ジャパンオープンSS2回戦、日本の女子に注目が集まる中、男子ダブルスの金子祐樹・井上拓斗組がこの日も勝って、着実にステップアップしてきていることを証明。世界ランク上位を狙う選手にとってクリアすべき最低ライン、SSベスト8を確保した
金子・井上組は2012年世界ジュニア選手権・千葉大会で準優勝し、鳴り物入りでシニアの大会へ進んだが、グランプリ(GP)以上の大会で結果が出せず、後から追いかけてきた小林優吾・保木卓朗組に世界ランクでも抜かれ、日本3番手に沈んでいた。しかし今シーズン、6月のオーストラリアンオープンで初めてSSでベスト8入りを果たすと、7月のUSオープンではSSの1つ下、GPゴールドを初制覇。初出場を果たした8月世界選手権は、ライバルの小林・保木組を破ってベスト16に入るなど、結果を残し始めている
金子・井上組は試合後、BadPaL らの取材に応じ、2度目の挑戦となるSS準々決勝について、「勝ちたいとはもちろん思うが、勝たなければと考えてしまうと固くなる。自分たちが下なので、向っていくだけ」と、控えめな表現にとどめた。ただ、ほかのSSに比べるとベスト4入りをかけて戦う相手としてはくみしやすいとの認識を示し、「チャンスだとは思う」と述べ、ベスト4、さらに上をうかがう意欲をのぞかせた
男子ダブルスではほかに、相手棄権により1回戦不戦勝となったエースの園田啓悟・嘉村健士組がこの日初戦を迎え、韓国ユ・ヨンソン選手とマレーシアのリム・キムワー選手のペアをストレートで破って、順当にベスト8入りした
男子シングルス唯一の勝ち残り、西本拳太選手は、世界選手権を制したビクター・アクセルセン選手(デンマーク)に果敢に挑んだが、現時点での実力差は否定できず、ストレート負け。5種目中、この種目の日本勢は姿を消した
女子シングルスは、ベスト16の6枠を日本人が占めたが、同国対決に敗れた川上紗恵奈と鈴木温子の2人が消え、4人がベスト8に残った。中でも気を吐いたのは、高橋沙也加選手。世界ランクでも上位に位置する好調の日本勢の中でトップ20の外、7番手ながら、国際大会では勝ったことのなかった5番手の川上紗恵奈選手をフルゲームの末に降して、ベスト8に食い込んだ
この種目、もう一つの同国対決は、日本3番手の大堀彩選手が同8番手の鈴木温子に競り合いに持ち込まれながらもきっちりストレートで仕留めて、昨年に続いて自国開催のSSでベスト8に残った。世界ランク上位との対戦が待つここから先が、大堀選手にとって真の勝負となる
一方、世界選手権、韓国オープンSSの2つの決勝を続けて戦った注目の2人、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手(インド)と奥原希望選手の対戦は、前週の韓国オープンで優勝したプサルラ選手に終盤18-16とリードした場面からミスが続き、第1ゲームを落とす。続く第2ゲームは勢いを得た奥原選手がほぼ一方的に得点を重ねて、ストレートで勝利。所要時間は「わずか」48分で、世界選手権決勝(110分)の半分にも満たなかった
日本からはもう1人、2013年に日本人で初めてジャパンオープンを制した20歳の山口茜選手が、同年の世界ジュニア選手権でも勝っている同年代の韓国キム・ヒョミン選手を退けて、日本勢として4つ目の準々決勝枠を確保した。準々決勝では、リオデジャネイロ五輪金メダルのカロリナ・マリン選手(スペイン)との8度目の対戦に臨む。ここまでの通算対戦成績は、山口選手の3勝4敗
女子ダブルスのベスト16にも、日本から10ペアが残っていたが、この日の試合を勝ち抜いたのは半分の5ペア。今シーズンSS優勝実績のあるA代表3ペアのほか、同国対決に勝利した福万尚子・與猶くるみ組と新玉美郷・渡邉あかね組が加わった。世界選手権を制した中国チェンチンチェン/ジア・イーファン組を破った新玉・渡邉組は、前日1回戦に挙げた金星を無駄にすることなく、準々決勝に進んだ
混合ダブルスは、日本から4ペアがこの日の試合に臨んだが、リオ五輪ベスト8の数野健太・栗原文音組を含む3ペアが敗退。ただ、予選勝ち上がりの保木卓朗・廣田彩花組が前週、韓国オープンに続きベスト8入り。進撃を続けている
日本選手2回戦の対戦カード
【男子シングルス】
ビクター・アクセルセン(デンマーク、世界2位)<21-17,21-18>西本拳太(世界61位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】
山口茜(世界2位)<21-12,18-21,21-8>キム・ヒョンミ(韓国、世界41位※予選勝ち上がり)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界4位)<18-21,8-21>奥原希望(世界9位)
大堀彩(世界13位)<21-17,24-22>鈴木温子(世界51位※予選勝ち上がり)
川上紗恵奈(世界20位)<13-21,21-17,13-21>高橋沙也加(世界23位)
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(世界4位)<21-19,21-18>ユ・ヨンソン/リム・キムワー(韓国/マレーシア、世界ランクなし)
ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、世界17位)<19-21,19-21>金子祐樹・井上拓斗(世界18位)
