It’s Akane, the youngest champion in SS history

Akane (R) and Shizuka
16 years old Akane (R)  made a history

1982年の第1回から今年32回目を数えるジャパンオープンで、初の日本人チャンピオンとなったのは、山口茜選手だった。打田しづか選手との同国対決を制し、これまで日本選手が誰もできなかった偉業を成し遂げた。同時に、2007年に始まったスーパーシリーズ(SS)の優勝者の最年少記録を塗り替えた

初出場した前回大会まで、ジャパンオープンのことをよく知らずに育った1997年6月生まれの16歳は今大会、アジアジュニア選手権を制した大堀彩選手に敗れ準優勝に終わった全日本ジュニア選手権から間をおかずに参戦。予選2試合、本戦5試合を勝ち抜き頂点に立った。途中、世界選手権銅メダルのインドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手、前年のジャパンオープンを含め既にSSで2勝を挙げている台湾のタイ・ツーイン選手という、先を走る同じ10代の世界のライバルも倒している

Akane YAMAGUCHI
Step by step ; Akane insists after winning Japan Open title

決勝は、「前夜はよく寝た」と明かした山口選手が試合全体を通じて主導権を握る。第1ゲームは「硬さが見えた」打田選手に一度もリードを許さぬまま21-15で快勝。第2ゲームは途中、「決め急いでしまった」ことが災いし、打田選手の追い上げにあう場面もあった。しかしすぐに修正し、大きな展開を心がけると、相手のミスも誘発して21-19で取り、ストレート勝ち。むしろあっけなくSS初タイトルを手にしてしまった

山口選手は試合後の記者会見で、「優勝するなんて思っていなかったので、実感が沸かない」とコメント。日本勢のジャパンオープン初優勝に加え、SS優勝者の最年少記録を塗り替えたことについては、「私なんかでいいのか」と少々困惑気味だ

シニアの大会ではあまり知られていなかった山口選手だが、今回のSS優勝で、世界に広くその名が知られることになる。BadPaL がこの点について感じるところを尋ねてみると、「1回勝っただけなので、おごらず1つ1つ進んでいきたい」と謙虚な答えが返ってきた。山口選手は今年4月、ニュージーランドオープングランプリ(GP)で準優勝した際、BadPaL の質問に答え、「海外の選手については知識が少なく、誰かに追い付くというよりは、 自信を持って自分のプレーを貫ける、試合・ラリーを楽しめるような選手になりたい」と目標を語っていた

ナショナルチームの女子シングルスコーチを務める佐藤翔治氏は BadPaL に対し、山口選手の強さについて、「バランスが悪い部分は見受けられるが、スキルがありラケットワークが上手い。ラリーもできる」と指摘。その上で、「しっかりコートの奥までシャトルを飛ばしていければ、体格(身長156センチメートル)の不利はない」と、自身の現役時代の経験も踏まえながら指示していると説明した

山口選手はこの後、予定していた9月のロシアオープングランプリ(GP)出場を回避。10月に開催される東アジア選手権(中国・天津)と世界ジュニア選手権(タイ・バンコク)に照準を合わせる。とりわけ世界ジュニアは、千葉開催の昨年、奥原希望選手に敗れ準優勝どまり。さらに、ケガで欠場した今年の世界ジュニアの前哨戦、アジアジュニア選手権ではライバルの大堀彩選手が日本勢で初めて女子シングルス優勝を飾っており、タイトル奪取に強い意欲をもって臨むことが予想される

Shizuka UCHIDA
Shizuka seems to regain confidence after defeating three SS champs in this tournament

一方、打田選手は惜しくも準優勝に終わったが、2回戦でタイのポーンティップ・ブラナプラサーツク選手、準々決勝で三谷美菜津選手、準決勝で中国ワン・イーハン選手と、いずれもSS優勝経験者から勝利を奪う活躍を見せ、その存在を強烈にアピールした。国際大会を転戦し世界の強豪と対戦することを希望する打田選手はこの結果を自信とし、12月の全日本総合選手権に勝って、ナショナルチームへの復帰を狙う

