
アジアジュニア選手権個人戦、男子シングルスの渡辺勇大選手、女子シングルスの荒木萌恵選手、女子ダブルスの志田千陽・松山奈未組がベスト4に残り、この時点でメダルを確定させた。ただいずれの選手も満足しておらず、より良い色のメダルを狙う、と明言している
準々決勝で第1シードのインドネシア選手をストレートで破った渡辺選手は試合直後、BadPaL に対し、まず「率直にうれしい」と勝利の感想を述べた。午前中の試合を終え、数時間後に行われたこの日2試合目だったが、「気持ちの切り替え、準備がしっかりでき、マックスのテンションで試合に入れたのが勝因」と振り返った。また今大会ここまでと同様、23-21までもつれたものの、第1ゲームを取れたのが大きかったことを認めた
「足が止まり、相手のスピードに合わせてしまった」と明かした第2ゲームの16点辺りで追い上げに遭い、ようやく抜け出したと思った矢先、勝敗を決める重要な局面で主審にタッチネットを取られた。その時の心の動揺具合を聞くと、「自分のポイントだったんで嫌な感じは持ったが、努めて表情に出さないようにした」と説明した、
準決勝で対戦する昨年の世界ジュニア選手権覇者、中国リン・グェイプ選手については、「一戦交えることはないかなと思っていた」と冗談交じりに話しながら、「団体戦で(彼のプレーを)見ている。(シングルス選手としての)自分のことが相手に分からないのは、こちらに有利に働く」と笑みを見せた。その上で、ダブルスで取れなかった金メダルをシングルスで狙うと意気込んだ

日本選手4人がベスト8に残った女子シングルスで、唯一準決勝への切符をつかみ取った荒木選手。午前中の3回戦で第2シードのインドネシア選手とフルゲームを戦っていたが、午後に行われた準々決勝でも相手を果敢に攻めたて、序盤に主導権を握るとそのまま押し切り、21-18,21-13のストレート勝ちを収めた、
荒木選手は BadPaL に対し、「うれしい」と笑顔を見せた後、「身長のある相手だったが、攻めてみたらとれないところがあるのが分かった」と、試合全般を通じて攻勢に出た戦略を説明した。午前中の試合を終えてから準々決勝が始まるまでの数時間、どのように過ごしたか尋ねると、「自分はすぐ動きたくなるタイプなので、(同じく準々決勝に進んだ)同部屋の仁平菜月選手を見習って静かにしていた」と笑った
これでメダルは確保したが、準決勝に向けた意気込みを尋ねると、「ここまできたらもっと良い色のメダルを」と語気を強めた。さらに、この時点でまだ決まっていなかった対戦相手について聞くと、「本当は(川上紗恵奈選手との)日本人対決はやりたくない」と本音を漏らしながら、「くると思って準備はする」と答えた(※その後、川上選手が敗れ、対戦相手はタイの選手に決まる)

女子ダブルスの志田・松山組は午前中の試合で、目標とするメダル獲得に向け最大の障壁だった第1シードのインドネシアペアを、21-19,22-20のストレートで破った。数時間後に始まった準々決勝でも、「準備は十分できていた」と試合後語った通り、勢いに乗って台湾ペアを圧倒。リードした中で雑なプレーも散見されたが、終始試合をコントロールしたまま勝ちをたぐりよせた
志田・松山組は試合後、BadPaL に対し、「第1シードを倒してつかんだチャンスを逃さず、目標のメダルが取れて良かった」と喜びを語った
準決勝では、優勝候補筆頭の中国チェン・チンチェン/ジア・イーファン組が待ち構える。志田選手は「もちろん勝ちにいくが、とにかく力を出し切って悔いを残さないこと」。松山選手は「挑戦者として向かっていく。自分ができることはすべてやりたい」と抱負を述べた
一方、日本から同じく準々決勝に臨んだ女子シングルスの川上紗恵奈、仁平菜月、齋藤栞の3選手と、女子ダブルスの髙畑祐紀子・小野菜保組は敗れ、メダルには手が届かなかった




------------------------------------
個人戦は、中国と韓国による男女混合団体戦決勝に続いて1日午後からスタートしたが、いきなり男子ダブルスのエースペアの初戦敗退という波乱の幕開けとなった

昨年、銅メダルを手にした渡辺勇大・三橋健也組には今大会、ダブルス種目日本初の金メダル獲得の期待があった。しかしふたを開けてみると、個人戦初日にマレーシアペアによもやのストレート負け。全種目を通じ、日本で唯一、1回戦突破に失敗した
一夜明けて、BadPaL はあえて渡辺、三橋両選手に別々に話を聞いた。渡辺選手は、「悪いプレーはしていなかった。問題はむしろコンディションや気持ちなど試合に入る前の準備の部分。団体戦が終わって個人戦への切り替えが十分できていなかった」
