世界選手権は27日、コペンハーゲンで各種目の決勝が行われ、奈良岡功大が2度目の挑戦で銀メダルを手にした。一方で、日本勢として2017年から5大会続いてきた金メダル獲得は途絶えた
男子シングルスでは、日本の1、2番手、奈良岡と西本拳太がともに初めてベスト8まで進み、中国シー・ユーチとの準々決勝に勝利した奈良岡だけがベスト4入り。3位決定戦が行われないため、この時点でまずメダルを確保した。世界選手権出場2回目でのメダル獲得は、2015年の桃田賢斗(銅メダル)に続くもの
準決勝は、準々決勝でH.S.プラノイに敗れメダルなしに終わったディフェンディングチャンピオン、ビクター・アクセルセンに代わり、開催国唯一の勝ち残りとなったアナース・アントンセンと対戦。アウェーの環境の中、勝利をつかみ取り、決勝進出を果たす。ただ決勝では、初めて対戦した9年前、13歳の時から競い合うクンラウット・ヴィティサンの前に屈し、優勝は逃した
奈良岡は決勝後、「ファイナルゲーム、(相手が)ゆっくりくると思ったが、速くきて押されてしまった」と敗因を振り返った。ただ、銀メダルという結果に思うところを聞かれると、「初めて出場した去年、(同じくクンラウットを相手に)2回戦負けで悔しくて、今年は準優勝できてすごくうれしい」と率直な感想を述べた。
BadPaL が長年取材してきているクンラウットに、準優勝した前回東京大会で、世界選手権決勝進出を果たした次は何に向かうか問うと「優勝を狙う」と明言していたが、見事、有言実行。タイの選手として男子シングルス史上初優勝という快挙を達成し、「世界ジュニア選手権3連覇」に続いて、「世界選手権制覇」という所属クラブの先輩ラッチャノク・インタノンと同じ足跡を刻んだ
2013年優勝のラッチャノクを筆頭に、カロリナ・マリン、奥原希望、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ、山口茜と、かつての「中国一強」を覆した5人のタイトルホルダーが揃った女子シングルス。ここでは今シーズン好調の第1シード、アン・セヨンが存在感を示し、準決勝で東京、決勝でリオデジャネイロの五輪金メダリスト2人に続けてストレート勝ち。男女を通じて韓国に初のシングルスの世界タイトルをもたらした
日本勢は2021年と22年優勝の山口茜と17年優勝の奥原が出場し、揃ってベスト8に残った。しかし奥原は準々決勝で初顔合わせのアン・セヨンに力及ばず、山口は準決勝で2015年以来16度目の対戦となったカロリナ・マリンに敗れ、決勝には進めなかった
それでも山口は、「負けてしまったので悔しさもあるが、それなりに今の状態でいいプレーは出せたとも思っている。前向きにとらえてまた次戦に向けがんばっていけたら」と述べた
また、度重なるケガと回復の遅れが続いたことでコートに立つことすらかなわない状態が続いていた奥原は BadPaL に対し、「結果はまだだが、手応えを確実につかめた大きな収穫のある大会にできたと思う」と、久しぶりに次につながるポジティブな言葉を返してきた
混合ダブルスは、第2シードの渡辺勇大・東野有紗が堅実に勝ち上がり、準々決勝で勢いのあるマレーシアのチェン・タンジエ/トー・イ―ウェイをしっかり抑えて、全種目通じて日本では前例のない4大会連続のメダルを確保した。しかし続く準決勝で、直近の4戦負けなしだった韓国のソ・スンジェ/チェ・ユジョンに敗れ、3大会連続の決勝進出は果たせなかった
渡辺が試合後、「強かった」と率直に認めたソ・スンジェ/チェ・ユジョンは続く決勝で、連覇を狙った第1シード、ツェン・スウェイ/ホワン・ヤチオンも破り、この種目、韓国勢として20年ぶりにタイトルをつかんだ
ソ・スンジェは、カン・ミンヒョクと組む男子ダブルスでも優勝し、2冠を達成した
女子ダブルスでは、第1シードのチェン・チンチェン/ジア・イーファンが3連覇(通算4度目の優勝)に成功。2連覇を記録していた中国の先輩ペア、ユー・ヤン/ワン・シャオリ(優勝:2011~13年※12年は開催なし)とツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(2014~15年)を超えた
これに対し日本は、奇しくも今回と同じコペンハーゲンがホストを務めた2014年の前田美順・垣岩令佳から7大会続いてきたメダル獲得が、ここで途絶えた
準々決勝(25日)の結果
【男子シングルス】
①ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)<21-13,15-21,16-21>H.S.プラノイ(インド、第9シード)
②クンラウット・ヴィティサン(タイ、第3シード)<18-21,21-15,21-13>ワン・ツーウェイ(台湾)
③奈良岡功大(第4シード)<21-10,21-19>シー・ユーチ(中国、第8シード)
④アナース・アントンセン(デンマーク、第12シード)<21-10,21-7>西本拳太(第14シード)
【女子シングルス】
①アン・セヨン(韓国、第1シード)<16-21,21-10,21-11>奥原希望
②チェン・ユーフェイ(中国、世界3位)<21-17,21-12>ワン・ジュ―イ(中国、世界10位)
③タイ・ツーイン(台湾、世界4位)<16-21,14-21>カロリナ・マリン(スペイン、世界6位)
④山口茜(世界2位)<21-16,21-18>グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア、世界8位)
【男子ダブルス】
①ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第8シード)<19-21,17-21>ソ・スンジェ/カン・ミンヒョク(韓国、第9シード)
②アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第4シード)<21-10,15-21,21-14>リュウ・ユーチェン/オウ・シュアンイ(中国、第6シード)
③ワン・チャン/リャン・ウェイケン(中国、第3シード)<21-18,15-21,21-14>バガス・マウラナ/ムハンマド・ショヒブル・フィクリ(インドネシア、第13シード)
④シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド、第2シード)<18-21,19-21>アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク、第11シード)
【女子ダブルス】
①チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-15,16-21,21-16>志田千陽・松山奈未(第7シード)
②ツェン・ユー/ツァン・シュウシエン(中国、第6シード)<17-21,21-17,21-19>ティナー・ムラリタラン/パーリー・タン(マレーシア、第10シード)
③キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)<21-19,21-19>ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第8シード)
④福島由紀・廣田彩花(第5シード)<18-21,21-13,10-21>アプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第11シード)
【混合ダブルス】
①ツェン・スウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-10,21-6>キム・ウォンホ/チョン・ナウン(韓国、第6シード)
②ジアン・ツェンバン/ウェイ・ヤシン(中国、第8シード)<21-16,21-18>マシアス・クリスチャンセン/アレキサンドラ・ボイエ(デンマーク、第11シード)
③デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)<12-21,16-21>ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第5シード)
④渡辺勇大・東野有紗 (第2シード)<21-11,21-11>チェン・タンジエ/トー・イ―ウェイ(デンマーク、第1シード)
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準決勝(26日)の結果
【男子シングルス】
①クンラウット・ヴィティサン(タイ、第3シード)<18-21,21-13,21-14>H.S.プラノイ(インド、第9シード)
②奈良岡功大(第4シード)<25-23,21-12>アナース・アントンセン(デンマーク、第12シード)
【女子シングルス】
①アン・セヨン(韓国、第1シード)<21-19,21-15>チェン・ユーフェイ(中国、世界3位)
②山口茜(世界2位)<21-23,13-21>カロリナ・マリン(スペイン、世界6位)
【男子ダブルス】
①アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第4シード)<21-23,13-21>ソ・スンジェ/カン・ミンヒョク(韓国、第9シード)
②ワン・チャン/リャン・ウェイケン(中国、第3シード)<21-17,18-21,19-21>アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク、第11シード)
【女子ダブルス】
①チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-14,21-16>ツェン・ユー/ツァン・シュウシエン(中国、第6シード)
②キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)<9-21,20-22>アプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第11シード)
【混合ダブルス】
①ツェン・スウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-18,21-16>ジアン・ツェンバン/ウェイ・ヤシン(中国、第8シード)
②渡辺勇大・東野有紗(第2シード)<15-21,13-21>ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第5シード)
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決勝(27日)の結果
【男子シングルス】クンラウット・ヴィティサン(タイ、第3シード)<19-21,21-18,21-7>奈良岡功大(第4シード)
【女子シングルス】アン・セヨン(韓国、第1シード)<21-12,21-10>カロリナ・マリン(スペイン、世界6位)
【男子ダブルス】ソ・スンジェ/カン・ミンヒョク(韓国、第9シード)<14-21,21-15,21-17>アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク、第11シード)
【女子ダブルス】チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-16,21-12>アプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第11シード)
【混合ダブルス】ツェン・スウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<17-21,21-10,18-21>ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第5シード)
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各種目のメダリスト
【男子シングルス】
金メダル: クンラウット・ヴィティサン(タイ、第3シード※前回銀)
銀メダル: 奈良岡功大(第4シード)
銅メダル: H.S.プラノイ(インド、第9シード)、アナース・アントンセン(デンマーク、第12シード)
【女子シングルス】
金メダル: アン・セヨン(韓国、第1シード※前回銅)
銀メダル: カロリナ・マリン(スペイン、世界6位)
銅メダル: 山口茜(第2シード※前回金)、チェン・ユーフェイ(中国、第3シード※前回銀)
【男子ダブルス】
金メダル: ソ・スンジェ/カン・ミンヒョク(韓国、第9シード)
銀メダル: アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク、第11シード)
銅メダル: ワン・チャン/リャン・ウェイケン(中国、第3シード)、アーロン・チア/ソー・ウーイイク(マレーシア、第4シード※前回金)
【女子ダブルス】
金メダル: チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード※3連覇)
銀メダル: アプリヤニ・ラハユ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第11シード)
銅メダル: キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード※前回銀)、ツェン・ユー/ツァン・シュウシエン(中国、第6シード)
【混合ダブルス】
金メダル: ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第5シード)
銀メダル: ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード※前回金)
銅メダル: 渡辺勇大・東野有紗 (第2シード※前回銀)、ジアン・ツェンバン/ウェイ・ヤシン(中国、第8シード)