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界3位)<21-13,11-21,21-18>小林優吾・保木卓朗(世界22位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)<21-15,12-21,21-15>グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、世界66位)
福島由紀・廣田彩花(世界6位)<21-12,21-13>ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、世界14位)
米元小春・田中志穂(世界8位)<21-14,19-21,21-9>志田千陽・松山奈未(世界53位※予選勝ち上がり)
福万尚子・與猶くるみ(世界10位)<21-12,12-21,21-6>久後あすみ・横山めぐみ(世界92位※予選勝ち上がり)
新玉美郷・渡邉あかね(世界45位)<14-21,21-17,21-17>加藤美幸・柏原みき(世界78位※予選勝ち上がり)
キム・ソヨン/チェ・ユジョン(韓国、世界18位)<19-21,21-15,21-15>櫻本絢子・髙畑祐紀子(世界38位)
篠谷菜留・星千智(世界33位※予選繰り上がり)<16-21,17-21>キム・ハナ/コン・ヒヨン(韓国、世界182位※予選勝ち上がり)
【混合ダブルス】
リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界9位)<23-21,21-14>数野健太・栗原文音(世界17位)
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界2位)<21-13,21-13>小林優吾・松友美佐紀(世界91位)
プラナーブ・ジェリー・チョプラ/ネラクリヒ・シキ・レディ(インド、世界20位)<21-13,21-17>金子祐樹・米元小春(世界287位※予選勝ち上がり
ゴー・スーンフアト/シェブロン・ジェミー・ライ(マレーシア、世界18位)<16-21,25-23,20-22>保木卓朗・廣田彩花(世界435位※予選勝ち上がり)
準々決勝の対戦カード(※これ以降、21日更新の世界ランキングを反映)
【男子シングルス】
ソン・ワンホ(韓国、世界1位)対リン・ダン(中国、世界3位)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、世界2位)対キダンビ・スリカンス(インド、世界8位)
チョウ・ティエンチェン(台湾、世界5位)対リー・チョンウェイ(マレーシア、世界7位)
シー・ユーチ(中国、世界4位)対H.S.プラノイ(インド、世界19位)
【女子シングルス】
チェンユーフェイ(中国、世界10位)対大堀彩(世界13位)
ホー・ビンジャオ(中国、世界7位)対高橋沙也加(世界23位)
奥原希望(世界8位)対ツァン・ベイウェン(アメリカ、世界11位)
山口茜(世界4位)対カロリナ・マリン(スペイン、世界5位)
【男子ダブルス】
金子祐樹・井上拓斗(世界17位)対テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア、世界18位)
園田啓悟・嘉村健士(世界4位)対ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ(ロシア、世界13位)
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界2位)対アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク、世界12位)
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界1位)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界6位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対米元小春・田中志穂(世界8位)
チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界4位)対福島由紀・廣田彩花(世界5位)
福万尚子・與猶くるみ(世界9位)対新玉美郷・渡邉あかね(世界43位)
キム・ソヨン/チェ・ユジョン(韓国、世界16位)対キム・ハナ/コン・ヒヨン(韓国、世界122位※予選勝ち上がり)
【混合ダブルス】
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界2位)対ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界9位)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界5位)対ワン・チリン/リー・チアシン(台湾、世界23位)
プラナーブ・ジェリー・チョプラ/ネラクリヒ・シキ・レディ(インド、世界19位)対ソ・スンジェ/キム・ハナ(韓国、世界50位)
リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界12位)対保木卓朗・廣田彩花(世界435位※予選勝ち上がり)