三橋選手は「(男子ダブルス1回戦の前に行われた)団体戦決勝を観戦していて、自分たちも決勝の舞台に立ちたいと先を見てしまい、目の前の一戦一戦に対する気持ちが欠けていたと思う。足元をすくわれた感じ。団体戦から個人戦への気持ちの切り替えができなかった。銅メダルを獲得した昨年は個人戦だけだったので集中していた。このくやしい敗戦をばねに世界ジュニアで勝ちた い」
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】 渡辺勇大〈不戦勝〉、三橋健也〈不戦勝〉、小倉由嵩〈不戦勝〉、小川桂汰〈不戦勝〉
【女子シングルス】 川上紗恵奈(第3シード)〈21-1,21-4〉ダッシュドンドブ・ブルガマア(モンゴル)、仁平菜月(第7シード)〈21-19,21-17〉グエン・チュイリン(ベトナム)、荒木萌恵〈21-14,21-18〉チャン・ナラ(韓国)、齋藤栞〈21-3,21-6〉ダヤラスン・ヤスミサ・サンカペール(スリランカ)
【男子ダブルス】 渡辺勇大・三橋健也〈17-21,19-21〉グオ・ツェンシム/テンフォン・アーロンチア(マレーシア)、小川桂汰・森岡秀斗〈21-18,21-17〉ロク・ラムワイ/チャク・チャンイン(香港)、酒井健登・渡邉航貴〈21-15,21-13〉ミンハズ・モハンマド/モアジャム・ホセイン(バングラデシュ)
【女子ダブルス】 志田千陽・松山奈未〈不戦勝〉、斉藤ひかり・曽根夏姫〈不戦勝〉、髙畑祐紀子・小野菜保〈21-8,21-12〉サンジャナ・サントシュ/アノウシュカ・パンクー(インド)
【混合ダブルス】 森岡秀斗・志田千陽〈21-5,21-5〉ラシンサ・リダム・デシルバ/ハサラ・チャスムハン・ウィジャヤラスン(スリランカ)、 酒井健登・斉藤ひかり〈21-8,21-9〉サチンサ・ラジャパクサ/サヌシ・アヌサラ・ラトナヤカ(スリランカ)、小野寺雅之・曽根夏姫〈21-11,21-14〉シャミカ・ハサランガ・デシルバ/ハシニ・ヌサカ・アムバランゴダージ(スリランカ)、渡邉航貴・松山奈未〈21-7,21-3〉チェ・プイガイ/レイ・チャンキット(マカオ)
------------------------------------
日本選手2回戦の結果
【男子シングルス】 渡辺勇大〈21-9,21-11〉プイ・パンフォン(マカオ)、カンタポン・ワンチャロン(タイ、第5シード)〈21-15,21-19〉三橋健也、パンジ・アーマド・マウラナ(インドネシア、第12シード)〈21-16,16-21,21-19〉小倉由嵩、キティポン・イムナーク(タイ、第14シード)〈20-22,9-21〉小川桂汰
【女子シングルス】 川上紗恵奈(第3シード)〈21-15,21-9〉サラ・ジョイ・バレド(フィリピン)、仁平菜月(第7シード)〈21-16,21-12〉ヴルシャリ・グマディ(インド)、荒木萌恵〈21-16,21-10〉スー・ウェンチ(台湾)、齋藤栞〈21-9,21-8〉マリヤ・アンヘラ・セビリヤ(フィリピン)
【男子ダブルス】 リム・スミン/イ・ホンスブ(韓国、第4シード)〈21-10,21-10〉小川桂汰・森岡秀斗、リン・ヨンシェン/チエン・フンジュ(台湾)〈21-23,21-12,21-16〉酒井健登・渡邉航貴
【女子ダブルス】 志田千陽・松山奈未〈21-9,21-18〉ショウ・ハオシェン・デシリー/チョン・アナ・チンイク(マレーシア)、斉藤ひかり・曽根夏姫〈21-8,21-4〉ハサラ・チャスムハン・ウィジャヤラスン/ブスミ・アシニ・ガラガマージ(スリランカ),髙畑祐紀子・小野菜保〈21-9,21-17〉スパマート・ミンチュア/ラウィモン・イアムラタナマエティークン(タイ)
【混合ダブルス】 カンタワト・リーラべチャブトル/キラス・オスターメイヤー(タイ)〈21-17,21-19〉森岡秀斗・志田千陽、 酒井健登・斉藤ひかり〈21-17,21-12〉ホアキン・ラファエル・デアト/セア・マリー・ポマー(フィリピン)、ファクンザ・アビマニュ/アプリアニ・ラハユ(インドネシア、第7シード)〈21-19,21-17〉小野寺雅之・曽根夏姫、チェ・ジョンウ/キム・へジョン(韓国、第2シード)〈22-20,21-16〉渡邉航貴・松山奈未
------------------------------------
日本選手3回戦の結果
