香港オープンSS2回戦、B代表の金子祐樹・井上拓斗組が、世界選手権覇者ツァン・ナン/リュウ・チェン組(中国)をフルゲームの末に破り、ベスト8に入った
金子・井上組は、初対戦ながら、世界チャンピオン相手にも臆することなくぶつかり、第1ゲームを先取。第2ゲームは奪われタイとなるが、ファイナルゲーム、最終盤に追い上げに遭ったものの、21-19で振り切った
金子、井上両選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「最初は、(五輪、世界選手権をはじめ幾多のタイトルを獲得している)ツァン・ナン選手とやれてうれしい。いいラリーができればと言う感じで試合に入った」(井上)と明かした。しかし、途中でリュウ・チェン選手が引いているのが分かり、そのうち、ツァン・ナン選手にもミスが出るようになって、「勝つなら今回しかない」と気持ちが変化したという
一方で、ファイナルゲームの最後、相手の追い上げを許した場面を振り返り、「無意識のうちに引いてしまっていた部分があった。リードしているのはこっちなのだから、攻められてもより大胆に」(金子)と、世界チャンピオンを破った直後ながら、勝利の喜びとともに、反省、改善点も挙げた
全日本総合選手権を翌週に控え、2人にとってのこの大会の意義を尋ねると、「(SSへの出場機会の少ない)B代表として、SSで結果が欲しい、世界ランク上昇につながるランキングポイントが欲しい、という意識で今大会に臨んでいる」(井上)と答えた。また、「ジャパンオープンで決勝進出という結果を残してから最初のSSになるが、早い回で簡単に負けるわけにはいかないと、意識に変化が生まれてきている」(金子)と説明した
男子ダブルスでは小林優吾・保木卓朗組も強豪相手の2回戦に臨んだが、こちらは世界ランク1位、マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ組(インドネシア)に跳ね返され、番狂わせは起こせなかった
これでギデオン/サンジャヤ組には7連敗となったが、「前回対戦したジャパンオープンの時より、最後、点数は取れなかったが、手ごたえは感じられた」という。それでも、「相手は前週の中国オープンを含め常に勝っている。彼らのようになっていくには、勝つか負けるかの違いは大きい」と指摘し、立ち止まらず挑戦を続ける決意を確認した。なお、今シーズンのSS第11戦、中国オープン終了時点のSSランクで8位につけている小林・保木組が自力で出場権を獲得できるかどうかは、逆転の可能性を残すSSランク10位のウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ組(ロシア)が今大会、決勝まで進めるかどうかにかかっている
女子ダブルスでは、前日、SSファイナル出場権を確保した日本の2ペア、米元小春・田中志穂組と福島由紀・廣田彩花組が、1回戦に続いてこの日もそろって勝ち、準々決勝に進んだ
この種目ではもうひとペア、永原和可那・松本麻佑組も勝ってベスト8入り。B代表のため限定される、貴重なSS出場の機会を活かし、着実に勝ち上がっている
試合後、BadPaL に対し、「SSで対戦するのは格上ばかり。向かっていくだけ」と、今大会に向かう明確なスタンスを示した。同時に、ここで自分たちのプレーを出し切り、A代表を入りを狙う次週の全日本総合選手権に向けた、良い「調整」にしたい意向も明確にしている
シングルス陣は、女子4人が2回戦に進んだが、この日勝ったのは、佐藤冴香選手との同国対決を制した山口茜選手ただひとり
山口選手に試合後、BadPaL が、この日の勝利で今シーズンのSS12戦すべてベスト8以上の成績を収めたことへの感想を求めると、「8シードだから当たり前にも見えるが、守り切れている。ダメなときも踏みとどまることができた」と自己評価、昨年からの成長のあかしの1つに位置づけた
一方、決勝まで進んだデンマークオープン、フレンチオープン。S/Jリーグ開幕戦を挟んで、優勝した前週の中国オープンに続く連戦で、疲れがたまってきていることを認める。その上で、翌週から始まる全日本総合選手権に向け、「万全な状態でやりたい、万全でやらないと厳しい」と指摘する。ただ、「目の前の試合を精一杯やりたい」と強調。先のことは考えられないが、それが今大会、いい方に作用していると述べた
女子シングルスのほかの2人、大堀彩選手と高橋沙也加選手はそれぞれ、現在、世界トップに立ち並ぶプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手(インド)、タイ・ツーイン選手(台湾)に力及ばず、ストレート負け。2回戦敗退となった
男子は、今大会この日が初戦となった坂井一将選手が、第1ゲームを失いながら、世界トップ10につけるプラノイ・ハシーナ・スニルクマール選手(インド)を逆転で降し、2年前に続き、香港オープンでベスト8入りした
坂井選手は試合後、1回戦で対戦予定だった第1シード、ビクター・アクセルセン選手の棄権により巡ってきた好機を逃さず、昨年のこの大会の結果(ベスト16)を上回ることができたことを喜んだ。さらに、アナース・アントンセン選手と対戦する準々決勝も「チャンスがある」と指摘し、この大会、さらに上へ進むことに強い意欲を見せた
来年の日本代表を決める全日本総合選手権を来週に控えるが、と水を向けると、「全日本総合は大事」としながらも、「世界で勝つこと、海外で結果を残すことを目指している」ときっぱり。現在、日本男子シングルス陣では最上位の23位(=23日更新)につける世界ランクを16位内に引き上げることを当面の目標にしていると述べた
ただそのためには、第2ゲームからペースを上げたきょうのような試合内容では不十分と認め、世界1位のビクター・アクセルセン選手や、復帰後、調子を上げてきている桃田賢斗選手らに勝つには、最初からフルスピードで勝負できるかがカギになると指摘した
