
マレーシアのプロリーグ「パープルリーグ」が、4シーズン目を迎えた。まず12~1月、参戦8クラブによる総当たり戦を行い、上位6クラブが2月の決勝トーナメントに進む。今シーズン、日本人は4人がエントリーされている
開催日程は、世界バドミントン連盟(BWF)の大会スケジュールの合間を縫う形で設定され、総当たりの一次リーグが12月18~23日、26~30日。1月4~6日の14日間。決勝トーナメントが2月8~11日の4日間となる
試合形式は昨シーズンと同じく11点×5ゲーム制で、1試合ごとに時間制限があり、30分を越えると打ち切られる。種目は、◆男子シングルス(第1)◆女子シングルス◆男子ダブルス◆混合ダブルス◆男子シングルス(第2)――の5つ(女子ダブルスはなし)で、得失ゲーム数の合計で勝敗を決する
今シーズン、日本人は田児賢一、大堀彩、杉野文保、樋口奈津樹の4人の名前がエントリーリストに掲載された。このうち田児、大堀両選手は既に2戦に出場し、いずれも勝利。それぞれ所属するクラブの開幕2連勝に貢献している

4シーズン続けてプタリンBCからの出場となる田児選手は1、2戦ともに1ゲームも落とさず勝利。その後のインタビューで、あらためて、違法賭博への関与により自ら招いた処分のため日本国内でプレーができない状況が続く中、復活を信じサポート、応援をし続けてくれているマレーシアの人たちへの感謝を公に伝えた
田児選手は、2016年4月に日本バドミントン協会から無期限の登録抹消処分を受けた後、事情をすべて理解するプタリンBCに受け入れてもらい、自らの練習以上に、クラブ内の若手の練習相手、クラブを訪れる一般の愛好家や子どもたちの羽根打ちの相手、マレーシアや周辺国・地域の選手からの要請に応える形でのスパーリングパートナーなどを通常行っている。年に一度のパープルリーグ参戦は、世話になっているクラブのオーナー、コーチ、チームメイト、サポーターらに対し、現状できうる数少ない恩返しの位置づけだ
BWFのポール・エリック・ホイヤー会長からは、昨シーズンのリーグ開幕直前、海外のリーグ出場は問題なしとの言葉とともに、いずれ訪れるであろう公式戦復帰の日に向け体の調子を整えておくよう直接助言を受けた。最近ではバドミントンアジア(アジアバドミントン連盟)が、競技振興のため11月にスタートさせたプロモーションイベント「エリートツアー」のメンバーに、リー・チョンウェイ選手、ヘンドラ・セティアワン選手、中国のトップ選手らとともに組み込んだ。公式戦出場は日本側の処分解除を待つよりないが、処分から1年半余りを経て、今できる範疇で何らかの機会を提供しようとする日本以外の関係者はいる

一方、大堀選手はかつてプレーしたプチョンユナイテッドBCの一員として、2シーズンぶりにパープルリーグに戻った。1戦目に勝利した後、BadPaL が直接話を聞くと、年内に日本で行われる「S/Jリーグ」への出場がないため、試合勘をつかんでおく目的で参戦を決めたことを明かし、年内はマレーシアに滞在する予定と説明した
また、全日本総合選手権準優勝で晴れてA代表として迎える来シーズンに向けた抱負を聞くと、「経験させてもらえない」B代表とA代表の差を強く感じてきたという今年1年を踏まえ、「やっとスタート地点に立った感じ」と率直な気持ちを吐露した
これまで主戦場としてきたグランプリ(GP)ゴールドでは今シーズン2勝(チャイナマスターズ、USオープン)、通算3勝を挙げているが、ライバルの多くがGPゴールド優勝を経て次のステージに進んでいく中、「目標はそこじゃない」という思いが常にあった。しかし、B代表のため上位大会スーパーシリーズ(SS)への出場機会は制限される。ただ、A代表入りを決める全日本総合選手権では勝てない、そうした葛藤を抱えていたという