ChongWei beat TAGO
ChongWei beat TAGO in the SS final, again

また負けた――。田児選手が試合直後、BadPaL に向けて発した第一声はこうだ。これで対リー・チョンウェイ戦14連敗。「そろそろ勝たないと」と言い続けてはいるが、世界1位の実力を何度も肌で感じ、それが並大抵のことではないことを最も知っているのは田児選手自身。第1ゲーム、20-17と先に3つのゲームポイントを握りながら追いつかれ逆転された。第2ゲームはリードされながら終盤17点で追いつくが、そこから一気に引き離されストレート負け。点差以上に、世界のトップ選手としての総合力の違いをまたも見せつけられた

田児選手はこれまで5度、上位大会であるSSの決勝に進みながら、いずれもリー選手に敗れ、一度も優勝に手が届いていない。「1つ(SSタイトルが)取れれば変わると思う」とSS優勝を切望する田児選手に BadPaL が、決勝でほかの選手と当たりたいとは思わないかと尋ねると、「チョンウェイ以外となら勝つチャンスはもっと広がるので、ほかの選手と決勝で当たりたいと思う部分はある。ただ一方で、やはり最強のチョンウェイを破って手にするSSタイトルにこそ価値があるとも考える」と、正直な気持ちを語った

MS winners
MS medalists : Kenichi TAGO, LEE ChongWei, NGUYEN TienMinh and GAO Huan (from left)

初めて進んだあこがれのジャパンオープン決勝での敗北の要因を尋ねられ、「リー・チョンウェイ選手に比べてまだまだ弱い自分」と率直に認める田児選手。記者会見では「(チョンウェイが)早く辞めてくれないかな(笑)」と冗談交じりに話したが、他方、リー・チョンウェイ選手の強さに対峙することを「楽しい」と表現している間は、その伸びしろに期待したい

Bronze to Misaki-Ayaka
Bronze to Misaki / Ayaka

このほかの種目は、女子ダブルスが第1シードの中国マー・ジン/タン・ジンフア組が第3シードのデンマーク、クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ ユール組を寄せ付けずに完勝。昨年10月のデンマークオープンとフレンチオープン以来、約1年ぶりにSS優勝を飾った。なお今大会では、通常の1位と2位に加えて、3位まで表彰を行ったため、準決勝でデンマークペアに敗れた高橋礼華・松友美佐紀組が決勝の後、表彰台に上がり銅メダルを手にした

AHSAN-SETIAWAN
World champ AHSAN/SETIAWAN won in Tokyo

男子ダブルスは、世界選手権金メダルのインドネシア、ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン組が、日本のトップペア2組を連破して勝ち上がってきた中国ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ組に競り勝ち、マレーシアオープン、インドネシアオープン、シンガポールオープンに続く、今季SS4勝目。現在、韓国ペアが座っている世界ランク1位の奪取に向け、着実に結果(ランキングポイント)を積み重ねている

ZHAN-ZHAO
Olympic champ ZHAN/ZHAO shined Gold without playing the final

世界ランク1位と2位の中国ペア2組による対戦となった混合ダブルス決勝は、シュー・チェン/マー・ジン組が、シュー選手の体調不良を理由に棄権したため、今週世界1位に返り咲いたロンドン五輪金メダルのツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ組が労せず、前週のチャイナマスターズに続く、SS2週連続優勝を果たした

決勝の結果

【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈23-21,21-17〉田児賢一(世界5位)

【女子シングルス】 打田しづか(世界104位※予選繰り上がり)〈15-21,19-21〉山口茜(世界145位※予選勝ち上がり)

【男子ダブルス】 ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界2位)〈22-20,21-16〉ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界46位)

【女子ダブルス】 マー・ジン/タン・ジンフア(中国、世界2位)〈21-11,21-14〉クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ ユール(デンマーク、世界4位)

【混 合ダブルス】 ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、世界1位)〈棄権〉シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界2位)

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