日本ペア同士の対決となった混合ダブルスは、ジャパンオープン準優勝の若い保木卓朗・廣田彩花組が、リオデジャネイロ五輪ベスト8のベテラン数野健太・栗原文音組を破り、準々決勝へと駒を進めた
数野・栗原組は2回戦敗退となったが、SSファイナル出場権をかけたレースで後ろから追いかけてきていた台湾ペア、ワン・チリン/リー・チアシン組が同じく敗れたことで、SSランク9位を確保。上位にいる中国3ペアのうち1ペアは出場できないため、実質8番手として、SSファイナルへの切符を手にした。ただ、数野選手は次週の全日本総合にエントリーしておらず、SSファイナルに出場するのかどうか、現時点では不透明だ
日本選手2回戦の結果
【男子シングルス】
プラノイ・ハシーナ・スニルクマール(インド、世界10位)<21-11,10-21,15-21>坂井一将(世界25位※予選繰り上がり)
【女子シングルス】
山口茜(世界4位)<24-26,21-16,21-12>佐藤冴香(世界13位)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界2位)<21-14,21-17>大堀彩(世界14位)
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)<21-17,21-13>高橋沙也加(世界22位)
【男子ダブルス】
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、世界4位)<18-21,21-17,19-21>金子祐樹・井上拓斗(世界13位)
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界1位)<21-18,13-21,21-14>小林優吾・保木卓朗(世界19位)
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(世界5位)<21-15,21-7>シン・スンチャン/イ・ユリム(韓国、世界ランクなし)
米元小春・田中志穂(世界6位)<21-19,21-13>ウーン・ケーウェイ/フー・ビビアン・カームン(マレーシア、世界16位)
永原和可那・松本麻佑(世界14位)<21-12,21-15>イ・ソヒ/キム・ヘリン(韓国、世界328位)
【混合ダブルス】
数野健太・栗原文音(世界16位)<19-21,21-18,17-21>保木卓朗・廣田彩花(世界60位)
準々決勝の対戦カード(※これ以降、24日更新の世界ランキングを反映)
【男子シングルス】
アナース・アントンセン(デンマーク、世界13位)対坂井一将(世界23位※予選繰り上がり)
チェン・ロン(中国、世界4位)対イ・ドンクン(韓国、世界43位※予選勝ち上がり)
シー・ユーチ(中国、世界5位)対リン・ダン(中国、世界8位)
ソン・ワンホ(韓国、世界2位)対リー・チョンウェイ(マレーシア、世界6位)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)対チェン・ユーフェイ(中国、世界8位)
ソン・ジヒョン(韓国、世界5位)対ホー・ビンジャオ(中国、世界9位)
ラッチャノク・インタノン(タイ、世界6位)対ミッシェルリ(カナダ、世界22位)
山口茜(世界2位)対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界3位)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界1位)対タン・ウィーキョン/オン・ユーシン(マレーシア、世界100位)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界3位)対ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ(ロシア、世界8位)
金子祐樹・井上拓斗(世界12位)対モハンマド・アーサン/ライアン・アグン・サプトロ(インドネシア、世界13位)
マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界6位)対ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ(台湾、世界11位)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界1位)対永原和可那・松本麻佑(世界14位)
福島由紀・廣田彩花(世界5位)対ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、世界10位)
米元小春・田中志穂(世界6位)対ホワン・ドンピン/リ・ウェンメイ(中国、世界355位)
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、世界17位)対ホワン・ヤチオン/ユー・シャオハン(中国、世界18位)
【混合ダブルス】
ヒー・テリー・ヨンカイ/タン・ウェイハン(シンガポール、世界19位)対保木卓朗・廣田彩花(世界49位)
リャオ・ミンチュン/チェン・シャオフアン(台湾、世界48位)対マシアス・クリスチャンセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界69位)
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界6位)対タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、世界9位)
マーク・ラムスフス/イザベル・ハートリッヒ(ドイツ、世界24位)<棄権>ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界75位)