さらに、GPゴールドは自信を持って大会に臨めていたが、何度か出場機会のあったSSでは、たとえGPゴールドで対戦したのと同じ相手でも、自信がなかったと認める。その上で来シーズンの目標は、世界ランク10位内という具体的な数字を示しながらも、それ以上に、「上位大会を1年間回り続けて、フィジカル、メンタル両面で多くのことを感じ、自信を持って上位大会のコートに立てるようになること」と強調した
先ごろSSファイナルを制した山口茜選手については、「率直にすごいなと感じた」と強さを認めながら、「越えられない壁ではない」と闘争心ものぞかせた。とりわけ世界選手権、ファイナルという大舞台でも結果を残し、既に世界の上位にいる奥原希望選手、山口選手に対する焦りはないか聞くと、「焦りはないが、早く追いつきたい。やはり焦りかな」と笑顔で答えた
田児選手、大堀選手とは異なり、今回がパープルリーグ初参戦となる七十七銀行に所属する杉野、樋口両選手は揃ってカポンBCにメンバー登録。S/Jリーグの年内最終戦、24日の日本ユニシスとの試合を終えた後、12月27、28、30日、1月6日のいずれかに出場することが予想される
各クラブ2試合ずつ終えた時点の暫定順位(※最終順位6位までが決勝トーナメント進出)
【1位】プチョンユナイテッドBC:2勝(得失ゲーム数:30-5)
【2位】プタリンBC:2勝(23-15)
【3位】アンパンジャヤBC:2勝(22-14)
【4位】カポンBC:1勝1敗(19-20)
【5位】スルダンBC:2敗(16-22)
【6位】チェラスBC:2敗(16-22)
【7位】プタリンジャヤBC:1勝1敗(14-23)
【8位】バングサホークスBC:2敗(8-27)
8クラブの主な登録選手(※登録選手が必ず出場するとは限らない)
◆アンパンジャヤBC~チャン・ペンスーン、ゴー・ジンウェイ、ズルファドリ・ズルキフリ(マレーシア)、グエン・ティエンミン(ベトナム)、マルキス・キド(インドネシア)、シュー・ウェイ(中国)
◆バングサホークスBC~アナ・ロビタ、フェビー・アングニ、ケシャ・ヌルビタ・ハナディア(インドネシア)、ワン・チアシン、チェン・ユーチエ(台湾)、シェン・ヤビン(中国)
◆チェラスBC~トミー・スギアルト、ヘンドラ・アプリダ・グナワン(インドネシア)、チョン・ウェイフェン、タン・ブンヒョン、モハマド・アリフ・アブドラ・ラティフ(マレーシア)、ダニー・バワ・クリスナンタ、ヒー・テリー・ヨンカイ/タン・ウェイハン (シンガポール)
◆カポンBC~ヤン・ポハン、リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン(台湾)、ゴー・スーンフアト、ホー・エンメイ(マレーシア)、杉野文保、樋口奈津樹(日本)
◆プタリンBC~リー・チョンウェイ、ゴー・ウェイシェム、イスカンダー・ズルカルナイン・ザイヌディン、リム・インフイ(マレーシア)、田児賢一(日本)、アラムシャ・ユヌス、デビ・ティカ・ぺルマタサリ(インドネシア)、ツァン・ベイウェン(アメリカ)
◆プタリンジャヤBC~キム・サラン、シン・ベクチョル(韓国)、リー・チュクイウ、タン・チュンマン/オール・チンチュン(香港)、コシット・ペトプラダブ、ボディン・イサラ(タイ)、ゴー・ギアプチン、ウーン・ケーウェイ(マレーシア)
◆プチョンユナイテッドBC~チョウ・ティエンチェン(台湾)、ユ・ヨンソン、イ・ヒョジョン(韓国)、ワン・ツェンミン、デン・シュエン(中国)、ウェイ・ナン(香港)、ダレン・リュー、リム・キムワー、タン・キアンメン/ライ・ペイジン、シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア)、大堀彩(日本)
◆スルダンBC~リー・ヅージア、リョン・ジュンハオ、リー・インイン(マレーシア)、ツェン・ミンハオ(台湾)、ルー・チンヤオ/チェン・シャオフアン(台湾)、シュー・イーミン(中国)