1ゲームのようなプレーを最後まで続けられたら(どうなったか分からない)」と述べ、その強さを認めた
第1ダブルスのグレイア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ組については、高橋・松友組が、「団体戦に強いイメージ。(個人戦で)前回対戦した時よりますます強くなっている。ここまで3回続けて勝っているが、負けるとしたら今日かも、と思った」と試合後、率直に認めた
一方で、苦戦の原因は、日本選手の心身の状態にもある。奥原選手は第1ゲームを21-5と簡単に奪いながら、第2ゲーム以降は突き放すことができなくなり、接戦に持ち込まれて、首をかしげる姿が多く見られた
失うものなく世界チャンピオンに向かってきた現世界ジュニアチャンピオン、グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン選手がファイティングスピリットを見せた。しかしそれ以上に、「試合勘が戻っていない、波に乗れない」もどかしい状態のまま試合をしている今の奥原選手の気持ちの部分が大きく影響していた。ただ、「少しずつ良くなってはいる」とし、全英オープン前のこの時期、(試合の)数をこなすことで徐々にでも感覚を取り戻そうとする前向きな姿勢は忘れていない
ほかにも、山口選手は「体調はいつも通りだが、動きが良くない。スピードを上げているつもりでも、思ったように上がっていない」と明かす。高橋選手は「シーズン初めの上位大会の後、S/Jリーグを経て迎えたこの大会、ここまで全試合に出場し、正直疲れがあり集中力を欠いていた」と話した
それでも決勝に向けては、山口選手が「日本(女子チーム)は層が厚い」と指摘すれば、奥原選手は、「まだタイトルを獲ったことがないから、挑戦者のつもりで。ただ、各選手が(日本女子が今大会)第1シードであることを意識しすぎず普通に戦えれば、日本は強い」と穏やかな口調ながら、確固たる自信を示した
なおチームの雰囲気については、「(代表での女子団体戦が)初めての選手は戸惑っている部分もあったが、段々慣れてきた」(高橋)。「応援など徐々に良くなっている」(山口)という
準決勝もう一つの試合は、中国が第1ダブルス(対シン・スンチャン/イ・ソヒ組)は落としたものの、韓国を3-1で降して、2大会連続で日本ともに決勝に進んだ
一方、男子準決勝では、トマス杯出場権の自力獲得という目標を達したマレーシアがリー・チョンウェイ選手を外してきたことで、第1シードの中国が、第1ダブルスを落としながら3-1で勝ち、順当に決勝へ進んだ
第2シードのインドネシアは苦戦。第2ダブルスのヘンドラ・セティアワン/ライアン・アグン・サプトロ組が、若い韓国ペア、チェ・ソルギュ/キム・ドクヨン組に敗れる波乱があり、決着は最終第3シングルスへ。インドネシアはこの試合、疲れの蓄積しているアンソニー・シニスカ・ギンティン選手を決勝に向け温存し、繰り上げで第4の男、フィルマン・アブドゥル・ホリク選手を投入した
ホリク選手は期待に応え、韓国イ・ドンクン選手相手に接戦を演じるが、ファイナルゲーム13-7のリードを守れず逆転を許し、逆に14-20と追い詰められ、敗戦ムードが濃厚になる。ところが、ここから勝ちを意識してかプレーが小さくなったイ・ドンクン選手をどんどん追い上げ、結局、8連続得点で土壇場の大逆転勝ち。沈みこんでいたインドネシアの応戦席は一転、歓喜に沸いた
準決勝の結果
◆女子
①日本(W組1位)3ー0インドネシア(Z組1位)
(第1シングルス)山口茜(世界2位)<17-21,21-13,21-17>フィトリアニ(世界29位)
(第1ダブルス)高橋礼華・松友美佐紀(世界2位)<20-22,21-19,21-18>グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(世界22位)
(第2シングルス)奥原希望(世界7位)<21-5,19-21,21-15>グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(世界26位)
(第2ダブルス)福島由紀・廣田彩花(世界4位)<打ち切り>リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス)(世界29位)
(第3シングルス)佐藤冴香(世界13位)<打ち切り>ルセリ・ハルタワン(世界81位)
②韓国(X組1位)1-3中国(Z組2位)
(第1シングルス)ソン・ジヒョン(世界6位)<14-21,15-21>チェン・ユーフェイ(世界8位)
(第1ダブルス)シン・スンチャン/イ・ソヒ(世界11位)<21-13,21-9>フェン・シュエイン/ドン・ウェンジン(世界263位)
(第2シングルス)イ・チャンミ(世界17位)<19-21,19-21>ホー・ビンジャオ(世界9位)
(第2ダブルス)チャン・イエナ/キム・ヘリン(世界ランクなし)<17-21,14-21>ツェン・ユー/サオ・トンウェイ(世界263位)
(第3シングルス)アン・セヨン(世界ランクなし)<打ち切り>ガオ・ファンジエ(世界46位)
◆男子
①中国(A組1位)3-1マレーシア(C組1位)
(第1シングルス)シー・ユーチ(世界7位)<21-18,21-9>リー・ヅージア(世界47位)
(第1ダブルス)タン・チアン/ホー・ジティン(世界41位)<18-21,12-21>ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(世界15位)
(第2シングルス)チャオ・ビン(世界26位)<21-17,21-8>スーン・ジュ―ベン(世界65位)
(第2ダブルス)ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(世界51位)<21-15,21-13>テオ・イーイ/オン・ユーシン(世界22位)
(第3シングルス)ツァオ・ジュンペン(世界81位)<打ち切り>イスカンダー・ズルカルナイン・ザイヌディン(世界61位)
②韓国(B組1位)2-3インドネシア(D組1位)
(第1シングルス)ソン・ワンホ(世界4位)<18-21,14-21>ジョナタン・クリスティ(世界13位)
(第1ダブルス)ソ・スンジェ/チュン・ウイソク(世界ランクなし)<8-21,10-21>モハンマド・アーサン/アンガ・プラタマ(世界392位)
(第2シングルス)チョン・ヒョクチン(世界18位)<21-17,21-16>イーサン・マウラナ・ムストファ(世界39位)
(第2ダブルス)チェ・ソルギュ/キム・ドクヨン(世界169位)<11-21,21-18,21-19>ヘンドラ・セティアワン/ライアン・アグン・サプトロ(世界273位)
(第3シングルス)イ・ドンクン(世界38位)<20-22,21-11,20-22>フィルマン・アブドゥル・ホリク(世界82位)
決勝の対戦カード
◆女子
日本(第1シード)対中国(第2シード)
◆男子
中国(第1シード)対インドネシア(第2シード)