【男子シングルス】 R.サセイシサラン(マレーシア、第8シード)〈23-25,12-21〉渡辺勇大、シニ・ヴェルマ(インド)〈21-19,21-13〉小川桂汰
【女子シングルス】 川上紗恵奈(第3シード)〈21-11,21-17〉チェン・シャオシン(中国)、仁平菜月(第7シード)〈21-10,21-9〉クンジラ・コンディー(タイ)、グレゴリア・マリスカ(インドネシア、第2シード)〈14-21,21-19,10-21〉荒木萌恵、スパニダ・カテトン(タイ、第5シード)〈6-21,19-21〉齋藤栞
【女子ダブルス】 ジャウザ・ファディラ・スギアルト/アプリアニ・ラハユ(インドネシア、第1シード)〈19-21,20-22〉志田千陽・松山奈未、パク・クネ/キム・ヘジョン(韓国、第5シード)〈21-19,21-8〉斉藤ひかり・曽根夏姫、ウォン・クリスタル・ジアイン/チュア・エレイン・イーリン(シンガポール、第7シード)〈10-21,13-21〉髙畑祐紀子・小野菜保
【混合ダブルス】 ベノ・ドラジャット/ユルフィラ・バーカー(インドネシア、第4シード)〈21-14,21-16〉酒井健登・斉藤ひかり
------------------------------------
日本選手4回戦の結果
【男子シングルス】 渡辺勇大〈21-18,21-6〉チェン・チュンウェイ(台湾)
------------------------------------
準々決勝の結果
【男子シングルス】
フィルマン・アブドゥル・コーリク(インドネシア、第1シード)〈21-23,16-21〉渡辺勇大
カンタワト・リーラベチャブトル(タイ、第3シード)〈13-21,14-21〉リン・グェイプ(中国、第6シード)
ソ・スンジェ(韓国、第3シード)〈21-17,21-15〉カンタポン・ワンチャロン(タイ、第5シード)
ルー・チアフン(台湾、第7シード)〈21-15,21-11〉フェガ・フィオ・ニルワンダ(インドネシア、第9シード)
【女子シングルス】
ホー・ビンジャオ(中国、第1シード)〈21-7,13-21,21-13〉仁平菜月(第7シード)
ゴー・ジンウェイ(マレーシア)〈21-18,14-21,21-18〉齋藤栞
川上紗恵奈(第3シード)〈21-23,12-21〉チョチュウォン・ポーンパウィー(タイ、第8シード)
荒木萌恵〈21-18,21-13〉M.シナー(マレーシア)
【男子ダブルス】
タン・チアン/レン・シャンユ(中国)〈21-12,21-17〉クリト・タンティアナンクン/メク・ナロンリト(タイ)
ウーイ・ツィヘン/ソー・ウーイイック(マレーシア)〈14-21,19-21〉ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国)
リム・スミン/イ・ホンスブ(韓国、第4シード)〈14-21,21-14,21-17〉シラグ・シェッティ/M.R.アルジュン(インド、第6シード)
ツェン・シウェイ/ホー・ジティン(中国、第2シード)〈21-18,21-15〉イ・ジュンス/パク・キュンフン(韓国)
【女子ダブルス】
志田千陽・松山奈未〈21-17,21-14〉イェ・ジュンツー/タイ・ウェイリン(台湾)
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第3シード)〈21-13,21-14〉キラス・オスターメイヤー/ルータイチャノク・ライスアン(タイ、第6シード)
リカ・ロシタワテイ/ニサク・プジ・レスタリ(インドネシア、第4シード)〈19-21,13-21〉パク・クネ/キム・ヘジョン(韓国、第5シード)
ドゥ・ユエ/リ・インフェイ(中国)〈21-11,21-11〉髙畑祐紀子・小野菜保
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、第1シード)〈21-11,21-9〉カンタワト・リーラベチャブトル/キラス・オスターメイヤー(タイ)
ファクリザ・アビマニュ/アプリアニ・ラハユ(インドネシア、第7シード)〈21-16,19-21,21-17〉ゴー・ツェフェイ/テオ・メイシン(マレーシア)
ベノ・ドラジャット/ユルフィラ・バルカー(インドネシア、第4シード)〈11-21,15-21〉ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第8シード)
チェ・ジョンウ/キム・ヘジョン(韓国、第2シード)〈21-17,21-16〉タン・ジンフア/ゴー・ジンウェイ(マレーシア)